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02 ウルリック

 盗賊がリーダーのパーティーなんて、聞いたことがない。


 そりゃそうだ。だって、盗賊は基本的に裏方なんだから。戦士のように先頭に立って戦うことはないし、魔法使いのように派手な魔法を使うこともない。僧侶みたいに味方のピンチを救うこともないしな。そんな役割のメンバーが、パーティーの大事なことを決めることなんてないわ、普通。


 だけど、もう我慢の限界だ。俺が今、所属しているパーティーは、俺が指揮しないとダメになる。というか、すでにダメ。リーダーがなってないからだ。


 ああ、申し遅れたけど、俺は盗賊のクリストファーっていうんだ。よろしくな。みんなにはクリスって呼ばれている。昨年、盗賊王スティーブンさんのお屋敷での奉公を終えて、盗賊として独り立ちしたばかりだ。チビで子供みたいだけど、一応、18歳だからな。いいんだよ。盗賊はいろいろなところに忍び込むから、チビの方が都合がいいんだ。スティーブンさんは偉丈夫だったけどな。


 そんなパーティーなんか見捨てて、とっとと他に移ったらどうか?という声が聞こえてきそうだ。


 それができるなら、とっくにやっている。俺たちみたいな駆け出し冒険者は、しょうもないパーティーでも、簡単に抜けられないんだ。一度、解散あるいは抜けてしてしまったら、次にきちんとしたパーティーが組める、あるいは加入できるのは、いつになるかわからないから。


 社会人1年目で、実績も知識もない冒険者を、わざわざ危険がいっぱいのクエストに連れて行って、経験を積ませてやろうなんていう人のいいベテランはいない。俺たちみたいな若造は、たまたまこうしてうまいことパーティーが組めたら、多少のことには我慢して、コツコツと実績を積み上げていかなくちゃいけないんだ。そうしないと、肝心のレベルも上がらないしな。


 俺たちは、ポポナという街の冒険者用宿舎で知り合った。北国の南の端にある小さな街だ。大きな街の酒場なんかに行った方が、仲間を集めやすいと思うだろう? ところが、違うんだな。そういうところにたむろしているのは、大体がそれなりに経験を積んだ中堅以上の冒険者なんだ。そんな先輩たちは、俺たちみたいな青二才には目もくれやしない。俺だって社会人になって真っ先にイースの酒場に行ったさ。だけど、ものの2日でお呼びではないことがわかった。


 「なあ、先輩。一人なのか? 俺を冒険に連れてってくれよ」


 「お前、レベルなんぼだ? なに? ゼロ? お呼びじゃないぜ」


 一蹴され続けたからな。もう少し小さな街なら、もう少し小さな街なら…と思ってどんどん郊外へ足を伸ばしていたら、気がついたら北国の端まで流れついていたというわけさ。


 そこでウルリックに声をかけられたんだ。


 「お前、盗賊か? 俺たち今、メンバーを募集しているんだ。一緒にやらないか?」


 最初、こんな田舎にしては、えらい美女がこっちに向かってやってくるなと思って見ていたら、俺が座っているテーブルの前で立ち止まったので、びっくりした。魔法使いの装束だった。黒いローブに黒いとんがり帽子。手に木の杖を持っている。口を開いたら、思いっきり野太い男の声だったので、二度びっくりした。それがウルリックだった。


 スラリと背が高くて、北国人らしい白い肌。目と髪の色は少し青みがかった黒だ。髪を三つ編みにして、肩から胸の前に流していたので、女かと思った。切長の目に、通った鼻筋。女なら冷たいイメージを抱くかもしれない。しかし、男ならば、どこからどう見てもイケメンだ。なのに、声が野太くて、おっさんみたい。落差が激しくて、萎える。


 ちなみに後で一緒に風呂に入ることになるのだが、その時に見た裸は、めちゃくちゃ引き締まった細マッチョだった。そして意外に毛深かった。


 ウルリックもキャリアが浅くて、仲間集めに苦労して、こんな辺境まで下ってきたクチだった。この美貌なら、違う意味で声をかけるヤツもいたんじゃないのか? 聞けばレベル4だという。ということは、一度くらいはそこそこの難易度のクエストを完了したことがあるわけだ。


 そこのパーティーから外れたのか、外されたのかはわからない。もし外されたのであれば、何か問題があるヤツということになる。だけど、ここまできてぜいたくは言えない。俺は誘いに乗った。ウルリックに連れられて行ったテーブルにいたのが、ベンとエドワードだった。

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