邂逅
夢を見た。自分のではないだろう何かを。人が二人が。何かを話している。内容は聞き取れないが、どちらもが笑っていた。それしか見えない。ああ、眠くなってきた。
「……いずれわかる。今は加護を。資格を、あの剣に」
目を閉じる直前、最後にそんな声を聞いたような気がした。
目が覚める。天井が見える。見たことない天井だ。
少し痛みを感じながら上半身を起こし、辺りを見回して見る。
「……何処だここ?」
まじで何処だここ? 見たことない豪華な部屋。まるで、貴族が宿泊で使うための部屋だ。そんな部屋見たことないが。何でこんな所で寝てるんだ?
「……むにゃ」
横から声がしたので、そっちを見る。
そこにあるのは、自分が今使っているベッドに頭を乗せ動かない金髪の何か。……もしかして。そう思い、それを優しく揺らしてみる。
「……むにゃ!?」
揺らした途端それは跳ねたボールのように飛び起きる。その物体。
まあセレナだったが、それが驚いた様子でこっちを向く。
「んー。――ライトっ!?」
「……おう。おはよう」
「いぎでて良がったよー!」
本当に、驚いたようにこっちを見たかと思えば急に火がついたかのように泣き、こちらに突撃してきた。
生きてて良かったって。大げさな。……いや、全然大げさじゃねーわ。死にかけたし。泣きじゃくるセレナの背中を優しくさする。なんでコイツの方が大変そうなんだろう?
「……落ち着いたか?」
「……う゛ん」
鼻をすすりながら、やっと落ち着いてきたセレナ。これでやっと聞きたいことが聞ける。
「……で、ここ何処だ?」
「驚かないでね?」
?? 一体何処だというのか。こいつがこんなことを言うのは珍しい。もしかして、本当に貴族用の宿屋だったり?
「なんとねー! 王城だよ!」
「……お、王城?」
「そう! お城ー!」
……はっ? 王城? 王城っていうとマルギスの? 馬鹿な? 何言ってるんだこいつ。
……でも、こいつこういうまどろっこしい嘘はあんまつかないしなぁ。
「……まじ?」
「おおまじ!」
……どうやら、本当に王城らしい。まあ、王城ならこんな豪華な部屋があってもおかしくはない。むしろ、納得ができる。
しかし、しかしだ。そもそもの疑問が頭をよぎる。
「……何でこんなとこで寝てるんだ僕」
「わかんない! でも、起きたしとりあえず人呼んでくるー!」
疑問の答えが解消されぬまま、セレナが部屋を飛び出していく。王城でもあの元気さは健在か。
とりあえずベッドから抜け体の調子を確認する。少しの痛みが残っているだけで特に異常は感じられない。ぐちゃぐちゃに焼け焦げていたはずの肩もほんの少し痕が残っているだけで問題なさそうだ。あんなに酷かった怪我だ。……直したのがセレナじゃなければ治療費とかどれくらいかかるんだろうなぁ。服もなんか新しいし。
「呼んできたよー!」
「失礼します」
勢いよくドアが開く。どうやらセレナが誰かを連れて戻ってきたようだ。
そっちを見てみるとセレナの他にもう一人女の人がいた。銀の髪に整った顔。そして、なによりもその長い耳が印象的なその女性がこちらに来る。
「目が覚めたようですね。お体に問題はありますか?」
「……いえ、大丈夫です。それより、なんで僕はここに?」
「それは、この後説明させていただきます。お体に問題がなさそうなら、まずは食事を摂る事をおすすめします」
女性は淡々とこちらの問いに返していく。どうやら、今は答える気はないらしい。って食事?
