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転生したらヒーロー戦隊の欠員補充だった件

絶賛投稿中、長編シリーズ『フツメンofウィザード』に出てくるみんな大好きベジタブルンジャーの短編でーす。

目を覚ましたとき、視界に飛びこんできたのは、マスクをつけた女だった。

 

顔の下半分が隠されているせいで表情は読めない。それでも、やけに陽気な雰囲気だけは伝わってくる。全身を鮮やかな黄色いスーツで覆っており、その上から軽快な声が響いた。


「起きたんだね。よかった!」


思わず黙りこくってしまう。なにしろ、よく知らない場所で知らない人間に囲まれているのだ。さっきまで自分がいたのは、ブラック企業の保険屋の事務所。残業が続いて体力の限界を迎え、倒れた記憶があった。

 

だけど、目を閉じてもう一度開けてみると、真っ白い天井の部屋がそこにある。寒々しいライトの光を反射して、床まではツルリと無機質だ。どうやら私は転生してしまったらしい。しかもこの身なりはなんだろう。


ごくり、と喉を鳴らして自分を見下ろした。赤いスーツに手袋とブーツ。胸元には大きく「P」と書かれている。まるでゴム素材のようにピタッと肌に貼りついた感触が気持ち悪い。


「あなた、パプリカレッドのスーツを着てるよ。今日から、ベジタブルンジャーの一員ってわけ。」


黄色いスーツの女は、まるで「いいことを教えてあげたでしょう」と言わんばかりの声で、親指を立ててきた。だが、こちらとしては理解が追いつかない。いや、第一に私の意思を誰も聞いていないではないか。転生したばかりで、いきなりスカウト(というより強制?)なんて聞いたことがない。


「意味がわからないけど……そもそも、私はレッドなんてやりたくないんだけど。」


あからさまに嫌そうな顔をしたつもりだった。ところが目の前の女は一向に気にしていないらしく、「レッドは大事なんだよ!」と大声で力説する。


「実は、先代のレッドが引退してね。そこにちょうど転生してきた人がいたから、補充しちゃったんだ。ほら、転生者ってだいたい強いっていうじゃない。」


やけにあっけらかんと告げられた事実に、胸の奥がずしりと重たくなる。私は“自由になりたい”と願っていたからこそ、人生をリセットできる転生を少しだけ喜んでいたのだ。けれど、こんな押しつけがましい始まりは、まったく想像していなかった。


そのとき、ふと背後から深い声が聞こえた。振り向くと、紫のスーツの男が腕を組んでこちらを見下ろしている。落ち着き払った口調と鋭い目つきが印象的だ。


「イエロー、レッドが決まったのはいいが、説明が手短すぎる。もう少しちゃんと話してやれ。」


「でも、簡単に言えば『ヒーローになって敵と戦ってね』でしょ?」


「……それだけじゃない。悪の組織ジャンクガーデンが着々と力をつけている。戦略を練らないと痛い目を見ることになる。」


彼はやたらとビシッと背筋を伸ばしたまま、まるで軍師のような雰囲気を醸し出している。続けて自分の名乗りを上げた。「ビーツパープル。ベジタブルンジャーの戦略担当」。

 

私はヒーロー物の世界だというのに、なぜかすでに現実のブラック企業を思い出してしまう。要するに、あちらで過労死した私が、こちらでも激務の部署に配属されるような気がしてならないのだ。


そこに、今度はふわりと柔らかい声が重なった。のんびりとした女性の声。振り返ると、緑色のスーツをまとったスタイル抜群の女性が歩み寄ってくる。名乗りはしなかったが、胸元には「CABBAGE」と書かれている。見た目からして“キャベツグリーン”なのだろう。


「レッドのチカラって、相当すごいらしいね。転生者だし。」


「転生者だって言うけど、私には何の自覚もない。大体、人助けなんて柄じゃないし……。」


そう口にすると、グリーンはどこか夢見心地のまま肯定する。「でも身体は正直だよ。ちょっと拳を握ってみて。」

 

