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Killing Freeeeeeeeedom!!   作者: 瑞華
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3話 経験

3話 経験



「アンタ、経験者だよね?」


突然言われた言葉。そう、“経験者” 心臓の音が一気に早まった気がした。



「小林湧水。クラスが始まっていた頃からマークしていたけど…バド部に入るとはね…」


周りが打っているにも関わらずにヒソヒソと声が聞こえてくる。「あいつ経験者マジ?」「小林なんて聞いたことないぞ…中学の時」

そんな言葉が聞こえたけど全部シャットアウトした。


「中学の時、どうして!!1度も出なかった!?何があったのよ…中学の時」

「…中学の時はバド部に入らなかった」


答え方が悪かったのか、彼女の機嫌が悪いと分かるかのような口調で「そう…」と小さく言って、ラリーを続けた。ラリー中ミスをすると、小林を睨む。小さな声で舌打ちをしながらプレーをする。2分と言う長い時間が終わり、すぐに隣のコートに移動する。…しかし小学校の頃に彼女に何をしたのか…




「小林君、君が経験者とは…」

「中学校の間はやってなかったからブランクあるけど…そういえば、1年で経験者って何人いるの?」

「えーと、俺と飾、後平泉もかな。女子だったら…類家さんや風間さん。後本多さんも」

「後は皆高校から始めたってこと?」

「そーゆーこと」


天王洲は自販機で買ったコーラを半分ぐらい飲み干す。今いる場所は駐輪場。自転車置き場だ

「俺が知っている限り、俺と平泉と本多さんは小学校の頃から。飾と類家さんと風間さんは中学に始めたそうだ。小林君、君はいつから?」

「僕は小学校から。とは言っても中学校の間はしなかったけど。」

「中学の時…何があった?」

小林はペットボトルをカゴの中に入れ、夕日を見ながら話を始める。話始める直前に…




?「おーい、お前ら何やってるんだー?」



やってきたのは経験者の1人、氷室飾


「あぁ、ちょっと話をね。」

「何の話か知らんけど、聞いていい?」

「良いけど…僕が中学校の時になぜバドミントンをやっていなかったかって話だけどね。」

「ふーん…なるべく簡単にしてくれ!俺難しいの苦手なんだ」

「難しいとかないでしょ…」


ある程度落ち着いたところで小林が始める。


あれは小学校最後の大会―――――――――――いや、最後の大会って言い方は少し違う。小林にとっての最後の大会って意味だ。

12月の中旬にあった。寒い時期の大会だが、大会が行われた場所は暖かい場所で雪が降ることはない環境的に良いところだった。

小学校の大会は学校同士ではなく、クラブチーム同士試合が多い。学校によっては遊びではなく、本格的にやっているところもある。

小林が所属していたのは地元のクラブチーム。同じ小学校の子や近隣の小学生が通っていた。その中でも小林は群を抜いて強く、大会で何度も好成績を収めた。


「先輩!」

「莉央!頑張ってる?」

「はい!頑張ってます♪早く先輩に追いつきたいですから!」


莉央と呼ばれた人物は小林の1個下の後輩。小学校の大会は基本的には学年同士のぶつかり合いだけど、人員不足やバランス的な問題で6年生と下級生が組むと言うのもある。小林のペアは岸山莉央(きしやまりお)。当時5年生で現在は中学3年生。


「次の大会しっかりサポートします!」

「お互い頑張ればいいんだよ。足りないところは補ってね」

「先輩かっけー!!!」


岸山は素直で聞き分けもよく、良い後輩だった。小学生ぐらいの年頃はやんちゃで言う事を聞かない子もたくさんいるが…この子はちゃんと躾けられている。そう思った。

クラブは週に3回。小林と岸山は同じ小学校だったのでクラブがない日の放課後、よく体育館を借りて練習していた。


「先輩!スマッシュ※の練習したいんで上げてもらってもいいですか!?」

「いいよ。打ったスマッシュは返すからレシーブは好きにしていいよ。」

「はい!」


サーブを打つ時はロングサーブ※。ショートサーブ※でもいいが、個人的にはシングルスの方がスマッシュやクリア※、ドロップ※を打たせるにはちょうどいい。


「先輩の高い~…;;;」


岸山の身長は高い方ではないので、小林が打つ高いサーブを捉えるのは難しい。スマッシュは打点が高いほど強くなる。岸山は打点を高くするために少しジャンプをする。ジャンプをしてスマッシュを打つことをジャンプスマッシュ※と言う

