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フリーダム親父の尻拭い  作者: 清喬
19/21

夜月とクラスメイトのTEST PERIOD

これは、自分で1から考えたオリジナル小説です。

過度な期待はしないでください。


太陽の上るスピードが早くなった今日この頃。

僕、栄井 凛は、少し早めの起床をしている。

僕の最大の難敵・・・期末テストが近付いて来ているからである。

今年は、高校で始めての期末テストであり、そのテストのためのテスト週間と言う物がある。

『テストがあるから勉強に集中しなさい』と言うことで、部活も放課後活動も全て禁止の1週間であるが、こういう少し早めの起床で時間を作るか、放課後から夜寝るまでの空き時間にやる事しか僕には出来ないのだ。

一般家庭では、両親がいるから勉強に集中できるけど、僕にはその両親がいない上に何も出来ない妹達が3人もいるから家事と勉強の両立をしなければならない。

とは言ったものの1番を狙ってるわけではないから本気で取り組むつもりはないがせめて、成績は今の現状維持を目指している。

家事のせいにはしたくないしね。

勉強といっても今までノートに板書したものを見返したり、教科書に蛍光ペンで印を付けたところとそれに関係あるものを再度、書き留めたりするだけ。

「そういえば、雁出さんって勉強も得意なんだっけ?いざとなったら教えてもらおうかな?」

さて、ちょっとだけ勉強しよう。


勉強を終え、いつも通りの家事も終わり朝ごはんを兄妹4人で食べる。

「そういえば、お兄ちゃんは家事してくれてるけど、テスト大丈夫なの?高校って本当に難しいし、赤点取れば補習もあるし、最悪留年もあるけど」

「・・・そうね。中学校の時もだし、受験の時もギリギリだった記憶があるわ」

「だから、空き時間を作って勉強してるんだよ」

「勉強って楽しいよね!分からないことが分かると嬉しい!」

夜月は好奇心旺盛で、それが猫としての本能なのか、それとも、夜月の性格なのかは分からないけど、何事にも興味を示すことが多い。

勉強もその一つで、人間の言葉や文章、感情をどんどん覚えていき、初めての経験ばかりで猫生ならぬ人生を楽しんでいる。

「いつ覚えたのか分からない言葉を使ったり、教えなくても出来るようになってたりするしね」

「だって楽しいから!」

箸の使い方も様になってるし、猫だったって言っても信じてもらえないだろうね。まぁそもそも、猫が人間になるなんて、アニメや漫画の話でしかないから大抵の人は「何言ってんだこいつ。頭イかれてんのか?」って思われるけど。

「下手すると僕の方が勉強できないかもね。僕たちにとってはやらなきゃいけないことだけど、夜月の場合は、好きな事になるからね」

「・・・お兄様は恥ずかしくないの?相手は猫だったんだけど・・・」

「動物だって教えれば出来るようになるし、同じようなもんでしょ?ほら、好きに勝るものはないって言うし、夜月が勉強を好きでいる限り、皐月と卯月だって抜かされる可能性もあるんだよ」

「まぁ、確かに。私達は出来るだけで好きってわけじゃないし」

「・・・そもそも、私は嫌いだわ・・・」

そのくせ、成績は常に上位とかどうなってるんだこの世の中は!

相変わらずのこの2人の天才ぶりに嫉妬をしながらシンプルな食事を口に運ぶ。

「・・・みんなは勉強が嫌いなの?」

「一部の人間を除けば大体みんな嫌いだと思うよ。雁出さん当たりは好きそうだけど」

「私、瑠璃ちゃんと勉強してみたい!」

「雁出さんは優しいから一緒に勉強しようって言えばしてくれると思うよ」

「・・・そういえば、お兄様の今の交友関係はどうなっているの?」

「そう、私も気になってた」

「『どうせ時間が経てばグループになるんだし、最初に作っておけば、孤立する人は少ないだろう』って言うことで僕と夜月以外はくじで決めて5人一組のグループを作ったね」

「そうそう、私とりんと私の永遠のライバルの紅蓮くんと優しい瑠璃ちゃんと卯月みたいな依里ちゃんの5人でいつも動いてるよね」

「え、永遠のライバル?・・・」

「ああー、この前のプールの授業で2人で競争してて、勝ったり負けたりの繰り返しでお互いに水泳ではライバルだって言ってたね」

「りんは、依里ちゃんと仲良いよね」

「ああー・・・皐月を見てるようでほっとけないだけ」

「・・・お兄様の私のイメージって・・・」

なんか皐月が落胆しているが古瀬の話だよ?

