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Snowy owl~幸せを探して~  作者: 神在琉葵
惑わしの森
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惑わしの森1




「あぁ、確かに昨夜見た。

白いフクロウはあっちの方に飛んで行ってたぜ。」




婆さんの作ってくれたコンパスは、正真正銘、本物の魔法のコンパスだった。

行く先々で、俺達はアレクシスの足跡をみつけた。

ただ、いつもアレクシスが去った後で、追い付くにはまだ遠い。




「まずいな。

この分じゃなかなか追いつけねぇ。

そうだ、あんた、何か術は使えないのか?

たとえば、空を飛ぶとか、瞬間的に場所を移動するとか…」


「そんなことが出来れば、最初からこんなまどろっこしい探し方はしていない。

私は魔法使いではないのだ。」


「なんだよ、使えねぇ奴だな。

俺にこんな呪いがかけられるなら、そのくらいの魔法、使えるようになれよ。」


「呪いと魔法は別のものだ。」


「あぁ、そうですか…はいはい。」


奴に話させるとまたややこしいことになりそうだったから、俺は、そこで話を打ち切った。




あぁ、本当に苛々する。

こいつとは本当に気が合わないというのかなんというのか…




でも、苛々したところでどうにもならない。

俺は今、こいつと別れることは出来ないんだから。

なんとか、アレクシスをみつけて呪いを解いてもらわなきゃ、エリーズと結婚出来ないんだから。




俺は大きく深呼吸をして、気持ちを鎮めた。




(頑張れ、俺!

我慢だ、我慢!!)




「えっと…アレクシスの行き先は今度は北東だな?」


「あぁ、そうだ。」


「じゃあ、頑張って行こうぜ!」




俺は、無理して明るい声を出してやったのに、ユリウスは素知らぬ顔で歩いて行く。

頭にかーっと血が上るのを感じながらも、俺は懸命に自分自身をなだめた。




(いつものことだ、気にしない、気にしない…)




その間にも、奴は長い足ですたすたと進んで行く。

俺はその後を小走りで必死になって着いて行った。




奴の後ろ姿に何度も拳を振り上げて、あっかんべーをしてやった。

そんなことで気持ちが晴れることはなかったが、なにもせずにはいられなかったんだ。


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