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第一章 第四話 異世界の初日は大変だった

今景明達の目の前には先程まで生きていた盗賊とその男を始末したフードを深く被った者、身長は大体170cm位でいつの間にか数メートル先に立っていた。


ガルディアンは急いでその者との間に立ち戦闘態勢に入る。


「主よ下がられよ!我でも気付ぬ者のようだ」

「二人共!こっちへ早く!」


「「はっ、はい!」」


「おや…ミノタウルスが人間に従うとは、貴方は従魔術の使い手ですか?」


ガルディアンに気付かれずに近づくなんて何か特別なスキル持ちか!なら見せて貰おうか。


___鑑定!


__________

______


名前:ナターシャ・ノエル

 クラス:ダークエルフ、暗殺師

 レベル:33


体力:430

魔力:560


筋力:46

速力:1040

魔法力:450


取得スキル

隠蔽 暗殺術 切断 遠見 盗聴 闇魔法


何だかこのステータスは……というか暗殺師で…そんな事はどうでも良いんだよ!!


……ダークエルフ…………だと?あのダークエルフだって?


是非ともお近づきになりたいな!!!


「気を付けろガルディアン…ステータスの速力が1000を越えてる。スキルは隠蔽、暗殺 、切断、遠見、盗聴、闇魔法があった、それと一番大切な事が分かった……」


「何です?主…一番大切な事とは……」


ガルディアンとリアレス、ネルトがゴクリ…と息を呑む


「………ダークエルフだ!」


「「「はっ??」」」


三人がポカンと口を開けていると向かい合っているダークエルフはフードは取らずにフフッと微笑していた。


「どうやら良い眼をお持ちのようですね。しかし知られてしまったからには貴方も死んで頂いくしかありませんね。それとそこの男のアジトのは既に片ずけましたので心配要りませんよ」


つまり捕まっている女性共々殺したか、初めから盗賊と目撃者は殺すつもりか……。


「それでナターシャは誰の指示でここに来たんだ?」


「____ッ!本当に良い眼をお持ちね…益々死んで貰わないといけないわね」


背筋がゾワゾワっとした……これが俗に言う所の運命の出会い?


ダークエルフもといナターシャはフードをバサッと取るとそこには景明の知っているちょっと違うが健康的な褐色の玉のような肌に長く尖り僅かな音も聞き分ける事ができそう耳に整った顔立ちはまるで絵画に出てくる美女のよう。髪はさっきまでフードに隠れて見えなかったが長くサラサラと風に揺れる銀髪は一本一本がシルクの糸のように美しいかった。




えっ?何でそんなに細かく見てるかって?


そりゃルフネが『私の世界は美人も多いですよ』とは言っていたけど……綺麗過ぎじゃない?と思える美人だった。


「さっきまでフードを被ってたのに何で顔を見せた?」

「別に構いませんよ、全員消してしまえば済むことですから」

「我がいる限り!主には指一本触れさせんぞ!」


いや指一本でも良いので是非とも触れて頂きたいです!


「聞いた事があるわ…確かダークエルフの凄腕暗殺者の話…」

「あたしも聞いた事ある、確か…その姿を見た者は皆殺しにされるっていう」


いやいや皆殺しなら誰が話を広めたんだよ。


でも……そんなに強いなら………是非ともお近づき__じゃなくて仲間にはしたいな。うん、是非とも。


「話はそれくらいにして始めましょうか……」

「ああ、そうだな…所で答えなくても良いけど、俺達の仲間になることは有りえる?」

「フフッ!この状態で勧誘ですか?余裕ですね………そうですね、もし貴方が___」

「景明、俺の名前は景明翔馬だ」

「カゲアキショーマですか……ではカゲアキ、貴方がもし私に殺されなければ考えても良いですよ」

「へぇ考えても良いってことはナターシャは俺達に負けると思ってるのか、そうか噂になるような暗殺者も大したこと無いのか?それで俺の勧誘も"考えても良い"なのかガルディアンそれほど大したこと無いようだな」


