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Killing Freeeeeeeeedom!!   作者: 瑞華
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1話 とりあえず入部届け書きます

1話 とりあえず入部届け書きます


「あのさ、母さん」

「どうしたの?湧水」


湧水の母親、小林祐梨子こばやしゆりこ。家事全般ダメ…だが、出来ない訳ではなく、苦手だってことだ。料理も焦がすことが多いとか、塩と砂糖を間違えたりすることが多い。その為か、父親が料理担当で、朝食夕食、更には弁当まで作ってくれる。母親がすることは洗濯や掃除。だけど、それも要領が悪いのか洗濯物は溜め込むことが多かったり、干すのを忘れることが多かったり。これは湧水が幼い時からそんな感じでサポートをずっとしていた。


「部活って…やってもいいかな」

「そんなの、いいに決まってるじゃん?何を今更。」

「えーと…」


母は中学時代、湧水の補佐をしてくれた。腕を怪我した彼の為に不器用ながらもたくさんのことをしてもらった。たくさん励ましてもらったし、リハビリも手伝ってもらった。

小学校最後の大会であんな思いをしたのに、今になって入ると言うのは言いづらい。


「文化部?運動部?」

「う、運動部」

「何部?入るのはいいけど、小学校みたいに無理しないでね」

「…バドミントン部…」


勇気を出して、言ってみる。果たして反応はどうだろうか。



「……いいじゃない。さっきも言ったとおり、無理さえしなければいいだけだし…入部届け書くから。」


母親の笑顔は何となく無理しているような感じだった。書く文字もいつもの綺麗な字と違って、少し崩れた字だった。やはり、躊躇っているのだろうか…

入部届けを静かに受け取り、そのまま部屋に戻る。クローゼットの中を開けると中には小学校時代に使っていたシューズとラケット。シューズはサイズも変わっているから履けないが…ラケットはどうだろうか。ガットの部分を確認してみる。やはり、3年も使ってないからか、使えなくはないが良い球は打てないだろう。


次の日―――――――――


「おっ!入部届け持ってきたか!ありがとう」


この時の比嘉野先生はスポーツウェアではなく、スーツ姿。普通に着こなしているところがモテるんだろうな。


「はい、これが部費の徴収の紙でこっちが予定表。後…ラケットは持ってる?基本的には自費なんだけど…」

「ラケットは…ある事はあります。…今日は持ってきてませんが」

「じゃあ、今日は先輩たちのを借りてやろうか。シューズの方は体育用ので大丈夫だから。」

「はい。ありがとうございます。」



2枚の紙を受け取り、職員室から出る。移動しながら予定表を見ていく。やっぱり、普通の部活だから土日練習が当たり前だ。学校練習が多く、5時半から6時半までの1時間。今月末になっていくと、大会に近いのか5時半から7時半までと2時間練習が設けられている。

―――――今度こそやっていけるだろうか



「新入部員かー名前は?」

「あ、小林湧水。1年3組です。」

「おう!よろしく!」


話しかけてくれたのは3年の島田先輩。彼は普通科の先輩でバドミントン部主将でもある。


「ここの部、馬鹿しかいないから大変そうだよね…」

「オイこら」


島田先輩の隣に来たのは西野先輩。かなりチャラチャラした見た目。彼もまた普通科。


「まぁ、理数科とか人文学科の人は少ないからね…あ、俺の名前は本郷彗。俺も普通科だよ。」


3年は3人しかいなく、しかも全員普通科。この学校には色々な科がある。それぞれ…理数科、人文学科、普通科。理系の大学を目指す人は理数科、文系の大学を目指す人は人文学科、それ以外を学びたいのが普通科。でも、どの科にいても大して変わらない。理数科と人文学科だけは別だが。

