臨時7便:「―脅威結集 支障は無いものと思慮―」
SA駐車場の上空に現れ、次々に降り立って来たのは。様々な新たな「来客」たちだ。
「――なんだ、何事が起きている!?」
まず真っ先に降り立って来たのは。何か、ファンタジーを題材としたゲームに出て来そうな、鎧装備に大剣を携える美少女。
仲間なのであろう、見るからに魔法使いといった少女が操る「箒」に、一緒に跨り飛来し現れ。
そこから飛び降り立つと同時に。しかし一見では判別できぬこの場の状況に、困惑の声を上げる。
「――あれは……まさか悪魔長か……!?」
その少女に続くように、ほぼ同時に現れたのは。
民族衣装のようなものを纏い、頭部両側には尖る長い耳――エルフの特徴を持つ美青年。
何か、巨大な鷲か鷹のような騎乗生物に乗り現れ。操り着地させたそれから飛び降りると同時に。
エルフの青年にあっては、悪魔族のアリュシェンの姿に有様を見止め、困惑の声を零す。
「――なんだいこりゃ、どうなってんだい!?」
さらに少し遅れて続き、反対方向より現れたのは。赤色の肌に飾られる、鍛え上げられた長身体躯を持つ亜人――オーガの美女。
見るからにドラゴンである巨大な騎乗生物を操り、駐車場に着地。
降り立ち駆け出てくると同時に、やはり状況に訝しむ声を張り上げる。
「――悪魔長が遅れを取ったと言うのですか……?あのような姿に……」
「――得体の知れぬ有様じゃのう?」
さらに上空真上からも、二つの声が降り来る。
駐車場の真上、それぞれの方向のすぐ近くに見えたのは。
一人は、白く大きな翼をその背から生やした。露出こそ少しは控えめだが、何か煽情的な衣装を纏う。見るからに天使といった姿格好の美少女。
その彼女は状況に、今のアリュシェンの有様を見つけ。やはり困惑の言葉を零す。
そしてもう一人は。
独特な和装を身に纏い、カラスの羽を羽ばたかせて滞空する妖怪種族――鴉天狗の美少年。
その彼は、眼下の状況につまらなそうな。しかし同時に少し不愉快そうな色を見せて、声を零している。
続々と押し寄せた、そんな様々な姿の者たち。
明かせばそれぞれは。
大剣の美少女は、魔法国家の英雄勇者――エトリア。
エルフの美青年は、亜人同盟からの選ばれしハイエルフの戦士――クレン。
オーガの美女は、詳細には上級種族のジェネラル・オーガである魔王軍の将軍――レスティ。
さらに天使の美少女は、天界の天使長――ミリエル。
妖怪の美少年は、海を越えた向こうの国。その魑魅魍魎軍団の筆頭格の鴉天狗――シェン。
そんな名だたる存在たちが。
突然この惑星世界に現れた、未知なる場所――ユトロンSAに。
そこに、真っ先に飛びこんでいった悪魔長のアリュシェンに気づき。それに遅れを取るまいと、次々に乗り込んで来たのだ。
さらに、そのそれぞれの陣営の筆頭者だけでなく。
それぞれの伴う仲間や配下従者たちもまた、次々に駐車場へと降り立ち、あるいは上空に現れ滞空から取り巻く姿を見せ。
SA施設はいよいよ物々しく、切迫した状況に包まれる。
「あらら、いっぱい来ちゃった」
しかし。
そんな次々に大挙して現れ、さらにはいずれもが自分を包囲し始め。
おまけに次には漏れ無く、射貫き殺さんまでの凄まじい殺気に敵意を見せて来た、この惑星世界の名だたる面々を前に。
一方の渥美はと言えば。また緊張感無く、困ったような一言だけを零す。
「貴様、何者だ!我が国の領地に突然現れ、何を企む!」
「この地に世界を脅かし、理を乱すつもりか!?」
そんな渥美に、まず間合いを取りつつも近づき。
詰問の声を張り上げ寄越したのは、英雄勇者のエトリアに、ハイエルフの戦士のクレン。
それぞれ明確な警戒の色を。エトリアは愛用の業物である大剣を突き出し、クレンは準備詠唱により生み出した高位の風魔法を纏わせながら。
それぞれの色で、そう言葉を叩き着けてくる。
「アタシたちの断りも無く、この世界に手を出そうってのかい?そんなら容赦はしないよぉっ!」
その次に、反対方向より言葉を寄越したのは、魔王軍の将軍オーガのレスティ。
まさに男勝りという言葉が似合う様子と態度で、担いだあまりに巨大な斧を見せつつ。そんな脅すような警告の言葉を寄越す。
「私たちの守護するこの大地に突如現れ、さらには禁忌の子を匿う行為……敵対行為とみなされても、文句は言えませんよ!」
さらに、真上からは天使長のミリエルが。またそんな警告を突き付ける言葉を降ろし。
「儂らの預かり知らぬ珍妙不可思議な輩――面白くないのう?」
最後には鴉天狗のシェンが。今も優雅なまでの姿で滞空しながらも、なにか不愉快そうにそんな言葉を降ろして来る。
そんな、それぞれの代表者から突き付け寄越された警告の言葉。
しかし、その言葉が示す以上に。
それぞれの勢力にとって、このSA施設の存在は都合が悪いものと見え。
それぞれからの様相に気配には、「直ちにの排除を」と。もしくは「あわよくば何らかの収穫」を狙う色が漏れて見え。
まさに一触即発。話し合いでは通せなさそうな様子が、あからさまなまでに漂い伝わって来た。
「どうしようかな――あ」
そんな、有無を言わさぬ様相を見せる面々への対応を。反して、また困ったような色を見せつつ、少し考えようとした渥美。
しかし渥美はその直後に、何かまた別の存在気配に気づいて一声を零した。
「え?――!」
「!」
そしてその気配は、姿を現す。
それはちょうど、近く同士で並び立っていた勇者のエトリアとエルフのクレンの間。
緊迫、一触即発の状況にあるその間、最中を。しかし悠然としたまでの様相で、その背後から歩み現れ、割って通り抜けた。
普段と変わらぬ、堂々としかし少しの億劫さを見せる――他ならぬ侵外であった。
「な!?」
「何奴!?」
自分等の間を、気にも留めずに通り抜けた存在に。驚き、そして警告の声を張り上げる二人。
しかし、侵外はそんな二人には取り合わず。
背を向けたまま進み離れ、そのまま渥美の元へと歩み近づく。
「――渥美さん、大丈夫ですか?」
そして渥美に。言葉に反して「決定事項だろう」と言うように、そんな尋ねる言葉を向けた。




