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あの町へ2

(そういえば、確か、あの時……)




俺は、記憶の糸を手繰り寄せた。




そう…あの日は、あの町の近くにある洞窟にお宝探しに行ってたんだ。

その場所は町からも割りと近いし、さして危険な場所ではなく、エリーズは気が向かないと言うから、俺一人で向かったんだ。

エリーズは、危険なところやすごいお宝があるという所ほど、やる気になるらしく、ちょっとした所には興味を示さない。

実際に、その洞窟で手に入ったのは、程々の宝石がいくつかだけ…

とはいえ、小粒だが、けっこう綺麗な宝石だった。

俺は、次の日のエリーズの誕生日にその宝石をプレゼントした。




そう…エリーズと知り合い、すでに二年の月日が流れていたが、あいつは俺をただの相棒としか見ていなかった。

だから、最後のチャレンジのつもりで、あの日、エリーズにプロポーズしたんだ。




自信なんて少しもなかった。

きっと、だめだと思ってた。

今までにも何度も俺は告白したが、全く相手にしてもらえなかったからな。

なのに、意外にも、エリーズは俺のプロポーズを受けてくれて…




あぁ…思い出しても胸が熱くなる!

あの時は本当に嬉しかったなぁ…




エリーズ…待っててくれよ!

あと少しで帰るからな…

帰ったら、すぐに結婚式だ!


エリーズの花嫁姿…きっと綺麗だろうなぁ…



想像するだけで、身体がとろけてしまいそうだ…




「ステファニー!」


「はっ!?な、なんだ?」


急に名を呼ばれて、俺は甘い想像から現実に引き戻された。




「ユリウスとの話はもう終わったんだよな?」


「え?あ…あぁ、まぁな。」


「なぁ、ステファニー…

前にも話したけど、故郷に戻ったら、あんたのご両親に挨拶を…」


「アラン…そのことなら、この間も話したはずだ。

私は、あんたとは結婚しない。」


俺がそう言うと、アランはとても悲しそうな顔をして、俺をみつめた。




「どうしてもプリンセス・ルビーじゃないとだめだって言うのか?」


「その通りだ。」


俺がアランと結婚出来る道理はない。

可哀想だが、ここははっきり言っとかないと…!




「なぁ、頼むよ、ステファニー…

あの宝石のことはどうか忘れてくれ。

取られちまったものは、もうどうしようもないじゃないか…な?

その他のことなら、俺、どんなことでもするから!」


アランは真剣な顔で、俺に懇願する。


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