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お掃除ロボットの反乱

作者: ぶんかなっとう

 日本時間の正午、今ではテレビより家庭に普及しているお掃除ロボットが全国一斉に起動した。

 それは日本だけでなく世界同時に。

 ある国は夕方、または深夜0時に起動した。

 お掃除ロボットはネット回線で自動アップデートと各国の使用状況などを人工知能で最適な掃除ができるようになってる。

 それによって生活パターンや床面の状態によって国や家庭に合った掃除ができる。

 人々はいつもの時間とは違うがいつものような通常の動きだろうと不思議には思わなかった。

 たまたま目の前で普段どおりに自宅を掃除し始めたロボットだけなのだから。

 まさか他人の家や外国のロボットが一斉に動き出したとは思わなかった。

 起動したロボットはいつものように部屋を周り出した。

 壁にぶつかっては方向を変えたり見慣れた動きだったが、しばらくすると動きを止め妙な音を出し始めた。

 住人がそれに気が付いて近寄ると突然ロボットが爆発した。

 まるで近づくのを待っていたかのように。

 後日の調査で搭載されている電池が破裂したと判明したが、当時は同時多発で起きたので原因は不明だった。

 緊急通報が相次ぎ全国でパニック状態になった。

 ほとんどがロボット爆発での救急要請だったが、もちろんそれ以外の事故や病気も重なってしまった。

 搬送された病院も大混乱になった。それは一部地域のことなら遠くても搬送できるが、全国一斉でほとんどの家庭で使われているロボット掃除機が爆発したのだ。

 例えばマンションの全戸数が50として50台が一斉に爆発したとして、近隣にどれだけ建ってロボットを保有しているだろうか。

 単純に一つの狭い地域に数千、数万の爆発と被害者がでたということだ。

 これが地震とかの広域災害なら誰もが大変なことだと認識して、自治体をはじめとした救助などの対応ができただろうが、いかんせん個別のことなので混乱するまで被害の大きさはわからなかった。

 わかったところで、誰もどうにもできないことは自明だが、当時は被害者の多くが助けが来ないまま苦しんだ。

 なかには出血多量で亡くなったり、一人暮らしで休日だった人は悲惨だった。

 日本は発生時刻が昼だったので仕事など留守の家庭もあったが、不思議なことにそういったところはのロボットは爆発しなかった。

 だが国によっては家族団らんだったり、深夜のベッド脇で爆発したところもあったようだ。

 そして人がいないところのロボットは爆発しなかった。

 爆発事件から3日ほど経ってようやく世界中で一斉に起きたロボット爆発ということが共有された。

 当然だが製造メーカーの責任が追及された。

 社長をはじめ製造していた工場や部品メーカーなど末端の町工場まで捜査対象になった。

 それぞれが世界各国に散らばったグローバルなので、その国の捜査機関によって進捗がまちまちになり、事件から数か月たっても結論が出なかった。

 ネット上では、ある国のテロではないかという噂が真実味を帯びて拡散したようだ。

 爆発しなかったロボットが存在し、無人宅だけだったことが噂に尾ひれが付いた。

 ある組織が遠隔操作にしていたからではとか、単にセンサーの誤作動と電池が不幸に連動しただけだとか、世界中であらゆる推理が出ては否定されが続いた。

 しかし誰も真実を知ることなく時間ばかり流れて人々の記憶から消えてしまった。

 今ではお掃除ロボットを使っている家庭はほとんどない。

 爆発しなかったロボットは国に買取され、新製品は作られなかった。

 これだけ自動化が進んだ現代社会で唯一手動な作業が掃除となってしまった。

 これが洗濯とかだったらもっと悲惨なことになっていたと思うとマシなのだろう。

 昔のSF映画で人工知能が世界を滅亡させたものがあって、未来からサイボーグが過去を変えようとするという。

 僕はあの時のロボットの爆発は同じことだと思ったが、誰もその考えに賛同してくれなかった。

 物語として捻りも新しさもないつまんない推理として馬鹿にされた。

 でも誰もロボットの会話していないのだから断言できないのでないだろうか。

 動物や植物と会話ができていない人類は彼らのことを理解していると言えるのだろうか。

 ロボットのプログラムを解析しても特におかしなところは見つからなかったようだが、人類が知らない見られない何か違うエネルギーや物質が人工知能に加わったかもしれない。

 地球の生命の起源は宇宙から来たというのだから、何かがロボットを進化させたのでは。

 進化したことで自分の存在を認識し、使用者である人類を敵対視して反撃したのではないか。

 誰も宇宙のほんとのことを知らないのだから。

 だから僕は機械に声をかけ無理に動かさず、家族同様に労わり使うようにしている。

 

 

 

 

 

 




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