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あの町へ5

やがて、俺達はあの町に着いた。

懐かしさと、やっと戻って来れたんだっていう想いに胸が熱くなる。

すぐにでも、エリーズのいる宿屋に行きたかったが、その前に済ませておかねばならないことがある。




「ここがあんたらの故郷なのか?」


「いや、そうじゃない。

だいぶ近付いたが、こことは違う。

実はな…アラン…あんたに頼みがあるんだ。」


「頼み…?何なんだ?」


「実は…この近くの山の洞窟にお宝があるって聞いたことがあるんだ。

その山っていうのは…」


俺は、地図を広げた。




「このあたりだ。

ここからそう遠くはない。

そうだな…三日もあれば戻って来られると思う。

なんでも、そこには宝石が眠っているという話だ。

それを取ってきてほしい。」


「もしかして、それを取って来たら、俺と結婚してくれるのか…??」


俺は頷き、とびっきりの笑顔を返した。




「そ、そうか!ありがとう、ステファニー!

わかった!!

行って来る!

俺、今からすぐに行って来る。

だから、あんたはここの宿屋で待っててくれ。」


「あぁ、わかった。

待ってるよ…」


アランは、笑顔で手を振りながら、山の方角へ駆け出して行った。

嘘を吐くことにはちょっとばかし心が痛んだが、アランがいない間に俺はユリウスに呪いを解いてもらおうと考えたんだ。

いろいろとこれまでの事情を話すよりも、いっそのこと、いなくなってしまった方が後腐れがなくて良いんじゃないかって考えたんだ。

ユリウスはエルフの里に帰る…

俺も男に戻る…

つまり、この世からユリウスとステファニーはいなくなるんだから…




「じゃあ、人のいないところに行こう。

そこで、俺をもとに戻してくれ。」


「わかった。」


誰にも見られないように、俺達は町はずれの人気のない場所に向かった。

ひとりの男が通り過ぎるのを待って、もう一度あたりの様子をうかがった。

幸いなことに、人の気配は全くない。




「さぁ、今のうちにやってくれ。頼んだぜ。」


「わかった。」


ユリウスは頷くと、低い声で呪文のようなものを唱え始めた。

それと同時に俺の身体は燃えるように熱くなり、心臓が飛び出しそうなくらい、鼓動が速くなった。

そうだ…あの時と同じだ…

俺が女に変えられたあの時と…

かすんでいく意識の中で、俺はぼんやりとそんなことを考えていた。

やがて、俺は意識を失い、その場に倒れた……


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