ショートホラー集 第2夜 水にまつわるふしぎな話②
6.ダム
ダムにまつわる怪談話は多い。水難事故、そして入水自殺そういったものが起きやすいからだ。
何年も自殺者が出ないこともあれば、1年のうちに数人が身を投げることもある。
死体が見つからないケースでは死に損なわないために体に石などおもしをつけている。
そういう場合には遺体は見つけられないことも多い。
水不足でダムの水がなくなることがある。私は職業柄そういう際には行方不明者の捜索を行う。
遺書の数より見つかる骨の数が少ないことが何度かあった。なぜだろう。
7.雨
私は物理が苦手だった。あんなに上空から落ちてくる雨粒が当たってなぜそれほど痛くもないのだろう。
私にはわからない。もっと上空ならもっと痛みが強まるのだろうか。
或いは軽いからそれほどの衝撃がないのかもしれない。大量に集まればどうなるだろう。
丸いから、痛くないとも考える。本当に丸いかはしらない。
「俺は本気をだしてないだけだ」そう聞こえた。
とがった、巨大な雨粒が猛スピードで向かってきた。
私はそれをすべて飲み干した。
私は物理は苦手だが早食いは得意だった。
8.溝
学校の近く、少し大きな溝がある。飛び越えられると勇気があると称えられる。
子供だけのルール。普通に飛べば誰でも飛び越えられる。
一度不思議なことがあった。ある女の子がその溝を飛び越えようとして、足の踏切が合わず、失敗したのだ。このままではけがをしてしまう。そんな時、溝を流れる水が急に膨れ上がり、女の子を包み込み、その子はけがをせずに済んだのだ。
女の子が興奮してしゃべるため、半分冗談もあり、その溝は神様がおり子供たちを守ってくれるという噂が流れた。
ある雨上がりの日私も溝を飛び越えようとした時、草で足を滑らせてしまった。
その時溝の水が膨れ上がるのを確かに見た。そしてその水は私の男性にとって大切で強打すると非常にダメージを受ける場所に直撃した。空耳かもしれないが「あっ」という声が聞こえた。
私はさらにバランスを崩し、顔から落ち、4針を縫うけがをした。
治った後溝にいく。縁に不自然に水がこぼれている。その水はすまぬという文字を形作ていた。
9.息止め
私は小さいころ泳げなかった。水泳の授業が嫌でたまらない。私は洗面器に水を張り息を止める練習をしている。
高速往路でトンネルに入ると息を止めるという遊びがある。子供の頃誰でも一度はしたことがあるだろう。トンネルの入り口に書かれた距離が1000メートルを超えると最後まで止めることは難しくなる。
時速80キロなら1分もかからない。1分息を止めるのは大変だとか
小さい子供は水中でも皮膚呼吸ができるとかで大人よりおぼれても助かる確率が高いみたいな話を聞いたことがあるとか
こういう考え事をする事でも酸素は消費されるから顔をつける時間は短くなるとかいろいろなことを考えていた。
洗面器から顔をあげると10分以上経過していた。
10.ひっぱる
プールで泳いでいるときに足を引っ張るといういたずらがある。
危険だから真似をしてはいけないと前置きをしたうえで私の体験談を語らせていただく。
ある時は私はプールの授業で仲の良い友人を足を引っ張った。
友人はずるりと体を沈めた。けれど上側にも誰かいる。友人がふたりにわかれたように見えた。
気のせいかと思ったがその日、プールの次の授業でクラスの人数が一人増えていた。
先生も誰もその新しいクラスメートの事を知らない。ただ向こうは皆の名前を知っている。
先生により警察かどこかに連れていかれたがそれ以降は見ていない。