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魔女8

「ん……んんんっ!?」


魔女は突然ユリウスの方に近付き、背伸びをしてユリウスのことをじっと見ている。




「あ、あの…婆さん…」


「誰が婆さんじゃ!サンドラと呼べ!」


「す、すみません。

サンドラさん…あの、こいつに何か…?」


「……とりあえず、中で話を聞こう。

さぁ、入るがええ。」


魔女の家に入るのはあまり気が進まなかったが、とりあえず、アレクシスのことを聞かなくてはならない。

だから、仕方なく俺達は魔女の家に入った。




(うわぁ…)




薄暗い部屋の中は、何とも言えない不思議なにおいが漂っていた。

俺達は、居間のような部屋の中に通された。

人間の家とあまり変わりはないごく普通の居間だ。




「そこに座るがええ。」


「あ、ありがとうございます。」


俺達は言われた通りに、長椅子に腰掛けた。

すると、婆さんは、俺達を残してどこかへ行ってしまった。




「おい、大丈夫なのか?

魔女の家なんかに上がり込んで…」


ユリウスが小さな声で囁いた。




「仕方ないだろ?上がらなきゃ、アレクシスの事が聞けないんだから。」


俺がそう言うと、ユリウスはいかにも不満げに眉間に皺を寄せた。

本当に苛々するな…

でも、今はそんなことを言ってる時じゃない。

とりあえず、魔女におかしなことをされないように気を付けないと…




そんなことを考えていると、意外にも魔女がお茶の用意をして持って来てくれた。




「さぁ、お飲み。」


「あ、ありがとうございます。」


俺がカップに手を伸ばそうとすると、ユリウスが俺の手を取り鋭い目でにらんだ。




「なんじゃ?魔女が出した茶は飲めないと言うのか?」


今度は婆さんが睨み付ける。

これはまずい状況だ。

確かに、魔女の出してくれたものには何が入ってるかわからないけど、魔女を怒らせるのも良くない。

どうすりゃ良いんだ!?




「い、いただきます!」


ええい、ままよ!とばかりに、俺は魔女の出してくれたお茶に口を付けた。

とても渋くて、うまいとは言えないものだったが、とりあえず、俺は無事だ。

苦しむことも死ぬこともなけりゃあ、カエルに変わることもない。




「あんたは飲まんのか?」


「え……」


「あ、あの、こいつはすごい猫舌で…なっ!」


魔女に背を向けて、俺は片目を瞑ってユリウスに合図を送った。


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