「プールの時に瑠璃ちゃんとも仲良くなってたよね?」

「仲良く?そうなのかな?なぜか先生に雁出と先生との伝書鳩の役割を頼まれてただけだよ」

「別のクラスの人とも話してたよね」

「そりゃ、向こうから話しかけられたからしっかりと応答しないとね」

「どれもみんな女の人だよね」

「あぁー、確かに。男友達って、紅蓮くらいしかいないなー。でも、それがどうしたの?男も女も友達は友達でしょ?」

僕は、何でこんな事を言われてるのかが理解できていない。

しかし、皐月と卯月は何かを察したのか、「あぁ〜、そう言う事か・・・」みたいな顔をしている。

「・・・なるほど。いつものお兄様の・・・」

「・・・感心してる場合じゃないよ!また、敵が増えてるってことでしょ?」

「私達の方がまだ、前を歩いてるから大丈夫よ」

何のことかわからないけど、相変わらずのようだ。


ご飯を食べ、いつも通り学校へ向かう。

教室に行き、自分の席に着くとまずHRまでに板書をしてきたノートを見返す。

どこが出るかはまだ分からないからとりあえず目を通しておく。

どれくらい見ていたのだろう?気付いたら先生が教壇に登っていた。

「みんな、お・は・よ・う。これからHRを始めるよ〜」

相変わらずの特徴的な口調で始まる。

「今日からテスト週間だよ。それぞれの授業でテストの範囲、大事なところを教えてくれるから聞き逃さないようにね」

テスト週間のため、部活動や放課後の活動は原則禁止だ。

「あ、そうそう。勉強のために図書室も学校を閉めるまでなら開放してるからそっちの活用もよ・ろ・し・く・ね」

(図書室の活用かそれもいいかもしれないな)

「しっかりやらないとせっかくの夏休みなのに補習があるから満喫したいのなら赤点は取っちゃダ・メ・だ・よ」

僕はだいたい、60〜70点は取っている。

勉強すればもっと点は上がるんだろうけど、中学校の時は、部活動は所属しなければなかったし、時間的にも体力的にも足りなかったのだ。

けど、高校からは部活動は任意での参加だから少し余裕ができる。

中学校での成績は、古瀬が50〜60、紅蓮が70〜80と意外で、雁出はどんなテストでも80以上だったらしい。

夜月は参考になるものがないけど、勉強を『楽しい』と思っているから結構いい成績取りそう。

「期末テストの本番の2日か3日前に100%同じテストではないけど、似たようなテストを全教科でやるから期末テストの参考にしてみてね。あ、ちなみに期末テスト前の最後の授業は自習になるから解けなかった所の復習や担当の先生に聞いたりしてみんなで赤点回避しようね」

聞き飽きたチャイムの音が鳴り響いた。

「それじゃ、朝のHRは終・わ・り。今日も、一緒に頑張ろうね」

勉強は、教科書を見返すだけじゃためにならないからノートを見返す方がいいらしい。

雁出さんや紅蓮もそうだけど、ノートをキレイに書いてまとめて見やすいから成績がいいのだろう。

雁出さんのノートを全部コピーして配布すれば、このクラスは高成績になるのでは?冗談混じりで言ったらバッサリと切り捨てられた。

「栄井くん、ノートを取ると言う行為は自分で手を動かしながらやるからいいのであって、他人のノートをコピーしたところでそれは教科書を見返すことと同じことだよ。せめて、ノートを丸写しするくらいじゃないと・・・」

