三話~離れてゆく現実
どうも皆さん。神ヶ月雨音です。
頑張って更新頻度上げていってますが、まだまだですね。
今回を書く際も、また家のパソコンのWordが扱えない状況に陥ってました。なんか自動で設定変わっちゃうみたいです。正直だるい
まあさて、そんなことは置いといて、本編行きましょう。
では、聖天のQ、始まります。
「それじゃ、行ってくるよ」
「絶対に帰ってきてね?」
「うん。約束するよ」
涙ぐむ夕姫の頭を撫で、来人は優しく笑って見せた。
先日。急遽全プレイヤーに通知があった。内容は、とある島に全プレイヤーを召集するというものだった。期日までに集まらなかったプレイヤーは強制的に死亡となるらしい。狙いは全くわからないが、夕姫を危険に晒すことが無くなるため、来人は喜んだ。
最小限の荷物を持ち、来人は自分の住む街を出た。幸い、指令された島はさほど遠くない。近くの港まで向かい、出発する漁船に『不可視』を使って潜伏して、近くで海に飛び込んで泳いでいくつもりだ。
「少し骨が折れるけど、仕方ない」
海岸を目指し、歩を進めた。
家を出て早二十時間。来人はようやく指定された島に到着した。本心は早く服を乾かしたかったが、そんなことをしている暇は無い。今この島にはプレイヤーしか存在していない。気を抜けばすぐさま死が訪れる。
「にしても、よくわかんない島だな……」
来人は近くにあった丘に登り、島を見下ろした。それなりに広い無人島のようだ。しかし、明らかに文明の跡がある。そこら中に廃墟が並び立ち、崩れたビルも複数見受けられる。
「何なんだここ……明らかに普通じゃないな」
そう呟いたとたん、来人の右腕に鈍い痛みが走った。
「っ……!」
銃弾が掠めたようだ。瞬時に敵襲だと察したが、レーダーに反応は無い。
「『潜伏』か……。なら」
能力『集中』
来人は一発発砲し、その銃弾に能力を当てた。相手がその銃弾に視線を奪われているであろうその一瞬に、来人は辺りを一周見回した。
「見つけた」
数百メートル先からこちらを狙っている少年を見つけた来人は、再度発砲した。
こちらの行動に気づいた少年は、咄嗟にその場を離れらい人めがけて突っ込んできた。しかし来人は予測していたように、次の一手を打った。
能力『追尾』
少年がかわした銃弾の軌道が、少年を追いかけて歪曲した。
「……やるね」
少年は落ち着いた様子で、後ろでにナイフで銃弾を叩き落すと、来人の前に立って対峙した。
「君も今来たところ?」
「その口ぶりじゃお前も今来たところか」
「ここで出待ちするのが一番だと思ってね。僕は『潜伏』を持っているから、レーダーに映らないやつがいたらすぐにクイーンだとわかるし」
「やっぱり、共にたたくという思考に至るやつはいないんだな」
「そうだね。仮に僕たち二人が五つずつ能力を持っていて、クイーンも同じく五つ持っていたとしよう。僕ら二人があわせて十の間は勝ち目があるけど、どちらかが死んで十対五になってしまえば勝ち目は無い。よって共闘は効率が悪いのさ」
「まあ、一理あるか」
納得した様子で、来人は銃を構えた。少年も同じくナイフを構える。どちらが先とも言わず、攻撃を繰り出した。懐に潜り込んだ少年が、来人の腹部めがけてナイフを振りぬいた。しかし、来人は間一髪でそれを弾き、数歩下がって発砲する。少年は目にも留まらぬ速さで銃弾全てを回避しながら、再び来人に詰め寄ってくる。
「ちっ、お前只者じゃねえな」
「まあね。こういうのが日常茶飯事な裏社会の出だから」
「どうりで他のプレイヤーと一味も二味も違うわけだ」
再び少年が地を蹴り、来人へ飛び掛ってきた。その瞬間だった。
「一切両断。覚悟」
能力『重力』
突如少女の声が聞こえたかと思えば、少年の体は真っ二つに斬られ、消滅した。
「誰だ?」
「そう警戒しないでいいわ、キング。私はアナタの味方よ」
そう言って姿を現したのは、右手に真剣を持ち、綺麗な和服を身にまとった長髪の少女だった。
「私は雨ヶ神凜。普通のプレイヤーよ」
凜と名乗った少女に連れられ、来人は近くにあった廃墟に入った。先に凜が用意していたのだろうか、それなりに生活できる空間になっていた。
「君は一体? 俺の味方ってどういうことだ?」
「そのままの意味よ。私もアナタと同じ、共闘すればいいのにという思考の持ち主よ」
「そういうことか。じゃあ、何で俺がキングだと知ってる?」
「先日のショッピングモールでの戦闘、見せてもらったわ。思っていたより戦えるようだったから、共闘するのに良いかと思ってね」
「ずいぶん上からだな」
「まあね。これでも真剣道や剣道とか、一通り武道は出来るのよ」
「その真剣は飾りじゃないってことか」
「ええ」
気づけば、凜を受け入れつつある自分に来人は驚いた。いつ裏切られてもおかしくない状況だが、不思議と凜は信頼できるように感じた。
「それで、私の提案は乗ってくれるの?」
「そうだな。いつでも裏切られる可能性は歩けど、それはそっちも同じか。いいよ、乗ろう」
凜は一瞬驚いたような表情をしたが、すぐにふわりとした笑顔を浮かべた。
「なら決まりね。よろしくキング」
「来人でいいよ」
「よろしく来人」
「こちらこそよろしく、凜」
死と隣り合わせの環境で得た仲間は、吉と出るか凶と出るか。
それはまだ、誰にもわからない。
来人「来人と」
夕姫「夕姫の」
二人「教えてアルマのコーナー!」
夕姫「いぇーい」
来人「さて、今回は今までに登場した能力の効果を見ていくよ」
夕姫「今回登場した『重力』も?」
来人「うん。じゃあ早速見ていこう」
1、『決着の銃弾』
・キングだけが持つ能力。直撃でなくとも、かすっただけで相手を無条件に思慕させることが出来る効果を銃弾に付与する。唯一、クイーンを殺すことが出来る能力。
2、『偽造』
・自分を他の人や物の姿に見せたり、物の姿を変えることが出来る能力。変化したプレイヤーの能力を使用したりは出来ない。
3、『不可視』
・その名の通り、姿を見えなくする能力。自身の着用している衣服や所持物も効果は適応される。適応範囲は自身のみ。
3、『集中』
・自身の意図した場所に周囲の視線を向けることが出来る能力。強く意識すればある程度避けられる。
4、『追尾』
・発砲した銃弾の軌道を操作できる能力。正しくは相手を追いかけるような軌道を取る。
5、『潜伏』
・レーダーに映らなくなる能力。
6、『重力』
・意図した場所の重力を強くしたり、弱くしたり出来る能力。応用として、物体の質量も操作できる。
来人「こんな感じかな」
夕姫「こう見ると、来人の持ってる能力ってあんまり戦闘に向いて無い気が……」
来人「言わないで(汗」
夕姫「じゃあ、今回はこの辺りで」
来人「次回もお楽しみに~」