言われたとおりに手を握りしめると、不思議な熱がじわりと手首に集まる感覚がした。細胞が活性化するような、なんとも言い表しがたい力。するとまわりの床から、バキバキッと細かな亀裂が走る音が響いた。


「……こんなの、冗談でしょ……。」


一歩後ずさってみると、自分の足元に蜘蛛の巣状のヒビが広がっている。風圧すら生じたようで、空気がビリビリと震えた。思わず全身がゾワッとする。あまりに現実離れした怪力だ。


「やっぱり強いんだよ。だからベジタブルンジャーのレッドを担ってほしいんだけど……。」


イエローが得意げに笑いながら言う。パープルは静かに腕を組んだまま、「もしお前が悪側についたら世界が終わる」と淡々と主張した。圧倒的な力を持つ者が敵になれば、誰も止められないという理屈らしい。


「最初から疑っているわけじゃないけれど、何となく不愉快だね……。勝手に味方に勧誘されたうえに、悪に行くことまでも想定して警戒されてるなんて。」


ぼやいたところで、イエローは陽気な声を上げ、「悪には絶対行かせないよ、健康に悪いもん!」と歯切れよく言い放つ。その笑顔の裏に、どんな意図があるのかはわからない。ただ、ひとつ確かなのは、私はこのベジタブルンジャーの“欠員補充”として転生してきたらしいということだ。


転生する前、私はもっと自由な人生を期待していたはずだ。のんびり暮らしたり、趣味に没頭したり……。けれどどうやら、そんな悠長な夢はこの世界では叶えられそうにない。悪の組織ジャンクガーデンとかいう連中と戦うか、あるいは自分が悪堕ちして世界を滅ぼしてしまうか。それを回避するため、無理やりヒーローの立場に追い込まれているのだ。


しかもパープルによれば、ヒーローも給料制らしい。研修期間は安月給という残念なオマケつき。私が思わず「悪のほうが待遇いいなら転職したい」とつぶやいたら、イエローはものすごい剣幕で「世界が終わるでしょ!」と却下した。

この理不尽極まりない状況に、頭が痛くなりそうだ。まるで別のブラック企業に転職してしまった気分になる。


その数日後、私たちは人気のないビルの屋上にいた。遠くの街並みを見下ろしながら、イエローとグリーンとパープルの三人は、どこか浮き浮きとした様子でポーズを決めている。私は内心うんざりしたまま、適当に腕を上げてみた。


「健康的な街を守る、ベジタブルンジャー!」


キレのある声でイエローが叫ぶ。パープルはクールに腕を組み、グリーンはのんびり微笑みながら頷いている。その中央に立たされるのが私。派手な赤いスーツを着てポーズを決める……というのが、今の“仕事”というわけだ。


どうせやる気のない様子は隠せない。私は棒読みで「パプリカレッド……」とつぶやいただけで、ポーズをやめた。ビルの上で風が吹きつけ、スーツの表面がゴムっぽくピシピシと鳴る。その音を聞いていると、どこか現実感が薄れるようだ。


「もっと気合を入れて! 一応、あなたがセンターなんだよ。」


イエローは頬をふくらませて文句を言うが、「センターとか言われても頼んでない」と私は呆れ顔を返すしかない。どうしたってモチベーションは上がらない。チート能力だろうが転生特典だろうが、私は平和に暮らしたかったのだ。

 

すでにもう、この生活に嫌気がさしかけている。巨大な敵が現れれば倒すしかないし、放置すれば街が壊滅するらしい。そんな責任を背負わされている自覚はある。だけど、「だからこそ余計に逃げたい」というのが正直な気持ちだ。


ビルの下を見つめていると、何とも形容しがたい倦怠感が込み上げる。すると遠くで、ズゥン……という地響きのような音がした。イエローがすかさず身を乗り出して、「たぶんジャンクガーデンの怪物だ」と声をあげる。