雁出さんは、ハッとした表情をして顔を真っ赤にした。

「ご、ごごご、ごめんなさい!こんな私が偉そうに・・・」

なんか前もこんなことあったなー

「なんか、前もこんなことあったね。好きなことは、熱くなってしまうからね。・・・それより、僕はいい案だと思って言ってしまったことに恥ずかしくなってる」

「根本的には一緒だけど、ノートの場合は答えとなる部分を赤ペンで書いて、市販の勉強本とかにある半透明の赤いフィルムで答えを消せるようにすれば市販のと同じ勉強方法でできるけど、やっぱり自分で手を動かして、分かりやすくまとめた方が頭に入りやすいですね」

簡単に言ってるけど、今までやってこなかった人からしたら自分にとっての分かりやすさと言うのをまず見つけなければならない。そして、それが1番大変なことなのである。

玲向先生の言う通り、各教科の先生たちがテストの範囲、重要なところ、テスト問題に出すところなど、教えてくれた。

メインは、高校の授業で学んだことだけど、復習のために過去に学んだこともいくつか出すつもりだ。と言う先生もいた。

僕は、分かりやすいノートの書き方はまだ分からないけど、とりあえず、黒板の文字を出来るだけノートに書き残しておこう。

そういえば、複数の色を使い分けると見やすくて分かりやすいって雁出さんがちらっと言ってたな。

あと、重要な所は確実に。テストに出すと言われていた問題も全く同じ問題が出るとは限らないから暗記するのではなく、解き方やそれまでの過程を覚えておこう。

もちろん、出題される問題文もしっかり読まないとちゃんとした答えにならないから注意しないと。

やっぱり、テストは大変だ。まぁ、学生の本分の確認的なものだから切っても切れない存在だからやるしかないのだけれど。

テスト週間になってからみんなの行動が変わっている。

真面目そうな生徒の小さいグループが教室で一緒に勉強していたり、ギャル達はこれからどこ行くー?みたいな感じでした遊び歩いてるし、紅蓮は虫を探しに行ってるのか、勉強してるのか分からないけど、すぐに家に帰るし、古瀬はいつの間にかいなくなってるけど、鞄はあるから学校内にはいると思う。

雁出は普段は軽く復習をして帰るがこの期間はすぐに帰ってる。

人見知りの雁出にとっては勉強を教えてって言われるのが得意じゃないのだろう。雁出は突然の小テストでもほぼ100点を取ってるくらいだから成績優秀なのはみんな知っていることだろうし、そんな人に勉強を教えて貰おうとするのは誰でも考えることだ。

僕は授業が終わり、少し休憩をしたら今日やった所を復習がてらノートを見ながら思い出す。

夜月はそれに付き合って一緒に勉強をしている。そして、いつもご機嫌だ。

今日分の復習が終わった頃には1時間くらい経っていて、家へ帰る。

ここからは普段通りの生活をする。

頑張ってる所を見せて、気を使わせてしまうのはなんだか申し訳ない気がしてしまうため、できる限りいつも通りの生活を続ける。

家について電気がついている居間を見てみるとテレビの前のソファに2人並んで何かを見ている。

「ただいま」

「ただいま〜。おかえり〜」

夜月が一緒に帰ってきたのにお帰りの挨拶と出迎えの挨拶をする。

「あっ、お帰りなさいお兄ちゃん」

「・・・お帰りなさいお兄様」

僕たちの挨拶に皐月と卯月も返す。

「・・・2人して何やってるの?」

僕は声を掛けながら机に広がっているものを見る。

(うわぁー・・・すごくデジャヴを感じる・・・)

「・・・お兄様。これ・・・」

「また、紫音さんからモデルのお願いが来てるよ。お兄ちゃん」

便利でお得なキャンプ用具が一面に載っているホームセンターのチラシや節電のできるエアコンが一面に載っている家電量販店のチラシや男女共にカラフルな水着が一面に載っているファッションセンターのチラシなどが散らばっている。

