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季節物

私は夏のセーラー服です。

作者: 夏野 聖良

私はセーラー服です。といってもただの普通のセーラー服ではありません。

夏にしか着ることができない特別な、とっっくべつな

セーラー服です!


私は普通のセーラー服と違って汚れたら丸洗いができます。私を着てくれる持ち主は楽でいいわといつも喜んでいました。


初めて着てくれた中学一年の夏、

私の持ち主は嬉しそうに鼻歌を歌いながら私を着たその次の日に海にザブンと飛び込みました。おかげで私は持ち主が持っている服の中で一番しょっぱい服になりました。随分とお転婆な持ち主だなぁと思いました。


中学二年生の夏、

私の持ち主は私を着て、お友達と一緒に肝試しに行きました。私は今でもべたっと背中に張り付いたこんにゃくの感覚とそれに驚き泣いた持ち主のことを思い出します。私は時々背中にまだこんにゃくの感覚がある気がしてなりません。


中学三年生の夏、

私の持ち主は私を着て、お祭りに行きました。おかげで私の生地にはアメリカンドッグのケチャップのシミや綿菓子の砂糖の跡といった夜店の食べ物で汚れました。服としては散々な目にあったと思いつつも、あのお祭りの時に見た綺麗な花火の音や匂いを今でも時々思い出して懐かしく思います。


高校一年の夏、

私の持ち主は襟の線が三本になった私を着て、高校の野球の応援に行きました。日向で制汗剤や日焼け止めが混ざってる汗をタラタラ垂らしているので倒れないか心配になりました。


高校二年生の夏、

私の持ち主は私を着て、水族館デートに行きました。観に行ったイルカショーで水をかぶってひさびさにしょっぱい服になりました。

私はそのデートの時、同じようにしょっぱいくなった学ランと話して少しドキドキしてました。


今年、高校三年生の夏

私が着て貰えるのは今年で最後でしょう。

私の生地の少し青が混じったような白色は今まで洗われ続けたせいか、くたびれて灰色が混じりました。


私の終わりは近い


そう考えると私に混じっている灰色がより色濃くなるように見えます。

だけれど持ち主は今度はどこに連れて行ってくれるのか考えると灰色は薄れて、初めて着てもらった時の綺麗な色に生地が染まる気がします。


半年間クローゼットの中に入れていた私に持ち主は袖を通します。


中学一年の頃から変わらない夏に初めて私に袖を通す時のテーマソングと一緒に


この歌を聞くのも最後です。

私は、この夏が持ち主に着てもらえる最後の時になる。そのことに後悔はありません。


だって私は夏にしか着れない特別なセーラー服。


普通のセーラー服と違って持ち主はいつも大冒険に出かける、最高の服なのです!


今年はどこへ行くのかな!今年もあちこち知らないところにいっぱい連れて行ってほしいな!

読了ありがとうございます!

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