「……もしかして、寝てたの一日だけじゃなかったり?」
「二日ほど。なので、可能でしたら何か胃に入れた方がいいかと」
「……まじか」
どうやら、倒れていたのは一日だけではないらしい。そりゃセレナも心配するはずだ。あとでお礼言っとこう。ちょうど空腹感も出てきた気がする。
「じゃあ、食事お願いしても良いですか?」
「かしこまりました。こちらで摂られますか? 付属の食堂で摂られますか? この時間なら、食堂の人も少ないかと」
食堂? 王城に食堂があるのか。ちょっと行ってみたい。王城なんて、よほどのことが無い限りもう入ることはないだろうし。
「ライト! 食堂行こっ? とっても綺麗だったよ!」
ほら、セレナのこう言ってる。……そんなに言われちゃしょうがない。いやー本当にしょうがない。
「食堂で摂ります。すぐに行けるんですか?」
「はい。ご案内いたします。付いてきてください」
案内を受け、部屋を出て女の人に付いていく。
少し歩き、階段を降りるとすぐに大きいスペースが見える。
「こちらでございます。そちらの販売機で食べたいものを押していただければ、後は自動で運んできてくれます」
「……すっげ」
まじか。自動なのか。家でもそんな便利な状態になったことはないのに。すげーな王城の食卓。……あっ。
「……そういえば、お値段の方はいくらぐらいです?」
「こちらの食堂は基本的に無償で提供しています。ですので、そこら辺は気になされなくても大丈夫です」
まじか。無料なのか。すごく美味しそうな匂いとかしてるのに。多分普通にお店で食べたらラー銀貨を使うことになりそうぐらい良い匂いなのに。
「……こちらの食堂は、三世代ほど前の王が、この城で働く兵に対しての労い。そして、自身も兵と共に食事をしたいと考え、王城の開いていたスペースに作られた物なのです。その時の名残故に基本的にここに勤めている者や客人の方から料金を取ることはないのです」
はー。へー。三世代前の王が。王については現国王ぐらいしか知らないのだが、それでも自身に仕える兵に対しての思いをちょっとは感じ取れる。……いや、ここで働く人たちが慣れただけなのかもしれないが。
「では、一時間ほど失礼させていただきますのでその間に食事をお取りください。何かありましたらこれでお呼びください」
そう言ってこちらに何かを渡してくる。それを受け取って見てみるとそれは鈴だった。これを鳴らせば来るのか。
「魔鈴です。意志を持って鳴らそうとすれば微量の魔力を吸い取って対象の人物に音を届けることができます」
なるほど、魔道具か。さすがは王城。便利な物があるなぁ。
たぶんこれ王様とか偉い人が使う物だと思うけど。
「では。失礼します。ライト様。セレナ様」
そう言って消える女性。……はえーなあの人。名前も聞けなかったし。
「ほえー。セラさん早いねー」
「……おう」
どうやって移動したか見えていたらしいセレナが移動の速度に驚いている。
どうやらあの人はセラさんというらしい。まあいいや。どうせ後でまた来るって言ってたし。……それよりも!
「ご飯食べるか」 「ご飯食べよっ。ライト!」
声が重なる。考えることは同じだったらしい。つい笑みがこぼれてしまう。本当にやろうとすることは似てるな僕達。
そんなことを考えながら、二人で食券売り場に向かう。到着し、何があるか見てみる。
「何食べようかなー?」
セレナがこめかみに指を当てながら迷っている。当たり前だ。思ったよりもメニューが多い。知らない料理もちらほらとある。初見の人は絶対何食べようか迷うだろこんなの。……おっ。
「お、チャンハルある。これにするわ」
「私はルーメンっていうの!」
前に街のお店で食べたチャンハルにしようとその枠を押す。
すると、下の開いている場所から小さい紙が出てきたのでそれを取る。隣の食券機で決めたらしいセレナと開いている席に適当に座る。
「なあ、この後どうなるんだ僕達」
「ん? お話聞くだけじゃないの多分?」
待っている間にセレナとこの後について話し合う。
こいつは話して終わりだと思っているが絶対そんなことはない気がする。僕の悪い感は大体当たるし。
