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あの町へ1




「本当にありがとうよ~!」


「こちらこそ、ありがとう~!」




俺達はイザベラの家を後にした。

これからは、バーバラも今まで以上にここに酒を買いに来ることだろう。

いや、バーバラだけではない、他の酒好きな魔女達も…




「ステファニー…これでやっと故郷に帰れるな。」


アランは、穏やかに微笑みながらそう言った。




「あ、あの、アラン…悪いけど、ちょっとユリウスと込み入った話があるんだ。

そ、その…アレクシスのことで…」


「え?…あぁ、わかった。」


アランは素直に俺達の傍を離れた。




「ユリウス、約束だ!

早く俺を男に戻してくれ!」


「そう慌てるな。私が約束を違えるとでも思ってるのか?」


「そういうわけじゃあないが…とにかく、今すぐ戻してくれ!」


「今すぐ?

アランのことはどうするつもりだ。」


「アラン?そりゃあ、本当のことを話すさ!

俺は質の悪いエルフに呪いをかけられて、女にされてたって!

しかも、そのことを話したらカエルに変えられる呪いまでかけられてたんだってな。」


俺がそう言うと、ユリウスはおかしそうに肩を揺らした。




「まぁ、そう言わず、もう少しアランに夢をみさせてやれよ。

あぁ…心配することはない。

呪いは必ず解いてやる…

私達が初めて出会ったあの町…あそこで呪いを解く。」


「ほ、本当なんだな!

絶対に解いてくれるんだな!」


「私は嘘は言わん。

それまで後しばらく旅を続けよう…

考えてみれば、お前との旅もかなり長いものになったな。

それに…」


ユリウスは、不意に言葉を途絶え、遠くをみつめた。




「それに、なんだよ?」


「……まさか、本当にアレクシスを取り戻せるとは思っていなかった。

おまえは、下品で馬鹿だが……信頼出来る人間だ。」


「げ、下品で馬鹿とはなんだ!」


ユリウスは何も言わず、笑っていた。

口では荒いことを言ったが…信頼出来る人間と言われたことは少しだけ嬉しかった。




「アレクシスがみつからなかったら…

あんた、どうするつもりだったんだ?」


「どうするもこうするも…

諦めるしかなかっただろうな…」


「諦めるって…」


でも、確かにその通りだろう。

エルフの里への鍵であるアレクシスを失ってしまったら、ユリウスはもう故郷には戻れない。

最初は俺のことも全く信用していなかったようだし、心の中はきっと不安だらけだったんだろうな。

いつも苛々してたのも、きっとそのせいだったのかもしれない。



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