理数科と人文学科は大学進学を目指すので授業数が多い。その為、他の科より1時間授業数が多い。


「3組!?マジで!!俺、2組だよ!よろしく!小林君!」


話しかけてくれたのは同じ1年の平泉君。


「普通科多いんだねー、僕は天王洲幾磨てんのうずいくま。特進科だよ。」


天王洲幾磨。名前だけは知っていた。入学当初から有名な人物で特進科の中ではトップの成績を収めている。特進科は成績が良い人が集まるクラス。彼は特進科主席の人だ。


「俺は氷室飾ひむろかざりだ!よろしくな!」


氷室飾。見た目も大きくてゴツイがいい人だと言う印象が見受けられる。昨日、1年の女子と凄い言い争いしていたが。


「1年は皆普通科だからいいけど…先輩たちはざっくり言うとな」


まとめていくと


人文学科:真柴(2)、朝倉(3)

普通科:伊藤(2)、欠瀬(2)、倉敷(3)、島田(3)、西野(3)、本郷(3)、八乙女(3)


この部活には理数科と特進科の先輩が1人もいない。大半が普通科の人だった。

一通り紹介が終わった後に顧問の比嘉野先生がやってくる。今日の練習メニューを伝えに来たのだろう。


「まず、もうすぐ協会に提出しないといけないから…今日は1年以外の出場メンバーを決める」


比嘉野先生の言葉を聞いて、皆が静かになった。


「今のところ決まっているのは、3年はもちろん。2年生にも出てもらう。そして…1年生だ。今年は1年がたくさん入部してくれた。団体戦は7人、個人戦にも参加してもらう。」


協会と言うのはバドミントン協会のことで、日本全国である大会はバドミントン協会によって行われている。県大会、地方大会、インターハイ。それら全てを取り仕切っている。


「だから、1年生にはトーナメント戦をやってもらう。今週末までに必ず準備を行うように。入ってきたばかりの小林には難しいかもしれんが…君にも出るチャンスがある。ラケットもシューズも準備しておくように。」


トーナメント戦を行うのは今週末。それでも今日は水曜日。後2日しかない中どう準備するか。


「小林君、部活終わった後時間ある?」

「え?あるけど。」

「部室来いよ。必ず」


氷室君が小声で話しかける。部室…一度は行っておかないといけない場所だ。荷物を置いたり、先輩たちとの交流を広げる場でもある。




「…狭くないすか?」

「どの部もこんなもんだよ。さー!どうぞ入った入った!!」


部室は思った以上にオンボロ。穴があいた小型のソファーにシャトルが入った箱にラケットケース入れ。ラケットケース入れはダンボールで無造作に入れられている。壁を見ると今朝貰った予定表が貼ってあるだけで、何もない。窓も不透明で汚い。そして狭い。

こんな狭い中に人が入るのだろうか。

すると、平泉と関口が部室の中にあったダンボールとシャトルが入っている箱を外に出していく。


「場所を少しでも広くする為に外に置いておくんだ。」


机も椅子も全て出して、ソファーだけが残された状態になった。


「それじゃ、改めまして…新入生ようこそ!バドミントン部へ!!主将の島田雅也と言う!よろしくな!」

「副主将の西野和成です。今日の部活お疲れ様会も兼ねて、新入生歓迎会をやろうと提案しました。改めてよろしくお願いします。」


2年の先輩が拍手喝采。1年の何人かも2人に向けて拍手をしている。


「それじゃ、1年生から自己紹介していこうか。名前とークラスと…後好きな食べ物」

「んじゃ、並び順で天王洲君から行こうか!」


「はい!改めまして、天王洲幾磨と言います。特進科1年1組、食べ物は…鮭おにぎりが好きかな?」

「2組!平泉幹史ひらいずみみきしです!食いもんは特になし!よろしくです!」

「1年、高松隆憲たかまつたかのりです。食べ物は…コンビニスイーツ」

関口翔せきぐちしょう、2組。酢豚が好物っす」

一色昴いっしきすばるだよー4組。オムライスが好きです♪」

田吉時雨たよししぐれ。6組。食べ物は基本なんでも好き…です」

「氷室飾っす!6組!好きなもんは唐揚げ!!」

「えーと…小林湧水と言います。クラスは3組。好きなものは鯖味噌です。」


1年生が全員終わると2年の先輩の紹介が始まる。


「それぞれ…天君、みっきー、高ちゃん、せきしょー、バルス、時雨、飾、湧水でいいかな?えーと、真柴奏多ましばかなた。これでも一応人文学科で、2組です。食べ物は…ハンバーグが好きかな」