「あれ?前みたいなチラシは見つからないよ?」

前は朝刊のなかに入ってる折り込みチラシで従業員を募集するシンプルなやつがあったけど、カラフルなものしかない。

「・・・お兄様。こっちよ」

卯月から手渡されたのはしっかりとした手紙だった。

封は空いている事を見ると中を確認したのだろう。

「何でわざわざ手紙なんだろうね。連絡先教えているのに」

「手紙の方が確実に見てくれるからだろうね。メールは流れて気付かなかったり、電話したところで学生の私たちはすぐに出られるわけもないし」

皐月から言われてああー確かにと思った。

「確実に伝える事ができるのに、何で今の人達は電話やメール、SNSでのやりとりで済まして手紙と言う文化がなくなりつつあるんだろうね」

「・・・そんなの簡単よ。手紙は配送料がかかるし、送った相手に届くのに2日くらいかかるから・・・他の手段なら2,3秒で届くし、料金だっていくら使っても一定だから」

卯月からは、携帯やスマホでのやりとりのメリットを突きつけられてしまった。

中身を見るとちゃんとした手紙であの紫音さんとは思えないほどだった。

「ねえ、思ったこと言っていい?・・・なんか、気持ち悪いねこの手紙」

「お兄ちゃん、はっきり言い過ぎだよ。だから、私たちも困惑してたの」

内容的には、8月上旬に浴衣と袴のモデルと夏祭りの宣伝のための写真を撮りたいらしい。

「浴衣は結構いろんなのあるけど、袴ってそんな種類あったっけ?」

僕の記憶では浴衣は色んな花の柄とか浴衣自体の色、帯の色とかあるけど、袴って無地で暗色のイメージしかないから全部同じに見える。

「なーに言ってるのお兄ちゃん。袴だって目立たないだけで柄入りのやつもあるし、暗色だってすごい種類あるんだからね」

「・・・お兄様が言ってるのは標準的な袴ね。浴衣だって袴だって時代と共に種類が増えているのよ」

「へぇ〜、そうなんだ。知らなかったな」

「今回の報酬は現金じゃなく紫音さんが持っている。別荘で、1週間のお泊まり会らしいよ。お兄ちゃん」

さすが、お店のオーナーを務めているだけあって、お金持ちである。

「えっと、『P.S. 別荘に1週間滞在するに当たって、家具は大体揃っているけど、近くにはコンビニとか小さな食品店くらいしかないから、着替えと庭にプールがあるから水着も持ってきてね!あと、他にもう2人くるからよろしくね』だって」

「お兄ちゃん。これってさ・・・よくテレビでやってるアイドルグループの密着取材とかできそうだよね」

「僕たちはアイドルではないけど、これ水着の撮影会もかねてない?」

「・・・確かに。お兄様なら家庭的な男性像とかでも撮影されてそう」

「うわぁ・・・あの人のことだからあり得そう・・・」

「あの人、聞き上手だったからお兄ちゃんのこと色々話しちゃったからその可能性もあるね・・・」

「そういえば、女性4人でなんか盛り上がってたときあったね」

「・・・それでどうするの?お兄様?」

「どうするって、2人で決めていいよ。行くなら一緒に行くし、行かないならそれでいいし」

「じゃあ、行こうよ!また、しおんさんと遊べる」

チラシに気を取られて、静かだった夜月が嬉しそうに言う。

「・・・私も行きたい」

「私もー」

夜月に賛同するかのように皐月と卯月が言う。

まぁ、家に居ても何もすることないし、正直、紫音さんの別荘がものすごく気になる。

観光名所巡りとか温泉巡りをするとかよく聞くけど、僕は、ホテルとか旅館とかの雰囲気の中でゆったりと過ごす方が好きで、お腹が減ったらその地域の特産物を目一杯使ったご飯を食べに行く。