「治療費とか、宿泊費とかの請求かな。……どんくらい払うのかな」
「治療は私がやったから多分そんなに取られないと思うよー! ……部屋代とかは知らないけど」
少しだけほっとした。とりあえず、治療についてはセレナがやってくれたらしい。
……あの怪我をこんな短時間で。それも一人で直せるこいつ本当にすごいわ。仮に他にできる人がいたとして本来もっと疲れてるはずなんだけど。
「でも多分、お金の話じゃないと思う! もしそうならこんな食堂使わせてもらえないよ!」
たしかに。これから借金を負うかもしれない人間にこんなサービスはしないか。なら、悪い話ではないだろう。
「お待たせいたしました。チャンハルとルーメンです」
「うわー! 美味しそー!」
「美味しそうだ」
頼んでいた物が届く。本当に美味しそうな匂いが食欲を更に駆り立てる。
……考えるのは食べてからでいいや! 黄金色のその料理にスプーンを入れる。炒めたライの一つ一つがくっつくことなくパラパラとしている。店でもあまり見られないであろうその完成度に驚きながら口に入れる。
「……うん。美味しい」
濃すぎることも薄すぎることのなく味が良く整っている。それでいて決して飽きがこない。こんな完成度の高いチャンハルは初めて食べたと思える美味しさだった。これを毎日食べれる王城勤務はさぞ充実した生活だろう――。
「おーいしー! ライト! ちょっと頂戴!」
「……交換な」
「うん!」
セレナもずいぶんと美味しそうに食べている。少し食べたいと言われたので交換し合いルーメンに手を付けてみる。
「おお。こっちもいけるな」
「うまー!」
材料は知らないがこのルーメンという料理もとても美味しい。あまり食べることのない麺類だったので少し不安だったが、一口だけと思っていたはずなのに気をつけないと全部食べきってしまう美味しさである。おまけに、チャンハルとよく合う。二つを半分半分で出せば、一稼ぎできそうだと思えるほどだ。……どっちが好きかと言われたらチャンハルを推すが。
「美味しかったー!」
「そうだな。また食べたいな」
気づけば僕もセレナもいつの間にか完食していた。本当に美味しかった。ああ、これ一般開放してくれないかな。あったら王都に来るたびにここに来るのに。
「ライト様。セレナ様。少々よろしいですか?」
「あ! セラさん!」 「――っ!? は、はい」
食事も一段落し、座りながらお腹の調子を整えていると、いきなり背後から声がした。
少し驚きながらそっちを向くと先程の銀髪の女性――セレナ曰くセラさんと言うらしい――その人が後ろにいた。どうやらセレナからは見えていたらしく驚いたのは僕だけらしい。……言ってくれればいいのに。
「申し訳ございません。こちらの都合で少し話し合いの時間を早められないかと相談に来たのですが」
なんでも話をする場を少し早く開けないかという相談だった。僕は特に問題はないがこいつはどうだろう?
「は、はあ。……どうするセレナ?」
「問題ないよー! 早く終わるならその方がいいしねー!」
全く問題なさそうだった。……そうだよな。こいつなら気にしないよな。時間関係で悩んでるの見たことないし。
「大丈夫です。いつからですか?」
「ありがとうございます。では、ご案内しますので付いてきてください」
どうやらもう始めるらしいのでとりあえずまた付いていこうとする。
……そういえば一応名前聞いておかなきゃな。
「……あの、そういえばお名前は?」
「?? ……ああっ。申し訳ございません。ライト様には名乗っていませんでした。私のことはセラとお呼びください」
セラさんは立ち止まり、思い出したように名乗る。
どうやら、本当に名乗るのを忘れていただけらしく少し申し訳なさそうだ。あまり感情を表に出すタイプには見えなかったけど意外と顔に出るなこの人。
「では行きましょう」
セラさんがこちらにそう言って再び歩き始めたので、セレナと共にそれに付いて行く。
さっき降りてきた階段を上り、上がった先の廊下を進む。
他の場所にはなかった左右の壁に等間隔で付いている蓄積型の魔力灯が緊張感を強くさせる。いったい何処行くんだろう?
