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臨時1便:「―超常 交通管理隊―」

交通管理隊を最強で最凶にしたいがために、最早交通管理隊の原型を無くしたトンデモ話――

 ――そこは、ある一つの惑星。


 人妖神魔が存在し営み栄える、幻想的で摩訶不思議の異世界。


 舞台は、その異世界惑星の大地地上の一点に存在し設けられた――〝高速道路のサービスエリア〟敷地だ。


 そのSA敷地周辺は、そして上空は。あまりにも膨大、おびただしい数の軍勢集団に覆われ包囲されていた。

 無数の軍勢・軍隊が各方で隊伍を組み、上空には数多の飛翔部隊がSA施設の上空を飛翔滞空している。


 それはこの剣と魔法の世界の、魔法国家の軍隊。

 あるいは亜人種の一族の同盟軍。

 さらには、この世界を脅かす魔王軍の軍勢。

 妖魔、妖と呼ばれる存在の軍勢までもがいる。

 果てには、この異世界惑星を揺り籠と、我が子とするように見守り。そして支配する。

 天界、神の軍勢。

 魔界、地獄の軍勢。


 そのあらゆるが、全てが。その一つのSA施設を包囲していた。

 そして観察し感じ取れば。兵士、魔法使いに魔女、魔物、神魔、妖に諸々の、数え切れない軍勢のその全てから。

 SA施設に向けられていたのは――敵意、害意、攻撃の意思。

 膨大な、強大な数々の魔力が、魔術が展開され。その矛先を一つすら漏れずに、SAに向けているではないか。


 あまりにもオーバーキルすぎる様相。もしもその渦中に只人が置かれたのならば、絶望などという言葉ですら足りないであろう。


 ――しかし。


 その圧倒的と思われる包囲網を構築する膨大の軍勢の、その人妖神魔の全ては――『臆し、及び腰の様』を見せていた。

 その原因は、今に彼等彼女等の耳に届きその鼓膜を揺さぶり。そして何よりその本能を歪に騒めかせる――音。

 それに、彼等彼女等は形容しがたい不安を。いや、得体のしれない恐怖すらを煽られていた。


 ――その音は――サイレン。


 一定の間隔リズムで、独特の甲高い電子音声を響かせる。緊急自動車に装備される音響装置のそれ。

 そしてしかし、それはただの機械音響音声では無かった。そのサイレン音の内に潜み宿るは、魔の力を宿す彼等彼女等の本能からの危機と嫌悪、恐怖を煽り誘う。


 得体の知れない、〝何か〟。


 人妖神魔のその全ての視線は、その中央眼下のサイレン音の発生源に向いている。

 その眼下の一点、SA施設の駐車場空間上。そこに停車するは、一台の黄色塗色の緊急自動車。


 ――〝道路パトロールカー〟――それを操る者等の間では、〝巡回車〟と呼ばれる車輛。


 ルーフ上の標識器に搭載する、赤色警光灯と黄色警光灯を煌々と回し灯し。そして併設のスピーカより、異世界の彼等彼女等の嫌悪恐怖を煽る、サイレンをけたたましく響かせている。


 そして、その巡回車より少し前の一点。

 そこに立ち構える、一名の者の姿があった。


 纏う、青を基調として各所に蛍光ラインを走らせる制服は――

 ――交通管理隊――のもの。


 そこに身を置くは、一名の〝交通管理隊員〟。

 少し陰険そうで印象の悪い顔つきの、その隊員は。


 強大で、数え切れぬ害意殺意の真っただ中にあると言うのに。

 何でもないように、いや少しの億劫すらをその顔に見せて、悠々としまたでの自然な姿で立ち構えて居る。


 そして今、その隊員の者を少し遠巻きに包囲しているは。

 人妖神魔の各勢力の代表格。


 魔法国家の英雄。

 亜人種の選ばれし戦士。

 魔王軍四天王の最強格。

 太古より生き長らえて来た妖。

 神の啓示を伝える天使の長に。

 地獄を支配する悪魔の子。


 只人など、指先一つで捻ることのできる、不条理までに強大で破格の存在ばかり。


 しかし。

 その強大な存在の誰もが、今に在っては頬や喉元に一筋の汗を垂らし。

 中央に囲う交通管理隊員を。仇敵を見るような険しくも油断の一切の無い、顔色で見つめていた。


「――参考連絡。ユトロンSAの接触トラブルは状況好転せず、現在も沈静化に向けて対応継続中。どうぞ――」


 その背後。巡回車の助手席側で、半身を突っ込んで無線機を手にして。通信の言葉を紡ぐは一人の中年から壮年の間の男性。

 姿はまた、青を基調とする管理隊の制服。

 また。この強大な存在たちに包囲される、恐怖にも値する状況の最中だと言うように。

 そんな事は他所事とでも言わんばかりに。

 その朗らかで飄々とした顔を崩さず、通信やり取りを優先している。


 その、巡回の上長で相棒たる男性の通信の言葉を背後に聞きながら。

 陰険そうな交通管理隊員のその者は。自身を包囲する、強大過ぎる異世界の存在たちを、また印象の良くない眼で視線を回し、確認する。



「――こいよ、SA施設は壊したくない」



 そして。自身を囲う、巨大で過ぎる異世界の存在たちに向けて。

 交通管理隊員のその者は、一言を端的に紡ぎ促した――

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