そういう旅行が僕は好きだ。

だから、別荘という響きに僕は惹かれている。

「じゃあ、僕は赤点を取ることはないと思うけど、念のため勉強をしないとね」

なんだかんだ言って自分も楽しみにしているから、改めて勉強に力を入れようと思った。


あっという間にテスト週間の終わりが近づいてきた。

本番のテストの2日前には模擬テストがあり、今日はその日となった。

模擬テストと本番のテストは一日をかけて、5教科をやるため地獄すぎる。

そして今、模擬テストが全て終わったところである。

「・・・なぁ、何で今日1日に詰め込んだんだろうな?結構、きつかったぞ・・・」

「確かにねー。本番のテストの前に模擬テストと自習があるのはありがたいけど、キツイよね〜」

僕と紅蓮で愚痴を言い合ってるけど、クラス全員お疲れモードだ。

「凛はどう、手応えあった?」

「僕は、まぁそれなりかな?まぁ、別に赤点でなければ、どうでもいいんだけど。紅蓮はどうだった?」

「僕は、いつも通りかな〜」

「紅蓮ってさ、結構何でもできるよな〜。勉強もできて運動もできてサバイバル知識だって豊富だろう?苦手なこととかないの?」

「僕〜?僕は、料理が出来ないかな?凛は家事全般得意って聞いたけど、僕は完全に母親頼りだから。少し羨ましいかな?」

「羨ましいって何で?やってくれる人が居るから必要なくないか?」

「サバイバルで料理できないと焼くだけとか煮るだけとかになって味気がないから。食べられる野草とかきのこ、木の実の知識があっても単純な食べ方しか出来ないからどうせなら美味しく食べて行きたい」

「あぁーなるほどね。本気のサバイバルじゃなくそういうエンタメならある程度融通がきくからどうせなら山の幸を美味しく味わいたいのね」

「そうそう、流石に本気のサバイバルならそんな裕福なこと言ってられないけど、そうで無いなら食べ物も美味しい方がいいでしょ。だから、僕と凛でサバイバル生活をしてみたいな、もちろんエンタメのね」

「確かにそれなら安全で楽しそうだね。だけど、僕はサバイバル知識0だから紅蓮の望む結果は得られないと思うよ」

「大丈夫!僕がある程度教えてあげる!」

お互いに気分転換をしたかったのか小1時間程度、話込んでしまった。

僕も紅蓮も何も無いときはすぐに帰る人だから時計を見た時、お互いに驚いていた。

夜月も残っていた女子のクラスメイトと話していた。


「ねぇねぇ、紅蓮くんと何話してたの?」

家に帰る途中、そんな事を聞いてきた。

「何って、紅蓮は何でもできるなー。料理は出来ない〜。みたいいな感じの話だよ。あとは、娯楽としてのサバイバル体験を2人でやってみたいねーって話をしただけだよ」

「それ、楽しいそうだけど、ちゃんと安全なんだよね?」

「紅蓮が言うにはそうらしいよ」

「それならよかった・・・生き残るためとは言え、相当辛いからね・・・」

夜月の顔に一瞬、影が見えたが何事も無かったかのようにパッと笑顔に戻った。

(そっか・・・夜月はそういえば、自分より大きな物しかない所で必死で生き延びて来たんだっけ。そんな、体験をして来たから心配されるのは当たり前か・・・)

「夜月はもう完全に僕たち家族の一員だね。今までは、僕たちが心配していたけど・・・そっか、もう心配してくれるようになったんだ。大丈夫、危険なことは絶対しないから」

「当たり前だよ。わたしは今はりんたちの兄妹、姉妹なんだからね」

久しぶりに頭を撫でてあげると気持ち良さそうにしている。

前は、ハッとして手を跳ね除けてたけど、今はされるがままになっている。

家に着き、いつもの夜を迎える。今日は、テストだけだったから色んな意味で疲れたから早めに休もう。


今日は、テスト週間最後の日だ。

昨日の模擬テストが返却され、復習をする1日になっているため、図書室はずっと開放されている。

そして授業は全部自習となっている先生はずっと教室にいるからわからないところは聞いてもいいし、1人で黙々とこなしてもいい、友達同士で問題を出し合ってもいいし、先生の許可を得れば図書室で勉強しててもいい。

図書室で、勉強してる場合は授業が終わる頃に戻ってこなければならないが集中はできそうだ。

模擬テストの結果としては、僕は少しだけ平均点数が上がったが他のみんなは良くも悪くも変わらなかったらしい。

というわけで、古瀬が赤点ギリギリの平均点なので僕たちで雁出さんと一緒に勉強することになった。

雁出さん曰く、あまり関わりのない人と一緒にするよりは仲良い僕たちと勉強する方がいいらしい。

僕と古瀬にとっては大歓迎である。

5人で机を向かい合わせでくっつけ、勉強することにした。

位置的には、机を縦にして頭のいい雁出さんと紅蓮が対面でくっつけ、教室の後ろ側の方に古瀬と夜月、そして僕は机を横にして雁出さんと紅蓮の机にくっつけている状態で頭いい人がみんなに教えやすいような形になっている。