岸山が打ったレシーブを小林は表情を変えずにショート※であげる。この時の岸山は反応が遅く、小林が打ったレシーブに対応できなかった。


「ほら、次々!」


スマッシュ10本打って、休憩の繰り返し。水分補給をしながら続けていく。学校が閉まる頃に練習を終わらせ、片付けを始める。


「やっぱ先輩スゴイや!今日やった中では10回中4回は返すことが出来なかったな…」

「それでも上手くなってきているよ。莉央は上達が早いね」

「ありがとうございますー!」


コートを片付けて体育館施錠し、そのまま帰る。


「先輩!今度の大会頑張りましょう!」

「おう!頑張ろう」

2人はお互いの拳を軽くぶつけて、そのまま笑顔になる。分かれ道になると別れ、個々に帰っていく。小林は自分の手のひらをぎゅって握り締める。今度の大会は絶対に勝つ


「(気のせいか、足が痛いな…)」


今日はこけてもないし、たくさん動くフットワークをしてないから足を痛むってことはありえない。…まあ大したことはないだろう


そして大会当日――――――――


「先輩!おはようございます!」


会館は8時。小林は10分前に来るが、莉央は30分前には到着していた。メンバーが揃い、監督も全員着たところで体育館に入り、指定の座席に座る。座席は大会によって異なるが、大体大会側からの指定が多い。指定がない場合は座席の争奪戦になり、時にトラブルが起きてしまうものだ。

「クラブチーム…ハヤテは…ここだ。」


座席は体育館の2階にあり、小林が所属しているクラブチーム“ハヤテ”は2階から1階に降りる階段に近い席。座る順番は前がクラブメンバー、後ろが保護者。荷物を置き、試合が近い者はユニフォームに着替えたりした。

大会と言うのは、所定の時間になったら開会式が始まって、すぐに試合が始まる訳ではない。必ず練習時間と言うのが設けられる。1コートに○○クラブという感じに割り当てられる。人数が多いところは2コート、3コート使う場合もある。

練習出来る時間は約10分。それ以降のコート内での練習は認められない。

10分間何をするのかと言うと、基礎的なラリーを行う。ドライブ、ドロップ&交互とやっていく。人によっては時間制のミニ試合をやったり、ずっと打ち続けていくだけのラリーをやったりする人もいる。

ハヤテの練習時間は8時10分から20分。そろそろ入らないといけない。


「先輩!あれしましょう!オールフリー!何が起こるか分からないあれ!」

「何が起こるかって…でも、オールフリーは本番でも出来るから…莉央が出来ない…クリア&スマッシュをやろうか。」

「え~~~~」


練習時間10分間が終わり、開会式が始まる。…そして開会式が終わった後は監督から集められた。


「今までしてきたことをしっかり出していくこと!まずは予選リーグで勝ち抜け!」

「「「「「「「はい!!!!!!!!!」」」」」」」

解散し、試合時間に余裕がある者は応援席に戻る。小林と岸山は一発目から入っている。相手は大宮ジュニアの6年生2人。ブロックはC。C-1だ。

「頑張ろう」

「はい!」


「ラブオールプレイ」


試合が始まり、空気が変わる。2人は応援席からの応援が聞こえないぐらいに集中をする。サーブ権※はじゃんけんによって決まり、莉央がじゃんけんを受けた。結果は負けたので、こちらはレシーブだ。

相手がロングサーブを打ち、後ろにいる莉央はスマッシュを打つ。相手も莉央のスマッシュをショートで返し、前衛にいる小林がヘアピンで対応する。

まずは1点。まずは1点だ。

試合の形式は15点3ゲーム。どちらかが15点取ったら、勝ちである。それを3ゲーム中に2セット取れたら勝ちである。

小林のヘアピンで1点を手に入れる。点数版が0から1に変わる。



「よし!」



予選リーグは何事もなく、順調に進んだ。お互いの気持ちも落ち着いていて、試合中息もピッタリで…予選リーグはCブロック1位で進んだ。

女子の予選リーグが終わった後、30分間の休憩があった。その休憩が終わった後、すぐ試合だ。

男子はAからFまでのブロックがあり、ブロック内の1位が決勝リーグへ勝ち進むのだ。AブロックとFブロックはシードで、1番最初にある試合はBブロック1位、Cブロック1位からだ。