ガルディアンは俺の意図を感じ取ったようで同じように煽る。


「そ、その様ですな、主は我の後ろで休んでいてくだされ」

「待ってくれガルディアン、ここは主の俺だけでも問題ないさ」


アイコンタクトでガルディアンもハッとしたようで続ける。


「そうですな、この程度の相手ならば主の練習にはもってこいかと」


「さっきから私を嘗めてるようだけど、カゲアキなんて私の相手にはならないわよ」


うん殺気?らしい者がビンビンですよ。


そんなに見つめないで童貞はシャイなんだから。


「それじゃあ貴方から殺してあげますよ」

「待った!!」


俺は手を前に出してストップのジェスチャーをする。

「何ですか?今更怖じけ付いても遅いですよ?」

「そっちじゃなくてさっきの仲間になるっていう話だ。もし俺を殺せなかったら仲間になることは約束してくれるか?」

「大した自信ですね………良いでしょう私がもし貴方を殺せなかったら貴方の仲間でも殺すでも好きにして下さい」


まぁ言質は取った…。ガルディアンも戦闘態勢ではあるが俺の後ろでリアレスとネルトを守っている。


「いやいや殺すってそんな酷い男に見える?」

「さて、どうでしょうね?フフッ………ではさようならカゲアキ」


するといつの間にかナターシャは背後へ回り込まれ短刀が背中へ突き立てられる。


___ズブッ


正確な一突きは肋骨の隙間から心臓を捉え、そのまま引き抜くと血飛沫が景明の背中から噴水のように溢れる。


「___ウッ!ゴハッ!」


____痛ぇ___背中が熱い___意識が____途切れそうだ__口の中は鉄の味がする


景明は膝を着き、前のめりで倒れるとナターシャは興味を失ったように景明に背を向けガルディアンへと意識を向ける。


「カゲアキ!!」


「ガルディアンさん!カゲアキさんが死んじゃいますよ!」


「…………」


「次はミノタウルスに相手をして貰いましょうか」


俺は超回復を使い傷口が塞がれていくが回復が遅い。


力を入れるように傷口に集中すると回復が速くなるようだった。


どうやら何かを消費すると超回復の速度が上がるようだ、何を消費してるのか……要検証だな。


「貴方の主人は大層な口を叩いておきながら、呆気なかったですね」

「よくも我の主を!楽には殺さんぞダークエルフ!」


えっ?死んでないよ?……あっそうか俺の回復するために時間稼ぎしてくれてるのか………………だよねガルディアン


まだ動かない、サプライズは大切だからね。わざと倒れておこう。


「フフッ…貴方は強そうですから私も本気で行きますよ」

「随分と余裕のようだが我を従魔にした主を見くびり過ぎたぞ」

「____えっ……うそ……」

「___そんな…あの傷で……生きて……」


ナターシャはゆっくりと振り向くとそこにさっき心臓を一突きで殺した筈の景明が立ち上がっていた。


口の辺りは吐いた血で朱に染まり、足元は赤い水溜まりが出来ていて普通の人間なら出血多量で死ぬ量だった。


「あー服が血で汚れたし、破れたな」


「___ッ!どうやら貴方は普通人間では無いようですね」


「まぁね、で…どうだろう仲間に成る気になった?」


「いいえ、まだですね貴方の首を取ってから考えましょう、黒魔法"影縫い"…」


ナターシャが別の短刀を地面に向けて投げると景明の目の前に刺さる。


「名前からして相手を動けなくするスキルか…」


次の瞬間には金縛りのように体が動かなくなり口だけが動いた。


「これで後は首を落とすだけですね」


「主よ!!」


「ガルディアン!手を出すな!」


「あら…良いのですか?従魔に助けを求めなくて」


「ああ…それにしてもさっきの魔法にその短刀もよく訓練され、手入れをされてるようだね」


「本当に……何処まで余裕なんですか貴方は」


ナターシャはゆっくりとこちらに歩いてくる……あっ…何か良い匂いする…


「余裕なんてないし、危険を犯さないで優秀で美人な仲間(人外娘や亜人)が認めてくれるとも思っていないよ」


「___ッ!フフッ……こんな状態でよくそんな事が言えますね」


「まあこんな俺にもついてきてくれる仲間がいるからね、その期待には応えないと、それが俺に出来る誠意であり義務だと思っているよ」