 

心臓が軽くどきりとする。戦わなければいけないのだろうか、と頭で理解していても、身体は嫌がっている。私自身が驚くほど強力だとわかっていても、つい「面倒だな」という感情が先に立つ。


「これ以上、関わりたくないんだけど……。」


そうぼやいたとき、パープルが私の横を通り過ぎながら、無感情な調子で言う。


「ここで放置すれば、街がジャンクに侵食される。それに……君が悪に傾いたらもっと面倒だと思うが。」

 

正論にぐうの音も出ない。気づけばイエローとグリーンも、すでに戦闘態勢らしきポーズを取っていた。

 

私はむしろその二人の温度差に驚いてしまう。イエローは「よし、行くぞ!」と力強く構え、グリーンは「早く終わらせたいねぇ……」とあくびをするように肩の力を抜いている。


「はぁ……どうせやるなら、さっさと終わらせよう。」


肩を落としつつビルを蹴りこんだ途端、身体が跳ね上がるように飛び出した。ものすごい勢いの風圧が巻き起こり、ビルの縁には大きな亀裂が走る。まずい。加減もよくわからないまま、チートのジャンプ力で飛び降りてしまった。


目まぐるしく視界を駆け抜ける街並みに、かすかに恐怖を覚える。だが、地面に着地した瞬間には不思議と膝の痛みもない。むしろ、アスファルトのほうが崩れかける音を立てた。やはり、自分は常識外れの存在になってしまったのだろう。


そんな風に、早くも転生生活に暗い予感を抱きつつ、私は人影のない道路を突っ切る。この先で待ち構えているものが、どんな姿をしているのか想像もつかないまま——。



アスファルトの亀裂を背にして、しばらく無人の道路を進むと、視界の先に妙な影が浮かんでいた。ビルとビルの狭間を塞ぐように、丸くて大きな物体がユラユラと揺れている。食欲をそそるようなチーズの匂いが風に乗って漂ってきた。こんがり焼けた生地の香ばしさに、思わず鼻がくすぐられる。

 

まさか……と半信半疑のまま近づいてみると、それはピザを模した怪物だった。チーズが糸を引きながら、表面には大量のトマトソースがべったり。具材らしきキノコやペパロニが、じっとりとした目玉のようにこちらを睨んでいる。さながら“歩くピザ”という感じで、全体が人型をしているのが不気味だった。


背後に地鳴りのような振動を感じたかと思うと、ビーツパープルが静かにやって来た。手にはスマートフォンを握りしめており、画面を指先で操作している。どうやら敵データを調べているらしい。その顔にはほとんど動揺がないどころか、むしろ面倒くさそうな雰囲気さえ漂っていた。


「ピザキング……厚み3センチ、チーズの伸び率は120%。攻撃力はそこそこだが、カロリーが過剰すぎて動きが鈍いらしい」


彼は淡々とそう言うと、画面をスッとスリープさせた。確かに、ピザキングと呼ばれた怪物の動きはどこか緩慢だ。足元の生地がトロリと伸びているのか、一歩進むごとにドスンドスンと大地を揺らしている。あまりに巨大で、そのまま踏み潰されたら嫌でもペシャンコにされそうだ。


そのとき、後方から黄色いスーツ、モロコシイエローの軽快な声が響いた。風に紛れてコーンの香りすらしてきそうな勢いだ。


「こっちだよー! さあ、ビシッと倒しちゃおう!」


彼女は腕を振り上げたまま、元気いっぱいに笑っている。反対に、キャベツグリーンのほうは何とも気怠げな口調で呟いた。「塩とか火で炙るとか……要するに、乾燥させれば動きにくいんだよね? うーん、考えるのもめんどくさい」

 