「こちらです」
「うひゃー。 おっきいドアー!」
ここだと示されたのは、王城で見てきた中でも特別感の強く大きいドアだった。……この部屋かぁ。何が待ってるんだろ?
「開けろ」
「「はっ!」」
セラさんがドアの前にいる兵二人に声を掛けるとドアをゆっくりと押して開けていく。
開いた先に見えてくるのは見たことない程に豪華な場所だった。
「――っ」 「すっごーい!」
思わず一瞬見入ってしまうほどには完成された空間である。セラさんが部屋の中に入るので回りを見回しながら付いて行く。
下の赤い絨毯、上にあるシャンデリアなどその空間に存在する一つ一つが自分の家より明らかに価値がありそうだと思える。実際そうなのだろう。
ここ歩いて大丈夫なのかなと不安になりながら歩いていると奥の方に人が三人いるのが確認できる。一人は座っており、ただそこにいるだけで気圧されそうになるほどの何かを遠くからでも感じられる。残りの二人は、その前の段差を挟んで立っている。
「国王様。件の二人を連れて参りました」
「……セラか。ご苦労。」
「はっ」
セラさんがこちらに軽く会釈をし、後ろに下がる。今国王様とか言った? ……こっからどうなるんだろう? 隣のセレナもさすがに静かになっちゃったし。
「そこの少年。怪我の方は大丈夫か?」
「は、はい。だ、大丈夫です」
「ならよかった」
怪我について聞かれる。どうやら心配してくれたらしい。正直怪我とかより今の緊張の方が辛い。心臓破裂しそうだし。
「余はアグリアス。アグリアス・ルーグレットである。其方達の名は?」
「ら、ライトと申します」
「セレナです!」
名を聞かれたので、頑張って口を開き答える。やばい。本当に国王様だ。どうしよう? ひざまづいた方が良いのかな?
「うむ。この場は公式の場というわけではない。そこまで緊張しなくても良いぞ」
緊張しなくても良いって。無理だわ! どうしたら緊張しないっていうんだよ? もう帰りたいや。
「さて、早速本題に入ろうか。ライト殿。先日の出来事覚えているかね?」
「は、はい」
もちろん覚えている。自分が変な気を起こして明らかにやばそうなやつに喧嘩を売った事だろ? 何でそんなことやったのか今でも疑問に思っているのだが。
「街の警備兵が裏道に四人とも倒れていたのを見つけたのだが、そのうち一人には懸賞金がかかっていたののだ」
後ろのセラさんがさっと手配書を見せてくる。あの黒い方か。なんかやばいやつだとは思っていたが、まさかお尋ね者だったとは。よく勝てたよな。本当に。
……けど、それでどうして国王様が出てくるんだろう。
「その時の少女が、その戦闘について面白いことを言っていてな。なんでも、その時君は剣を知らぬ間に握っていたらしいではないか」
あの剣? そういえばいきなりあった気もするが、感覚が無かっただけで知らぬ間に後ろから掴んだだけかもしれないけど。
「戦いの後すぐに兵が来たとその少女が言っておるのだがな。不思議なことに兵によれば、その場に剣なんぞ転がっていなかったらしいのだ」
確かにそれは不思議だ。少女が見逃した可能性も無くはないが、そもそもあの道は人が通りにくいだろう。その上あの時は勇者様のステージがまだやっていたはずでそこから割と離れているその場所に人なぞ来ないだろう。
「普段ならそこで終わるのだがな。最近剣が消えたり出てきたりするという現象に思い当たりがあってなぁ。それで、この場で試してもらおうと思ってここに呼んだのだ」
「は、はあ」
なるほど。要はその剣について興味があるから僕達を呼んだという訳か。暇なのか王様?
