惑わしの森15
「俺も実はまだたいしたお宝はみつけちゃいないんだ。
何か良いもの持ってりゃ、あんたにあげたかったけどな。
あ……そういえば、プリンセス・ルビーっていうものを知ってるか?」
「もちろんだ。
それを身に付けた女は、世界一幸せになれるっていう伝説の宝石だよな。」
「……あれ?なんで知ってるんだ?」
「え?…な、なんでって…
そ、そりゃあ、プリンセス・ルビーは、私達、女性の憧れの宝石ですもの。
山奥の私達の村にもその噂は伝わっていた…わ。」
「へぇ…そんなに有名なのか。
てっきりトレジャー・ハンターしか知らないのかと思ってたよ。」
危ない所だった。
ついうっかりしていた。
俺は、今、トレジャー・ハンターじゃなくて、ごく普通の田舎娘なんだ。
それを忘れないようにしないと…
「会っていきなりこんなこと言うのもなんだけど…」
アランは、何か言いにくそうに俺の顔をじっとみつめた。
「なんだ?」
「その…良かったら、俺と一緒にならないか?」
「……は?」
どういうことだ?
一緒にって…………えっ!ま、ま、まさか…!?
俺は目を見開き、息を飲んだ。
「一緒にって、あの…まさか…」
アランは、にっこりと微笑み頷いた。
「そう…俺と結婚しないか?」
「け、け、け………」
びっくりしすぎて、言葉が出ない。
俺は大きく深呼吸をした。
「ば、馬鹿なことを言うな!
さっきも言っただろ!
私達はフクロウを捕まえて、村に帰らなきゃいけないんだ!」
「だから……それは無理だって言ってるだろう?
この森は一度入ったら、二度と出られない魔の森だ。
だが、俺はこの森で生き抜く術を持っている。
俺と一緒なら、一生ここで元気に暮らせるぜ。」
「わ、私達は、ここを出ることを諦めちゃいない。
そうだ…あんたも一緒に来ると良い。
私達と一緒にいたら、必ず、この森を出られるから…」
アランは、俺の言ったことを全く信じていないようで、小さく首を振って苦笑した。
確かに、彼は長い間この森にいて、何度も脱出を試み、それがことごとく失敗したんだろう。
だからこそ、脱出を諦め、ここで生きていくことを受け入れたんだ。
だが、俺にはユリウスがついてる。
奴ならきっと…そうきっと、脱出することが出来る。
そう信じなきゃ、やってられない。