「あのミノタウルスは良い主人を見つけたようですね……」


目の前まで近づき短刀を首へ当てる。首に痛み走り血が短刀を伝い滴り落ちる。


「とても……魅力的なお誘いですね…」


「…………」


短刀はそのまま首を跳ねる事は無く、ゆっくりと離される。


ナターシャはとても悲しそうで悔しそうな表情だった


「ですが……残念ながら私は貴方のお誘いを受ける事は出来ません……」


「………深い事情があるようだね」


「私は今の雇い主を裏切ると……私の大切な家族に危害が及びます」


「……人質か」


「ええ……そうですね、ですから貴方のお誘いを受ける事は出来ません……」


腐ってたやがる……ナターシャを逃げないようにコキ使ってるのか。


「何で俺にその事情を話してくれたんだ?」


「何ででしょうね……私にも解りません……けれど貴方は他の人間とは何かが違う貴方はなら___いけませんね……私も焼きが回ったようですね……少し喋りすぎました忘れて下さい」


金縛りは既に効果が切れたのか、身体は動けるようのなっていた。


「___それが……」


「………?」


「ナターシャの捕まっている家族を解放できたら…俺の仲間になってくれるか?」


「無理ですよ……相手はこの国の貴族ですよ…貴方には荷が重すぎますよ」


「主よ!この件は我らには__」


「難しい事は分かってる、でもさガルディアン……こんなに人が死んでるのに自分は高みの見物決め込んで、のうのう生きてると思うと俺は……許せない!」


こんな事をする奴が生きてて良い筈が無い。


「フー…主がそれを望むのならば我は何処へでもお供するまで

主の好きなようにされよ」


「ありがとうガルディアン」


「リアレスさん!ここから街までどのくらいですか!」


「はっ、はい街道に出るまで歩きで1時間程でそこから街まで3時間程です」


「あたし達の乗って来た馬達は……みんな逃げるか倒されたから、歩きで行くしか」


歩きで5時間……太陽は真上の辺りだから昼くらいか?


どのくらい太陽の沈み具合がどのくらいか分からない、夜の移動は危険だろう。


それに__この惨状をこのままには出来ないか……。


「ナターシャ、雇い主には今日中に戻るようにいわれてるか?」


「ちょっ!貴方は何を考えているのですか。それに私は敵ですよ」


あっ、慌ててる……素の表情も綺麗だ……。


「いいから、それによって行動も変わる」


「いえ……数日は……」


よし、時間は何とかありそうだな。


「それじゃまずこの亡くなった人達を弔おう…作戦はそれからだ」


「では我は亡骸を集めましょう、放っておくとアンデットになるやもしれませんからな」


そうかこの世界ではモンスターもいるからな。


______

_____


それから遺体を触って変な細菌に感染しないように超回復スキルと状態異常耐性スキルを持つ俺とガルディアンでが遺体を盗賊と騎士、村人に分けて集め火葬にした。


近くに小川が流れていたのでガルディアンと二人で体や汚れた服や鎧を洗いやっと一息つけた。


さすがに血塗れでずっといるのは気分が悪い。


小川には10cm位のマス?に近いような魚が泳いでいた。


夜飯に何匹か捕まえようとしたが一応鑑定を…。


名前:ティミドフィッシュ


食可 要加熱


加熱すれば食べれそうなので石で囲み捕まえようとするが逃げるのが早い。


するとガルディアンがハルバートを小川に叩きつけた。


バッシャーン!


魚が陸に打ち上げられピチピチと跳ねている。


水の中で何かが爆発したみたいにぶっ飛んだ。


結局ガルディアンのおかげでティミドフィッシュを10匹手に入れた。


因みに服はリアレスさんとネルトさんの火魔法で乾かして貰った。とっても便利だったけど乾かしている途中は腰布だけで恥ずかしかった。


今後の為にも魔法使いを是非とも仲間になってほしい。


色々とやっていると時間が過ぎるのはあっという間に過ぎ、空は暗くなり黄昏時となった。


それから騎士団の兵站(へいたん)を使い野営の準備をするためテントを張り焚き火を囲み保存食を確認すると干し肉、カチカチのパン、干した果実レーズンらしきものなどであとは塩が少々あった。


