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あの町へ14

次の朝、俺達は山神の祠を目指して出発した。


険しい道のりではあったが、アランのおかげで迷うこともなかったし、昼過ぎにはなんとかその場所に着いた。




「ここだ。」


「へぇ…ここが山神の祠か…」


これといった特徴も何もない、小さな古ぼけた祠だった。

中にはアランの言っていた通りに、穏やかな顔をした女神像が安置され、花や果物が供えられていた。




(…エリーズの奴、なんだってこんなところまで…)




こんな山奥まで、しかも、お宝探しでもなんでもなく、ただ願掛けだけに来るなんて…

それほど、俺のことが心配だったってことなのか…




(エリーズ…心配かけて本当にごめんな…)




俺も女神像に向かって祈りを捧げた。

早くエリーズに会えますようにと…

アランも真剣に何事かを祈っていた。

アランのことだから、ステファニーの無事でも祈ってるのか…




「じゃ、行こうか。」




俺達は祈りを済ませるとすぐに、山の向こう側を目指した。

アランの話によると、ふもとに小さな村があるらしい。

日が暮れる前に、なんとかそこまで着けると嬉しいのだが…

そうでなければ今夜は野宿だ。

慣れてるとはいえ、どうせならベッドの上で眠りたい。

少しペースを早めて、俺達は歩き続けた。

その甲斐あって、どうにか村にたどり着くことが出来た。

宿さえない小さな村だったが、その代わり、朝まで開いているという酒場があった。

そこで話を聞いてみたところ、しばらく前にエリーズらしき女がここを訪ね、この先の町についていろいろ聞いていたとのこと。




エリーズは、やはりここに来たんだ!

俺は確実にエリーズの足跡を辿っている。

この分ならきっとエリーズを見つけられるだろうという可能性が見えて来て、どこか気分がほっとした。







「じゃあ、気をつけてな。

エリーズに会えることを祈ってるぜ。」


「ありがとう、アラン。

あんたも達者でな!」




アランとは、村の近くで別れた。

奴の故郷は、俺の行く方向とは違う方角らしい。

どうかあいつにも素敵なお相手がみつかりますようにと、心の中で祈った。




その後は、一人で街道沿いに進んで行った。

相棒がいない旅っていうのは久しぶりだから、なんとなく寂しいような気もする。




町に着く度にエリーズのことを聞き込み、そして、行く先々でエリーズの情報を仕入れた。

エリーズは、各町にしばらく滞在し、少しずつ東に向かって進んで行ったようだった。

俺は正しい道を進んでいる。

きっと、もうすぐエリーズに追いつくはずだ。


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