第17話 店長
朝、私が出勤してくると店の前に大きな風船のようなものがあった。よく見ると手足がついている。
「どうかしたんですか?」
訊ねてみると、
「ダンジョンから帰ったら膨れてしまったのだ」
という。私は杖を取り出し、呪文詠唱をしてから、
「この者を元の人間に戻せー!」
と炎を振りかざした。その風船は一瞬で煤すすのようになってしまった。
「失敗失敗♪」
と言って店に入った。
入店するとバイトBが不安げにこちらにやってきた。
「どうかしたの?」
と訊ねると、
「店長から何か連絡ありませんか?全然連絡取れないんです」
仕方がないので事務所に貼り付けてあった店長の自宅まで行き、ノックをした。
返事はない。開いていたので開けてみると、ゴミ屋敷のような場所に店長がたおれているではないか!
「死んでる…」
「どうしてこんなことに?」
「死んでる人間は煩悩を天に召さないといけないのよ」
カナが呪文詠唱してる所に、
「…カナ…大事な話が………」
という店長のかぼそい声が聞こえたが耳に入らなかった。
「昇天せよ!」
炎を打ち出すと店長は一瞬で煤すすのようになってしまった。
しかもごみ屋敷だったせいでほかの引火物にも燃え広がり、マンション一帯が火事になってしまった。
「えへ♪失敗失敗♪」