さっき獲れた魚は腸をとってその辺の枝を削った串に刺して焚き火の側で焼いている。


保存食は何十人分もあったので量はあったが味は…まぁ旨くない。


俺以外は普通に食っているが日本から来た俺からすると、旨くはない。


魚の方は塩をかけて食べたが中々旨かった。


そんなこんなで辺りは暗くなり食事も終えて作戦会議だ。


そういえばナターシャは盗賊のアジト着いた時には捕まっている女性3人は盗賊が既に殺してしまっていたらしい。


取り敢えず死体を処理してこっちに向かったという話だ。


_____

____


リアレスさんとネルトさんはナターシャの方を注意して離れていた。


そんな訳で焚き火は俺とガルディアンがナターシャの両隣りに座り向かい合う所にリアレスさんとネルトさんが座っている。


「えーではこれよりナターシャの家族救出及び、グズ貴族を暗殺の作戦会議を始めます。まず俺とガルディアンはこの先の街レティセンシアについて何も知らない、ネルトさん街の規模と街の責任者の名前を教えて頂けますか?」


「街の規模……は南の大陸で4番目に大きいって聞いた事とあるけど、責任者…というかこの辺りを治めているのは辺境伯ロナルド・ランドール様だね、あたし達騎士団は辺境伯雇われている身分だね」


街はある程度大きいのか……となると。


「それじゃ次はナターシャの雇い主は?」


少しの沈黙の後ナターシャは重い口を開いた。


「………ロナルド辺境伯です」


ああ…………そういうことか。


「そんな!という事はロナルド辺境伯が私達を盗賊に襲わせたと言う事はですか!?」


「………もしかして獅子の牙(レオーネファング)は街の治安維持を任されてる?」


「ええ、私達はこの間も闇取引で不正な利益を貪っていた商人を捕まえたのよ」


「あたし達の大捕物だったんだ、領主様が直々に商人を裁く為に引き渡すように言われたし」


「主よ、これはアレですかな」


ガルディアンも考えは一緒のようだ、つまり裏で辺境伯はその商人と繋がり甘い汁を吸っていた。


でも騎士団に商人を捕まえられて邪魔になった騎士団を始末するために少しずつ戦力を削って何か罪をでっち上げて解散させようって腹かな。


「もしかして辺境伯は騎士団以外に私設部隊を持っていたりする?」


「よく知ってますね。あんな奴等は冒険者崩れのならず者だ、街での評判は最悪だよ、ねっリア」


「大体100人前後の私設軍ですね、ネルの言う通り冒険者崩れや街のならず者達ですね」


「うーん…恐らく騎士団で捕まえたその商人は辺境伯に賄賂を握らせていたんだろうね、それで言い方は悪いけど邪魔になったから始末しようって考えなんだろうね、どうかな?ナターシャ」


「ええ、ほぼその通りですね、ですか辺境伯は既に騎士団解散のシナリオは出来てると言っていました。騎士団の1部隊を全滅させ、その責任を取ってで団長を処刑し、騎士団を解散させると言っていました」


「なんて奴なんだ!」


「私達をそんな理由で……」


「そのような貴族がのさばるとは人の国も落ちたものだ」


「なら敵の第一段階はほぼ成功してしまったような物か……所でナターシャの家族の人数と居場所は?」


「人数一人、場所は母が辺境伯の地下牢に囚われています…」


「人質は地下牢に一人……グズ貴族を暗殺……団長を処刑……騎士団を解散……どうしたもんかな」


どうやらそのドナルドだかロナルド辺境伯は欲にまみれたどうしようも無いグズ貴族のようだ。


さてと、じゃあ何がグズ貴族にとって嫌な事か考えよう、


まず第一にグズ貴族は今邪魔な騎士団を解散させたい。


その為に団長を処刑し騎士団を解散させたい。


第二にグズ貴族は暗殺師であるナターシャが人質がいるので逆らえないと思って安心している。


ナターシャに計画を話す位だしな。


第三に商人から賄賂を受け取っているお金が大好き


この三つに付け入る隙がありそうだ……。


_____

____


それから作戦会議は暫く続き、夜も更けて女性三人はそれぞれのテントで眠りについた。


俺とガルディアンは交代で見張りを担当した。


皆が寝静まる中で俺はある練習を必死に行っていた。



いよいよ明日は行動開始だ…まさか異世界転生した初日からこんな事になるとは、人生分からないな。


と、いう訳で次回は街へ向かいます。

読んで下さっている方ありがとうございます。

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