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Snowy owl~幸せを探して~  作者: 神在琉葵
最高で最悪な日
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最高で最悪の日7

「どうしたんだ?

なにか話しにくいことでもあるのか?」


「だから…それは……」


エルフは腕を組んで眉間に皺を寄せ、何事かをじっと考えるように黙りこんだ。

その様子からして、相当大変な理由なのだろうと感じられ、簡単に訊ねてしまったことを俺は少し後悔した。




「あ、言いにくかったら…」


「アレクシスを勝手に持ち出したのだ。」




折悪く、俺の言葉にエルフの言葉が重なった。




「なんだって?

今、アレクシスを勝手に持ち出したって言ったのか?」


「……そうだ。」


「さっき、おまえはアレクシスが鍵だって言ったよな?

エルフと人間の世界を繋ぐ門には結界が張ってあるとも言った。

ってことは、つまり……もしかしたら、おまえは然るべき許可を得ずに、勝手にアレクシスを使ってこっちに来たってわけなのか?」


エルフは、決まり悪そうな表情を浮かべながら、小さく頷いた。




「やけに物分りが良いじゃないか。

いかにも、その通りだ。」


「やっぱりそうか。

でも、なんだってそんなことを…?

何か、やむにやまれぬ事情でもあったのか?」


「いや…単なる気まぐれだ。」


「……き、気まぐれ?」


「そうだ…

エルフの世界は、実に穏やかで平和で静かな世界なのだ。

それはありがたいことなのかもしれないが、時々、とてもつまらなく感じられてな。

その点、人間の世界は面白い。

くだらないことで泣いたりわめいたり争ったり笑ったり…

至る所でなんらかの騒ぎが起きている。

たまに、そういう下等な感情表現を見ると、刺激になるというのか、なんというのか…」


「下等……」




エルフって種族は元々こんな風に威張り腐ったな奴らなのか、それともこのエルフがたまたまそういう性分なのか…

おそらく、こいつの性分なんだろう

理由はないが、なんとなくそんな気がした。





「……ってことは、アレクシスを逃がしてしまったからには、おまえは元の世界には戻れない。

その上、万一、アレクシスを勝手に持ち出したってことが発覚したら、おまえはお偉方からお咎めを受けることになるわけか!?」


「その通りだ!

だからこそ、おまえはその罰を受けたのだ!」


男は激昂して立ち上がり、険しい顔つきで俺を指差した。


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