表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/120

あの町へ9

まさか…俺が長い間戻って来なかったから、エリーズの奴、俺に愛想を尽かせて…




「ない、ない、ない、ない!!」




そんなことあるもんか。 エリーズは、俺と結婚するって言ってくれたんだ。

二年かけて、ようやく俺という男の良さをわかってくれたんだ。

そう簡単に心変わりなんてするもんか。




うん、大丈夫だ。

必ず、エリーズはみつかる!

そうだ…もしかしたら、エリーズは気晴らしにお宝探しに行ってるだけかもしれない。

俺がいない寂しさをそういうことで晴らしてても不思議はない。




そうだよな…

ずっと宿屋にいたら、誰だって退屈だもんな。

外にも出かけたくなるよな…




そう考えると、少しだけ気持ちが落ち着いた。




(エリーズ…愛してる…)





エリーズのことを考えながら、俺はいつの間にか眠りに落ちていた。







(あぁ、腹へった。)




激しい空腹を感じて、俺は目を覚ました。

柱の時計を見ると、もう夕方だった。

思ったよりも長い間眠っていたようだ。

俺は、身支度を済ませると、町のレストランに向かい、その足で昨日の酒場に戻った。




昨夜聞いた二人組のトレジャー・ハンターはまだ帰っていなかった。


俺は昨夜と同じようにエリーズの情報を聞いて回ったが、誰からもエリーズに関する話は聞けなかった。




仕方なく、適当なテーブルに紛れ込み、一緒に酒を飲んでいたところ、新たに入ってきた男がエリーズらしき女を見たと話した。

男の話す女の外見はまさにエリーズそのものだ。

間違いなくそれはエリーズだと思った。




「あんな別嬪はめったにいないからな。良く覚えてるぜ。

たまにひとりでここに来ては、何杯かあおって帰っていったよ。」


「それで、エリーズとはどんな話をしたんだ?」


「話?あの女は綺麗だがひどく可愛いげのない女でな。

誰が話しかけても、ろくな返事はしなかった。」


「そうか…」




そうなんだよな…

エリーズは最初からそうだった。

俺もどれだけこけにされたことか…

本当にクールな女なんだ。




「そういえば…」


「何かあったのか?」


「一度だけ、あの女が涙を流してるのを見たことがある。飲み過ぎたんだかなんだかわからないが、とても悲しそうな顔をしていたな。」


「悲しそうな顔…」




そうか…俺のせいなんだな。

すまない、エリーズ…

俺が長いことひとりにしちまったから…




きっと、エリーズは寂しかったんだな。

寂しくてたまらずに、それで気晴らしにお宝探しに出掛けた…

多分、そんなところだろう。

でも、それなら、俺に伝言の一つでも残しておいてくれりゃあ良いものを…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