それでも二人とも、戦意がないわけではなさそうだ。すぐ隣に立ってみると、イエローは目を輝かせて「レッド、やってよ!」と期待を押し付けてくる。グリーンは相変わらずのマイペースながら、「早く終わらせるなら、レッドのチートで一撃でいいよ」とさらりと言い放つ。


私は深いため息をついた。どうせ断る権利なんてほとんどないのだ。ならばせめて一瞬で蹴りをつけるしかない、と腹をくくる。狙いを定め、ピザキングの正面に向かって踏み込んだ。拳を握り込んでみると、またしても体の奥から熱が立ち昇るような感覚がある。

 

ゴォッという風切り音とともに放った一撃は、想像以上の衝撃を生んだ。ピザキングの表面に亀裂が走り、大量のソースとチーズが飛び散る。それはまるで熱々のピザを勢いよく切り裂いたかのようで、辺り一帯にトマトとチーズの濃厚な香りが立ち込めた。


「……ま、またワンパンなの……?」


 イエローがぽかんと口を開けたままつぶやく。グリーンは「やっぱりすごいねぇ」とのんびりと目を瞬かせ、パープルは黙って腕組みをしているだけだ。

 

確かにあっけない。味方まで拍子抜けするほどの超火力。床に散らばったピザの具材を見下ろしながら、私は我に返った。これが転生特典の威力だと思うと、やはり居心地が悪い。ものすごいパワーは手に入ったが、正直、使い道を間違えれば大惨事になるのだろう。


だが、その安堵も束の間。ピザの破片が飛び散った先から、白いマントを翻す男が現れた。真っ白なスーツに、大根のような形をあしらったマークが胸を飾っている。鋭い眼光をこちらに向け、静かに呟いた。


「久しぶりだな、ベジタブルンジャー……」


イエローがはっと息を呑んだ。どうやら彼はかつての仲間——ダイコンホワイトと呼ばれた存在らしい。けれど今は、このジャンクガーデンの一員になってしまったという。

 

彼の視線はピザの残骸に向けられ、その口元には苦々しい笑みが浮かんでいる。「我がジャンクフードの楽園を壊すとは、相変わらず容赦がないね」と吐き捨てた後、目を伏せて小さく息をつく。


「ダイコンホワイトなぜ戻らないの……? 私たちと戦ってきたじゃない」


イエローがか細い声で問いかける。まるでかつての友情を思い出しているかのように、その拳がわずかに震えていた。

 

ダイコンホワイトは一瞬だけ目をそらしたのち、鋭く睨み返してくる。


「戻らないさ。ジャンクフードは美味いし、給料もいい。俺にはもう、ここしか居場所がない。」


あまりにもあっけらかんとした理由に、イエローの表情が苦々しく歪む。私も内心、言葉を失っていた。軽い理由にもほどがある。だが、彼の頑な(カタク)な声には妙な説得力があった。こういう馬鹿馬鹿しい理由で人は裏切るものなのかと、呆れを通り越して寒気さえ覚える。


「……いいんだけどね、正義がどうとか大義名分がどうとか、昔から興味なかったし。」


自分でそう呟きながら、目だけで仲間に合図を送る。イエローが悲しそうに視線を伏せ、グリーンはどこか心配げな表情でこちらを見返す。パープルは冷静そのもので、スマホを一瞥(イチベツ)した後、短く息を吐いた。


「戦うしかないな。中途半端に引き延ばすと損害が大きくなる」


あっさりした総括。イエローが唇を噛んだまま、「……うん」と頷いた。その瞬間、ホワイトが小さく身構えるのが見えた。まるで大根のような筋肉が隆起し、彼の身体が白いオーラを纏う。


「大根要素がどこかにあるのか分からないんだけど……とにかく厄介そうだね」


口調はあくまで冷めているが、私は注意深くホワイトの動きを探る。先ほどのピザ怪物とは違って、こちらの相手はそこそこキレのいい動きを見せそうだ。

 