今日は、この状態で過ごすことになった。

「るりちゃんもぐれんくんも、教え方うまいね。どんどん楽しくなっちゃった」

「・・・そうね。自分で必死で勉強していたつもりだったけど、大人しく教えてもらった方がしっかり理解できて、よかったわ。だけど、自分のやり方で何とかしたいからこれからも、教えてもらうのは最終手段にさせてもらうわ」

「雁出さんが教え方上手いのは何となく感じてたけど、まさか、紅蓮がこんなにも教え方上手いなんて思わなかったよ」

「はっはっは。僕を崇めよー」

「ははーとは言わないけど、素直に賞賛はするよ」

最後の授業を終え、テスト勉強という重荷から解放された僕たちは、少しだけ放課後に話していた。

「あの・・・皆さんほっとしてますが本番は明日ですよ」

僕たちの気の緩み方に少し心配したの珍しく、雁出さんから話し始めた。

「・・・気を張りっぱなしは疲れるし、本番にはしっかり集中するから、今はいいんじゃないかしら?」

「そうそう、今、少しお話ししよ〜」

紅蓮が机の上に溶けるようにぐで〜としながらこっちに顔だけを向けて言ってくる。

「あ、そうでした。頑張った皆さんにプレゼントを上げます」

雁出さんは、自分の鞄の中から小さな袋をいくつか取り出す。

「はいどうぞ。疲れた脳には糖分がいいと言うことなので、クッキーをどうぞ」

「え?いいの?やったー」

「確かに、頭を使うと甘いものが美味しく感じるね」

「・・・そうね。私の頭も糖分を欲してるようだわ」

「ありがとう。これってもしかして、手作り?」

「恥ずかしながら作っていただきました。初めてだったのでお口に合うかどうか・・・」

顔を真っ赤に染めながら雁出さんはソワソワとしている。

「えっ?そうなの!とっても美味しいよ!」

「疲れた頭に糖分はいつもより美味しく感じる」

「・・・お菓子作りも出来るなんて神様はなんて不平等なのかしら?」

「おいしい。でも、雁出さんは自分の分はないの?」

「今日は、みんなに教えていただけだからそんなに疲れてませんのでお気になさらずに」

「えぇ〜、一緒に楽しみたかったのに・・・あ、そうだ!明日、テスト本番だし、るりちゃんも疲れるだろうし、今度はみんなで食べようよ。大丈夫、明日はりんが用意してくれるから!」

「え?あ、僕が作るの夜月じゃなくて?」

「うん、そうだよ。私、何も知らないから変な物が出来るよ?後片付けするのもだってりんだよ?それでもいいの?」

僕は、皐月と卯月に料理をさせたことがあったけど、まあそれはそれは大変でした。

「・・・あれは大変だったな。だけど、夜月はあの2人と違って手伝ってくれたり、ちゃんとした料理作れてたよね」

「・・・あ、確かに。じゃあ、私が作る!」

「いやいや、料理と違ってお菓子は難しいんだから、僕がちゃんと作るよ・・・」

「ほんと!やった」

「と言うことで、お菓子作りをあまりしてこなかった僕が作ってくることになったけど、そこのところは大丈夫?」

「僕はいいよ。むしろ、凛の作った物食べてみたいし」

「・・・明日の脳にきく、甘い物なら何でもいいわ」

「夜月ちゃんが栄井くんの料理はとっても美味しいって言うから私も一度、食べてみたいって思っていましたし、他の人の料理とかを食べる機会ってあまり無かったから楽しみです」