ふと、横を見ると二人の内軽い服装の人がこちらを睨んでいた。……あれ、勇者様だよな? 怖っ。
「それでどうだ? 試してみてくれないか?」
「は、はい。で、ですが申し訳にくいのですがやり方が……」
「なに。自身の中から剣を呼び出す感じでやると良いらしい」
なんだそれ。まあやってみるかと左手に出ろと強く念じてみる。
瞬間、体が少し熱くなったと思えば左手に剣が握られていた。
「――っへ?」
「ライトすっごーい! そんなことできたの?」
知らんよ。今初めてできたことなんだし。とりあえず出てきた剣を見てみる。刃の色は黒。焦がした食べ物の何倍も濃く、それでいて決して汚く感じる事の無い純粋な黒。
見ているだけで飲み込まれる錯覚に見舞われる。持ち手の部分も同じような黒であるが、所々にある金色の装飾がこの剣がなにか特別な物である印象をさらに強めている。
「……なるほど。やはりか」
「――っち」
王様はこの剣を見て納得したような表情を浮かべている。
どこからか舌打ちみたいな音も聞こえた気もするが気にしない。……思ってたより柄悪いな勇者って。
「……あの、この剣って一体……?」
「それはな。勇者殿の聖剣に酷似しているのだ。色が黒ということを除けばな」
……はっ? 聖剣? 聖剣ってあれか? 勇者様が持つという伝説の剣。あれに似たものを僕が?
「聖剣!? ライト! 聖剣だって!」
セレナが興奮したようにこっちに驚きを見せてくる。無理もない。持っている剣がいきなり聖剣と言われたのだ。僕だって未だにこんな物持っているのか理解できていない。
「ふむ。しかし聖剣が同じ時代に二つ現れるというのは聞いたことがないが」
どうやら聖剣が二つあるというのは本来はあり得ない事態らしい。これが本当に聖剣かは知らないが。
「確かめる術はある」
どうやら王は確かめる手段を知っているらしい。なんだ。知っているのなら早く言ってくれればいいのに。
「しかし、これは危険を伴う行為である。おそらく今の其方では厳しいだろう」
「えっ」
王が厳しい口調で言う。どういうことなのだろう。危険を伴う事って一体?
「聖剣は、ただ所有するだけでは力なぞ発揮することはない只の頑丈な剣。資格をその剣に宿すことで力を開放することで初めて魔王を葬り去ることができるのだ」
なるほど。つまりこの剣に資格が宿ればこの剣は聖剣だという証明になる訳か。割と単純だな。資格がどこで手に入るのかを考えなければだが。
「問題はそれを宿す場所なのだが。詳しくは言えんが最低でもCランクの冒険者相当の実力が無ければ難しいのだ」
Cランク? 何でかはわからないがその条件は確かにきつい。冒険者の中堅クラスをいきなり求められても僕にはそんな実力は無い。
「強い冒険者を雇って付き添ってもらえば良いのではないのですか?」
「そこで資格を手にするには聖剣を持つ者が一人で進まねばならん仕組みになっておるのだ。本来は勇者に対する試練になっているからな」
正直もうこれについては知らなくても良いのかもしれないと肩を落とす。だって条件きついし。
「ライト! やろうよ! 私も強くなるの付き合うから!」
自分の中でもうあきらめの気持ちを固めようと思っていたところにセレナがまたなんかやる気を見せている。まじで?
「本当に聖剣なら勇者だよ勇者! ライトが勇者!」
セレナが力強く僕を説得しようとする。なんでそこまでやろうとする意志を見せているのかはわからないが。
「やるというのなら指導してくれる冒険者をこっちで探そう。どうだ?」
王様もやるのを強く勧めてくるので、真面目に少し考えてみる。今回やめたとして後に知りたいと興味が湧いたとする。その時は自分一人の力すべてをなんとかしなくてはいけなくなる。
それはあまりにも無茶な話だ。なら援助がある今に答えを知ることが自身にとっても都合が良いだろう。
「……わかりました。僕も、この剣について知りたいです」
「そうか。ならそのように手配しよう」
王にこちらの意見を伝える。それを聞いた王は少し、ほんの少しだけ安心したかのような目をした気がした。一瞬そう見えた気がしただけなのでどうなのかは定かではないが。