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あの町へ21




「本当にありがとうございました。」


「ステファン…ありがとう。

あんたには本当に世話になった。」


「エリーズ…幸せにな…」




俺には、それだけ言うのが精いっぱいだった。




次の朝、俺は二人を見送った。

奴らは故郷である北の大陸に帰るらしい。




汽笛が鳴って、船が港を離れる…

俺は、甲板の二人に手を振って…だんだん小さくなる船を見送った。

船の姿がなんだかぼんやりかすんで見える…




(畜生め…!)




俺は、流れ出た涙を指で拭った。




俺の恋はあっけなく終わった…




ここ最近のことがまるで夢だったかのように思える。

恋い焦がれてたエリーズが俺のプロポーズを受けてくれて…

意地悪なエルフに女にされて…

白いフクロウを追いかけて…




そして、ようやく幸せになれると思ったら…




なんてことだ…まさかこんな結末が待っていようとは…

畜生!あんな宝石、もらわなきゃ良かった。

どっかでとっとと売っ払っときゃあ良かった…




でも…あれを魔女からもらったから…

もらった宝石をエリーズにやったから…

クライブの呪いは解け、そして二人は幸せになれたんだ…




そう、元々、結婚するはずだったのはあの二人だ…

俺は、やけで結婚されようとしてただけ…

エリーズは俺のことなんて、なんとも思っちゃいなかった。

……そんなんじゃ、きっとうまくはいかない。

エリーズだって幸せにはなれなかっただろう…




(これで良いんだ…これで…)




ちょっとばかし無理はしてるが…俺はエリーズの幸せを祈ろうと思う。

なんたって、エリーズは俺が心の底から惚れた女だ…

相手の男は頼りなさそうには見えるが、エリーズのためにプリンセス・ルビーをみつけてやろうと、あいつなりに頑張った。

それに、なんたって、エリーズはあいつにぞっこんみたいだし…

うん…きっとあいつならエリーズを幸せにしてくれるだろう。




寂しくなんてないぞ。俺はけっこうモテるんだから、女なんていくらでも寄って来るさ!それに……俺にはお宝探しがある…!

そもそも俺には結婚なんて向いてなかったんだ、きっと。

もっとお宝を探せって、神様が言ってるのかもしれない。




港を離れ、俺は酒場へ向かった。

酒場はいろんな情報が聞ける場所だ。

なにか良い話が聞けるかもしれない。




(よ~し!


またすごいお宝をみつけてやるぜ!)




俺のハートはちょっとばかし冷めてひび割れてしまったが、その代わり、忘れようとしていたトレジャーハンター魂は、また熱く激しく燃え上がった。


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