第39話 一時停泊
あれから近場の客船に乗り移った私達は、数時間ほど乗っけて貰ってから、ザクセンという街に一時下ろされた。次の船を待つと言う訳だ。せっかくなのでミラと私の2人は観光をしていくことにした。
ミラはある建物を見て不思議そうにしている。
「ん?どしたの?」
「あ、いやこのパスタって何なのかと思って」
「え?パスタ食べたこと無いの?あんなに美味しいのに!?行きましょ行きましょ」
2人はおいしいパスタを堪能した。
「いや~こんなおいしいものが沢山あるとは」
「でしょ~」
「カナマートのコンビニにも、おいしいものが沢山あるのかい?」
「う、うんまあね」
「早くその計画、進めたいな。人の為になることは推進すべきだ」
ミラはまっすぐな人だ。
「あ、あとやってみたいことがあるんだ」
「なになに?」
「ダンジョン攻略」
「ダンジョン?」
その言葉を聞いた瞬間、過去の記憶がグイと蘇って来た。
「私、一時期ダンジョンに潜ってた時があったのよ!レベルも結構あるんだから!」
「ホントかい?そりゃすごいや、早速行こうよダンジョン」
しかし仮にも王子である。危険な目に遭わすことができるだろうか。
いや、その時は私が守るしかない!
「いきましょ、ダンジョン」
こうして2人は近場にあるダンジョンへと入って行ったのだった。
ピチョン、と水の滴る音が鳴る。それ以外は不気味なくらい静かだ。2人とも緊張の面持ちでまっすぐ歩いてゆく。しばらくは敵が来なかったが、やがて敵影が現れた。
ジョーカー6体だ!なんで1階にこんなハイレベルな敵が!
「ミラ!こいつは首を跳ねて来るから気を付けて!」
そう言った途端、ジョーカーは素早い動きで私の首を跳ねようとした。
ミラの声も一瞬で遠くなり、暗闇へと落ちて行った。
私が得意なのは魔法だ!カナは杖をゆるく回して詠唱した。
そしてジョーカーに向けて杖を振りかざす。するとジョーカーはパチンという音を立てて弾けて消えてしまった。
ミラが駆け寄る。
「カナ、大丈夫かい」
「ええ…ちょっと頭がクラクラするけど」
「良かった…本当に良かった。早く船に帰ろう」
「ええ」
2人は支え合いながら洞窟を抜け、船が停泊してある街へとトボトボと歩いていった。