2年の先輩は1人しかいないようで、3年の先輩は抜ける身なので彼が1人でこの8人を仕切っていくんだろうか。


「ラストは3年!普通科3年の島田雅也しまだまさや!食べ物はなんでも!後視力は両方Aだ!」


何故この時に視力自慢が出てきたのだろうか。どこにも目に関係する話題もないのに。内心思いながら、回っていく


「えーと…普通科3年の本郷彗ほんごうけいです。趣味は機械いじりです。」

西野和成にしのかずなり。同じく普通科3年。あとは特にないです」


3年の先輩の紹介はなんというか自由だった気がする。今いるメンバーの紹介は全員終り。これで全員だろうか…

「今日来てない人っているんですか?」

「あーーーーーーーーーーー…………………いないな。」


あーからの間は一体何だろうと思いながらも、それ以降は問い詰めなかった。今日は歓迎会だから場の空気を悪くしてはいけない。


「よっしゃ!今日は飲むぞー!!!1年生達も好きなだけ飲みなよ!」


西野先輩が持っているのは1リットルのペットボトル。中はコーラにスプライト、オレンジジュースにカルピスソーダ。どこから持ってきたんだろうと思われるジュースにたくさんのお菓子。お菓子は近くにあるコンビニで買ってきたそうだ。


「あー!!上手い!!」

「雅也―酒じゃないんだからそんな豪快に飲むなよ」

「俺は可愛い1年が入ってきて嬉しいんじゃー!!!」



島田先輩はジュースで酔っているんじゃないかって思われるぐらい叫ぶ。他の皆もゲームしたり、話したりと楽しんでいる。


?「お前らーーーーーーーーーーーー!!」


窓を開けてやってきたのは顧問の比嘉野先生。


「全く…俺抜きで歓迎会なんて…俺も混ぜてもらうぞ」


比嘉野先生はコンビニの袋を渡し、部室に入ってくる。袋の中身はたくさんのお菓子と惣菜パン。


「比嘉Tありがと!!おー!これ好きなやつだ!!」

「コンビニの卵ドッグ好きなんだよなー!比嘉Tさんきゅ!」


皆は袋の中を漁り、欲しいものをもらっていく。


「湧水!ほら!」


天王洲から渡されたのはツナサンド。


「お前が好きそうなの選んだ!」

「俺鯖は好きだけど、ツナは好きじゃないよ?笑」

「マジかよ!じゃあ、鯖を探すわ!!」



みんなで笑い合いながら歓迎会を楽しんでいく。この部活…やっていける気がする。

明日からの練習もまた頑張ろう―――――――――



ようやく更新できました!瑞華ですー!週一更新しようしようと思っていたものの、中々できなかったです(;´∀`) リアルがごたついちゃって…笑

今回はたくさんの人たちが登場しました!男子目線だったので、男子しか登場してません!笑

女子の紹介も別の話で書いていきますー!

とりま、週一更新を目指して書いていきたいです♪キルフリをお楽しみに!(前に投稿した分がありましたが、第一部分、第二部分の間違いがあったので前の分は削除させていただきました。中身はそのままです)

追記:理数科、人文科、普通科、商業科、工業科、農業科に分けていたところを1年は全員普通科、2,3年を理数科、人文科、普通科、特進科に分けました。

後、本多真知ちゃんの名前が全て本田になっていたので全話直しました。 8/12

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