2話 女子部員
2話 女子部員
「小林!とうとう部活入ったのか!!」
「まぁ、まあな」
「お前が出る大会絶対に見に行くからよー!楽しみにしてるわ!」
「あ、俺も行くー」
「行きたい行きたい!」
小林が部活入ったと聞きつけた松井。そして近くにいた人達は小林の席に集まる。
「ありがとう。総体が近いけど…総体に出るのは限らないし。」
「あー高校総体。俺らレスリングもあるぜ。日が被ったら行けねーけど、ダブらなかったら行くわ」
「総体出るんだね、頑張って」
「お前もな!」
高校総体。恐らくバドミントン部がある高校が必ず参加するであろう大会。年に一度しかなく、高校総体は県大会で各地方の高校がやってくる。そこから九州大会、インターハイと行く。このフェニックス学園の目標はインターハイ出場。正直言ってこの学校の戦歴は聞いたことない。小学校の頃から中学の強豪、高校の強豪がどこかと学んだりしていたので有名な高校は割と知っている。
中学の間はバドミントンをやっていなかったので、そのような相手と戦うことはなかったから、入ってしまった部活では高校の強豪と戦わないといけないかもしれない。
?「おぉぉぉい♡小林くーん♡」
普段低い声の人がわざと高い声を出している感じの声が廊下から聞こえてきた。
「おっ、お前部活に入ってとうとう女できた?」
「入部したばっかで!?すごくね?」
「てかさ、オカマっぽくね??」
廊下側の窓を開けてみると、見覚えのある人が。確か…平泉君
「部活いこーぜ★」
手を頭の近くに当て、いかにもチャラそうな感じ。バド部のチャラい人その2 平泉
隣にいたのは一色。彼は純粋無垢って感じの子。
2人とも制服姿だが、荷物を持っている。部室で着替えるのだろうか。
「今行くよ!」
立ち上がり、引き出しに入っている教材を全て鞄に入れていく。リュックを取り、鞄を持って2人のところに行く
「じゃ、また明日!」
「おー頑張れよー」
松井達は小林達を見送り、いなくなった所を見てまた話す。
「…女じゃなかったな」
「あれで女の声って判断したお前らは一体何なん」
「今日の部活は、ノックと基礎打ちにグループを別れる。まずは俺と西野と本郷、倉敷さん、朝倉さん…八乙女さん…真柴も入ってもらおうかな。後は…」
「今呼ばれたメンバー8人だろ?まず2年は全員やらないといけないから、伊藤さんと欠瀬さんも入ってもらおう。それでいいんじゃない。」
「そうしよう。2年3年はノック!1年生は全員基礎打ち!分からんやつは1年に教えてもらえ!!」
「「「「「「「「「「「「はい!!!!!」」」」」」」」」」」」」
返事をした後はそれぞれのグループに別れる。皆手際がいい。慣れてない身としてはどうすれば分からない。
「コバヤシ…だっけ。タイマー持ってきてくれないか?青の鞄に入っているだろ?」
「タイマー?あ、うん!」
飾からタイマーを持ってくるよう頼まれ、青いカバンから探し出す。青いカバンに入っているものはテーピングや湿布など怪我した時用の救急道具類が入っている。その中からタイマーを取り出す。100均で見たことある赤色でシンプルな形。ボタンが3つあり、分と秒を合わせるボタンとストップスタートを押すボタン。
「これでいいんだよね?」
「あざっす。それじゃ、分かれていこうか」
今いる1年は10人。今ある2コートを半分に分けると考えれば、8コート。余りは2人。1人タイマーと休憩入れればちょうどいい。
「じゃあ、適当に入っていってー」
飾が仕切っていく。真っ先にコートに向かっていく
出遅れた小林も急いでいくが、コートは全部埋まってしまい、自動的休憩且つタイマーになる。タイマーを2分に設定し、始める。各コートそれぞれ打っていく。
?「小林君休憩なの?わたしもだよ~」
ステージの上に座ってきたのは黒髪ロングの女の子。一瞬美人って思ってしまう。黒髪ロングの清楚系。クラス違うからどんな人かは知らないけど、この人相当モテるんじゃないかってレベル。
「あ、自己紹介がまだだったね。私は風間瑞稀だよ。天王洲君と同じ人文学部1年です。よろしくお願いします♪」
「僕は小林湧水です。理数科1年。こちらこそ…」
「湧水くんって呼んでいいかな?」
「あ、どうぞどうぞ!」
「ありがとう♪湧水くん!」
異性に名前呼びしてもらえるのは何気に初めてな気がする。2分間、彼女と会話していた。クラスのことや、部活のこと。他人と会話するのは苦手だが、彼女が話題を出してくれたので普通に話すことができた。話上手で非常にいい子だなって思った。交代の時間がやってきて、風間にタイマーを渡す。
「風間さん、どうぞ。」
「ありがとう」
タイマーを渡し、コートに入る。ラケットは2本持っている平泉君が貸してくれたそうです。
