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魔女4




「ここだ!」


「……確かに深い森だな。」




次の朝早くから、俺達は森の中を歩き回った。

森には小動物がたくさんいるが、この森の中にアレクシスがいたとしても、みつけられる可能性は低いように感じられた。

何しろ、この森はとんでもなく広いんだ。




「アレクシスーーー!

どこにいるんだーーー!」


「……やめろ。

そんな品のない声で叫んでは、出てくるものも出て来なくなってしまう。」


「て、てめぇ……」


俺は言いかけた言葉を無理に飲み込み、振り上げそうになった拳をぐっと押さえた。




「じゃ、じゃあ、てめ…じゃない…あんたが呼んでみたらどうだ?」


「普段、名前を呼ぶようなことはない。」


「い、今は、普段とは事情が違うんじゃないですか?」


俺はそう言って、全力で微笑んだ。

今までで最高に無理した愛想笑いだ。




「お、おいっ……」


奴は、俺のそんな努力をすっかり無視して、どんどん森の中へと入っていく。




(畜生!!)





悔しいが、こんなところにぼーっと突っ立ってるわけにはいかない。

俺は怒りのために震えだす身体をひきずって、奴の後を小走りで着いていった。





「ちょっと一休みしようぜ。」




歩いても歩いてもあたりの風景は少しも変わらない。

そんな状況に気持ちは焦り、疲れは増した。

ついでに腹も減って来て、俺は少し拓けた場所で休むことを提案した。

反対もせず、黙って俺の言うことを聞いたのは、きっと奴も疲れてたからだと思う。




「まぁ、食えよ。」


俺が差し出したパンを受け取り、奴は黙ってそれを食べ始めた。




「なぁ…フクロウってのは夜行性だろ?

夜、探した方が良いんじゃないのか?」


俺がそう言うと、奴は水筒の水をごくごくと飲み始めた。





「……アレクシスをここいらのフクロウと一緒にするな。

あいつは特別なフクロウだ。」


「……あぁ、そうですか。」


俺がなにか一言言うと、いつもこんな風にそれを否定しやがる。

早くフクロウをみつけて、こんな奴とはさっさとおさらばしたいもんだ。




「なにかもっとこう…効率の良い探し方はないのか?」


「あいにくと俺は頭が悪いもんでな。

やみくもに探すことしか思いつかない。

あんたならもっと良い方法を知ってるんじゃないのか?」


俺がそう言うと、奴は不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、俺を睨みつけた。


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