決勝リーグは21点3ゲームマッチで、先ほどの予選リーグと同じ様式だ。


「やはり決勝リーグだと、厳しくなりますね…」

「相手があの“日向ジュニア”とは…」

日向ジュニア。県内で1番強いと言われているクラブチームだ。このチームから全国大会に出場している選手もいる。

警戒心が強くなり、試合前に始まる握手も思わず手が震えたものだ。

だけど


「先輩!相手が強いところでも頑張りましょう!先輩だって強いんですから」

「…ありがとう」


莉央の励ましによって、緊張がなくなり、すぐに試合モードに移った。サーブ権はこちらにあるので、初めにサーブを打つのが小林。小林はショートサーブが得意なので、ショートサーブを打つ。打ったショートサーブが少々高かったのか、すぐにスマッシュが打たれ、早速相手に流れを持っていかれる。


「早い…」

「次!行きましょう!先輩!」


相手にサーブ権が移り、相手がどんなサーブを打っても良いように準備をする。

手前に落としてきて、サービスラインギリギリに。

莉央の反応は早く、すぐに上げる。だが、上げるとスマッシュで叩かれる可能性が高い。相手はチャンスと思い、すぐに叩く。


「やばい!」


スマッシュはアウトギリギリの場所に落とされ、小林の足が間に合わなくて、またもや1点取られる


「ごめん…」

「まだ2点じゃないですか!次!頑張りましょう」


相手がサーブを打ち、小林が真っ直ぐ叩く。それが強かったのか、相手は取りきれずにようやく1点取る。2点分小林のミスによって取られたので、これで1点分の汚名挽回が出来た。

サーブ権がこちらに回ってきたので、莉央がサーブを打つ。ロングサーブをし、相手はクリアで返してくる。


「先輩!お願いします!」

「ああ!」


小林はスマッシュで叩き、落とした場所がアウトギリギリのライン。相手はアウトと判断したが、線審※の判断はイン。これで2-2になり、同点となった。

「こっからどんどん点数上げていくぞ!」


「はい!」


そして14-15となり、デュース戦となった。デュース戦になると、どちらかが2点差をつくか、30点取るか。現在こちらが1歩リーチしている。

サーブ権はこちらにあり、小林がサーブを打つ。

サーブを打つと、相手はショートで返し、莉央もショートで返す。この1点で勝ち上がるか、延長戦が決まるのだ

相手はロングを打ち、小林は後ろに走り、スマッシュを打つ。それを返し、今度は莉央がヘアピンを打つ。そのヘアピンを返そうとしたが、ネットにインしてしまう。これによって、小林・岸山のペアが勝ち上がったのだ。



「よっしゃ!!」


2人はハイタッチをし、審判から貰った紙に勝者サインを書く。このまま行けば、優勝するのも夢ではないかもしれない…









※スマッシュ…バドミントンの基本の打ち方。最強の攻撃技で、球技の中では最高速度を出すことが出来る打ち方。

※ロングサーブ…高く上げるサーブ

※ショートサーブ…低く上げるサーブ

※クリア…バドミントンの基本の打ち方。上に高く上げる打ち方。サーブと違うのは、サーブは最初に打つ物で、クリアは試合中に高く上げる事を指す。

※ドロップ…バドミントンの基本の打ち方。手前に落とす技で、スマッシュと比べると速度が落ちる。

※ジャンプスマッシュ…ジャンプをしながら、スマッシュを打つ。打点を高くするために用いられる。ジャンプすることによって、威力が上がることもある。

※ショート…ドライブの事を指す。低く、真っ直ぐ打つ。

最後に更新したのが11月…!?と驚きました。瑞華ですーお久しぶりです。2017年になりましたね(

今回新たな用語がたくさん出てきたのですが、多くなったんで他の用語は次回以降に投稿していきます…わかんねーよ!って思った方もいますが、次回の更新に書いていきますので…

小学校のバドミントンを書きましたが、私自身小学校の頃はバドミントンはやっていなかったのであんまり詳しくない;;;←次回からは更新頻度を上げていこうと思います~

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