まだ自分用のラケットを手に入れていない段階でやるのは気が引けるが、久々にやるプレーは出来るだろうか…
「小林で合ってるよな?分かる?今やってるやつ」
基礎打ちの相手はこの前氷室と言い争っていた女の子。この人だけは名前を知っていて、確か類家さん。見た目が本当にヤンキー。ツインテールの位置が高い。その上巻いている。
「ねえ、聞いてる?分かっているのかって聞いてるんだよ!」
「え、あ、はい…分かってます…」
「聞こえねーよ!!分かってんのか!?」
類家さんはイライラした様子で小林を見る。ほかの人は無視をして、ラリーを続ける。今やっているのはドライブ※
基礎打ちの始まりはドライブから。場所にも寄るが。
「分かってます!」
「…」
類家さんは無言でサーブを打つ。3年のブランクがある為、ちゃんと動けるかは分からない。しかも相手はこのイライラしきっている女の子。打ち方次第では…どうなるか
向かってくる羽を打ってみる。少し力を入れてしまい、ドライブではなく、プッシュ※になってしまう。この事によって、彼女の怒りが増していく
「これ、本当に分かってんの???これだから初心者は…」
「つぐみ!相手は初心者なんだぞ!そんなにキレなくてもいいだろ?」
「うるせーよ!!バドミントンやるんやったら、本なりネットなり事前に調べるものだろーが!!そして動画を見たりと打ち方学ぶんだよ!!」
彼女の言うことはあながち間違ってはいないが…今のは久々にやったのから調子が出ないというか…
自分を肯定しながら、プレーを続けたいと思うが…また類家さんと氷室君の争いが始まってしまったのでやることが出来ない。氷室君の相手である先輩も退屈そうにあくびをしながら、羽で遊んでいる。基礎打ちの時間は2分。時間が経つのを待っているだけだ。何とかしたいが、この2人の事はよく知らないし、下手に言ったら何されるか分からない。
2人の言い争いを眺めていると、後ろからドアを引く音が聞こえた。
「ストップ!!!ラケット置いて!」
2人の言い争いが突として終わり、皆ドアの方向に向く。小林も慌てて、ラケットを置き
回れ右を物凄く綺麗と言っていいほどの動きで後ろを向く。やってきたのは比嘉野先生ではなく、別の先生。…誰だ?
「気を付け!よろしくお願いします!」
「「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」」
「はい、よろしく」
先生らしい人は比嘉野先生と違って、年寄りのお爺さん。この人も知らない人なのでどこの科の先生か、何を教えているのかは知らない。ただ、見た目がキレたら怖そうな人。
「おい、飾。それと鶫。ちょっと来い。そこの1年生と詩音は2人でラリーやってくれ」
類家さんと氷室君はやってきた先生に呼び出される。雰囲気的に説教だろうか。
「よろしく、小林君」
「あ、よろしくお願いします!」
相手の先輩は2年生。真柴奏多さん。人文学科の人だそうだ。
サーブを打ち、それを返す。今度は不格好だけどちゃんと出来た
「あ、できたんだね。よかったよかった」
優しく言ってくれる。類家さんと違って。あの2人はここにはおらずに、外にいる。説教を受けているのだろうか
打っている間に2分が経った。さきほどの出来事が2分の間で行われたとは…
次の相手は…
「あっ」「あ…」
目が合って、お互い動きが止まる。相手は同じクラスの本田さん。まだクラスが始まって間もないのでメンバーの事はあまり覚えていない。だけど、昨日ようやく覚えた本多真知さん。彼女は無言で羽をラケットで拾い、打っていく。今からやるのもドライブだ。
「ねぇ!小林君!」
「はい!何でしょうか!?」
いきなり呼ばれ、ビビる。こんな強気で言われたらビビるのは当然。
「アンタ…経験者だよね?」
※ドライブ…バドミントンの基本の打ち方。ネット近くで使うショット
※プッシュ…バドミントンの基本の打ち方。相手のコートに叩き込むように打つショット
女子部員登場!出てきたのは類家さん風間さん本田さん3人だけだけど!一応この3人がメインになっていきます。他にも1年生はいますし、2年も3年もいます。1話で男子部員がたくさん出てきましたが、何人かはモブです。話の流れ的に全員名前付きで登場しちゃったけどw
もう1人の先生登場!顧問の先生ですよ。名前も次回出てきますのでお楽しみに♪
今回はバドミントン専門用語が出てきたので※をつけました。サーブとかショットは分かる…と思われるので※はなしにしました;これからたくさん専門用語が出てくるので話の最後に説明を載せます。バドミントンやっている方も、やってない方も見てくれると嬉しいです♪
次回も更新していきますよー!!