急なこととはいえ、期待されるのは嬉しいことである。

「甘い物は用意するけど、飲み物が必要なら各自で用意してくね。流石に、ティーポットとかコーヒーをディップする機械は持ってこないでね」

「いやいや、ティーポットはまだいいけど、コーヒーをディップする機械なんて日本で持ってる人はあまり居ないよ。本格的なのは飲んでみたいけどね」

「・・・そんな機械持ってるの裕福な家庭くらいよ」

「私は、インスタントコーヒーで十分だと思います」

僕たちは、明日のための英気を養うためにその場を後にした。


大荷物を抱えて帰ってきた、僕たちに戸惑いを隠せない皐月と卯月。

「あれ?今日ってなんかあったっけ?」

「・・・私の記憶が正しければ、何もないわ」

「さあ、夜月。作るからには全力で挑むよ」

「私も手伝う〜」

自分たちの疑問に触れてくれなかったからなのか、直接聞いてきた。

「ねぇ、お兄ちゃん。何作ろうとしてるの?」

「・・・材料的には晩ご飯のメニューではなさそうね」

「明日、テスト本番で頭を使うから糖分補給とご褒美として友達と一緒に食べようよって話になってそれで、カップケーキを作ろうとしてるの」

「雁出さんへのお返しだってことも忘れないでね」

「うん!」

夜月の説明に補足をしながら手を動かす。

「そっちもテストでしょ?2人は余裕だと思うけど、食べる?」

「そんなの当たり前だよ!お兄ちゃんのなら何でも食べたい」

「・・・カップケーキは、女の子は大好き。もちろん、もらう」

「分かった」

僕自身、あまり作り方を覚えてないからスマホで作り方を見てつくっている。

数分後、1回目の完成。

「ふむ。まぁ。1回目にしてはいい出来。味は・・・まぁ普通かな?夜月はどう思う?」

味見のために一口サイズのカップケーキを夜月に食べさせてみる。

「うん、美味しいよ!」

「普通に食べるならこんな物でいいかもだけど、糖分を欲してる頭にはもう少し甘い方がいい気がするな」

「そういえは、るりちゃんのクッキーも少し甘めだったね」

「そうそう、少し砂糖を多く入れて甘くしてみようか?」

「うん」

また数分後、2回目の完成。

「今度は、少し甘くしてみたけど・・・まぁ、さっきクッキー食べたからすごく口が甘い・・・」

「カップケーキも食べたしね・・・ちょっと食べづらいね」

僕も夜月も甘いものを食べたばかりだから体はしょっぱいものを欲している。

「ふーむ、どれどれ・・・うん、これはこれで美味しいよ。でも、少し甘党向けかな?卯月も食べてみて」

「・・・確かに、普通に食べるんだとしたら、女の子向けかしら?でも、疲れてる体にはちょうどいいわよ」

皐月と卯月が味見をしてくれて助かった。

「じゃあ、味はこんな感じいいかな?よし、あとはこの生地で焼き上げるだけ」

数十分後、少し甘めのふわふわカップケーキが完成した。

我ながら上出来である。

「というか、ご飯食べる前にケーキ作っちゃったな。晩ご飯作らないと・・・しょっぱい物は必須だな」

満足できるケーキが出来たからなのか、普段の落ち着きが戻ってきた。

僕はそのまま、いつも通りの時間を過ごしていく。


テスト当日の日になり、1日を終えると昨日みたいに5人で机を向かい合わせて、僕の作ったケーキと各自持参した好きな飲み物を食べて飲みながら、少しだけお話しをした。

僕たち全員が手応えありだったので、みんな楽しい夏休みとなることへの期待に胸を膨らませながら今日という日を終えた。

もちろん、僕のケーキはみんなに好評だった。

テストを返却されるとクラスみんなが一喜一憂しててなんか面白かった。

僕たちの5人は過去最高の点数だった。

古瀬の水泳教室もプールの授業の時には必ず教えていたため、今となっては、25mを泳ぎ切ることが出来てるようになっている。

だから、あとは自分で練習をするらしい。

今までは、ただただ1日を過ごしていた夏休みも、今年は色々なことに挑戦出来そうで楽しみである。

おはこんばんにちは、作者の清喬(旧セユ)です。

今回は、学生たちの宿命であるTEST PERIOD(テスト期間)のお話です。

皆さんは、得意な教科とかありましたか?

僕は、国語と理科が好きでした。

高校に入って9教科になったのはすごく大変でしたねー。

さて、次回は夏休みのお話になると思います。

こういう風に何かのきっかけで平凡な主人公が色んなことに巻き込まれていくお話しって大好きなんですよね。

不定期ですがまだ描き続けますので寛大な心で待っていただけると幸いです。

あと、試しに書いた短編小説が案外読んでる人多くて驚きました。

それでは、また次回お会いしましょう♪

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