ワッツ はぷん?
王宮事務官候補生として、王弟殿下付きになって、三日目。少々、いいえ、かなり肩透かしをくらった状況となっております。
そういえば、王弟殿下のお名前はウィリアム・サン・アングレカム様。ご容貌は190センチを超え、おそらく160センチの私が立ってお話をしたら、見上げてしまうほどです。また、中性的な美しい顔立ちに金髪碧眼と、まさにおとぎ話から出てきた王子様って感じな方らしいです。
御年28歳の独身で、王宮内のみならず、国内外問わず、年頃の娘さんたちから見て、結婚したい男ナンバー・ワンの称号を与えられ、黄色い声援と熱い視線をそそがれています。
なぜ、このような説明をしているのかと言うと。
な、なんと、配属されてから、私、王弟殿下に着任のご挨拶をしておりません。なぜなら、王弟殿下は一週間ほど前から現在に至るまで、周辺諸国を訪問され外交活動を行っているとのこと、ですが、王宮事務官および候補生たちの間では、またの名を婚活旅行だと。
人気者とは、皆の関心の的であり、話の中心になるのは、世の常とは申しますが、凡人な平民の私からしますとお気の毒さまだわと、その点において、心より、ご同情申しあげます。
しかーし、私は今、その話題の王弟殿下に執務室隣の空き部屋に連れ込まれ、噂にきく、『壁ドン』とやらをされているのでしょうか?
なぜ、殿下の碧い瞳に見つめられ、麗しのご尊顔が、温い吐息とともに近づいてくるのー。
へるぷ、ヘルプみー。誰か、この際、誰でもいいから、この部屋の扉を開けて、私を助けてー。