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《地獄焔魔学園(ヘルズ・フレア・アカデミア)》序章:開かれし門と選定の焔

集いし悪魔たちは、それぞれの運命を背負い、選ばれし地に足を踏み入れる。

だが、学び舎に試練はつきもの。

開門の儀を終えたその日から、魂を選り分ける。

出会う仲間。

第1章:開かれしヘルズ・フレア・アカデミア


その日、魔界名門校《地獄焔魔学園ヘルズ・フレア・アカデミア》の空には、幾千の魔法陣が煌き、空中に浮かぶ校舎が地を見下ろしていた。

新入生たちは続々と集まり、広大な入学式会場には悪魔たちのざわめきが満ちていた。


やがて、壇上に現れたのは……

黄色いツインテールの、小さな少女。


「入学、おめでとうございます。地獄焔魔学園 校長、ピリナ=メイル=クリシスです。」


その声は澄んで、そして重厚だった。

見た目はまるでぬいぐるみのような可愛らしさだが、彼女の放つ威圧感は、数千の悪魔を一瞬で沈黙させた。


「この学園においては、“力”だけがすべてではありません。ですが――“真の強者”は、必ず他者を導くに足る。」


壇上から視線を巡らせるピリナに、アルデリ・デファデルトは目を輝かせた。


「わ、わたくしは……! まさか……校長先生が、あ、あの……う、上級悪魔、ピリナ様だったとは……っ! し、幸せ……!」


普段は冷静で気品ある彼が、感激のあまり顔を真っ赤にし、魔力の波が無意識に漏れ出る。

けれど、そんな“至福のひととき”はすぐに終わりを告げた。


模擬戦《魔力封印試練レガル・バウト


「貴様ら! 入学式は終わりだ。力を見せろ!」

そう吼えるように声を上げたのは、筋骨隆々の男――模擬戦担当教員、ガンドラス=ヴァル=ディーグ。


その見た目は岩のような筋肉に赤い瞳、巨大な戦斧を背負っている。


「これより模擬戦――《魔力封印試練レガル・バウト》を開始する!

能力・魔法の使用は一切禁止、使用すれば即失格!使用できるのは己の肉体と武器のみ。

戦う理由はひとつ。クラス分けだ!」


・強者の選抜クラス【セリアス】

・中堅の標準クラス【ノルド】

・補助と再教育を兼ねた最弱クラス【リメイド】


三つのクラスに振り分けられるという過酷な形式。

そのための模擬戦レガル・バウトが始まろうとしていた。


第一試合:選ばれし最強、動く


「一戦目――アルデリ・デファデルト、前へ!」


「わたくし、ですか……? ああ、承知しました。戦えばよろしいのですね」


そしてアルデリの対戦相手として呼ばれたのは、ひょろりとした少年。

黒髪で丸メガネ、体は痩せていて腕はほとんど骨のよう。しかしどこか眼差しには妙な深さがあった。


「うわぁ、やっぱり名前呼ばれちゃった……ぼ、ぼくなんかでよかったのかな……」


名は――リク=ネメア。


一見して戦えそうもないが、怯えながらもどこか諦めていない不思議な態度。


アルデリは、静かに剣を抜いた。


「では、リク…と言うんですね。いざ――」


刃を水平に構え、足を一歩踏み出したその瞬間。


「参ります。」


リクは、構える。

「ぼく、力はないけど……やるしかない…」


剣が閃く――

アルデリ・デファデルトの剣が、光を反射して閃く。

構えは美しく、静謐で――だが、すぐにその刃は空を切った。


ひょろりとした悪魔――リクが、いきなり気を失って倒れたのだ。


「…………なっ」


アルデリは目を瞬かせた。何の接触もなかった。殺気すら抑えていた。にもかかわらず、彼は突如、糸が切れたように崩れ落ちた。

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