そう思うや否や、ホワイトが拳を振りかぶって突進してきた。アスファルトが砕ける音が聞こえ、白い残像が一気に間合いを詰める。普通の人間なら即死級の一撃をお見舞いされるところだろう。


だが、私の内側に巣食うチート能力は、その軌道すら一瞬で見切らせてくれた。素早く回避するだけではなく、横合いから蹴りを入れてやる。ドゴォン! という鈍い衝撃が伝わり、ホワイトの体は路地裏のコンクリ壁へ激突した。

 

そうして崩れ落ちるホワイトを見下ろすと、彼は悔しそうに呻きながらも、じわじわと立ち上がろうとする。先ほどの闘志がまだ消えきっていない様子だ。けれど私のほうが明らかに力量で勝っている。それは当人にも分かっているはずだ。


「……強い。さすがレッド、転生者のパワーは桁違いだ」


意地を張るように唇を震わせたホワイトは、なぜか少しだけ目を伏せる。そこにはかすかな後悔の色が滲んでいるようにも見えたが、すぐにプイッと顔を背けた。再び襲いかかるかと思いきや、そのまま地面に倒れ込んで気を失ってしまう。

 

それを見て、イエローがほっと息をついた。グリーンは「はぁ……終わったの?」と首をかしげ、パープルは淡々と通信端末で本部への報告らしきものを始めている。


「ねえ、レッド。これでわかったでしょ? やっぱり正義の道が正しいんだよ」


イエローがこちらを振り返る。私としては過労気味のヒーロー活動を続けるなんてまっぴらだという思いが消えたわけではないのだが、それを今さら口にしても仕方ない。どのみち、私がここを抜け出せば世界に害が及ぶとまで言われているわけだし。


「本音を言えば、給料がいいなら悪側に寝返っても構わないんだけど……それもいろいろ面倒くさいからなあ。」


そうぼやきながら、ホワイトの様子を確認しに近づいた。思い切り壁にめり込んだらしく、彼は完全に気を失っている。救護班を呼んだほうがいいのかもしれないが、悪組織の手下に手を差し伸べるのは変な話だ。

 

すると、グリーンが背伸びをしながらこっちへ来て、投げやりに「おつかれ~」とつぶやく。それを合図に、パープルも通信を終えたようだ。イエローだけはホワイトに寄り添うように立ち尽くしているが、やがて「仕方ないよね……」と小さくうなだれた。


辺りを見回すと、ほのかに香るチーズとトマトソースがまだ鼻を刺激する。粉々になったピザの破片が道路を染め、ホワイトの白いマントはソースでぐちゃぐちゃになっていた。カオスな状況にため息をつきながら、私たちはそろそろ撤退の準備をする。


「転生したらヒーロー戦隊……なんて展開、聞いたことはあるけど、やっぱり現実になるといいもんじゃないね」


最後にそう自嘲気味につぶやいて空を見上げると、雲の合間から夕日のオレンジ色がこぼれ落ちていた。遠くには街のビル群が連なり、ジャンクフードの悪臭をかき消すような涼しい風が吹いている。

 

どこか空虚な気分になったまま、私はひとまず基地へ戻ろうと背を向ける。次から次へと襲ってくる敵を倒す日々が、この先もしばらく続くのだろう。できればもっと気楽な転生先を望んでいたはずなのに、これが私の運命らしい。


そんな不満を抱えつつも、今日のところはこの街を守った。その事実だけが、かろうじて私の新しい人生を支えている。どうせあっさりと終わった戦闘なら、せめて早く休みにして、ここの世界でいつか自由を手にする方法を考えたい。

 

だけど、ヒーローの研修期間が終わったら給料は上がるのだろうか。思い浮かぶのはそんな程度の現実的な疑問ばかり。真剣に“正義”なんて考えるほど、私はまだ理想に燃えていない。コーンとキャベツとビーツに囲まれながら、今日もぼんやりと一日が終わっていくのだった。 

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