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はじまりは、いつも
本日付で王宮事務官候補生になりました、マリリン・ハヤーシと申します。以後、お見知りおきを。
まず、王宮には事務官、騎士団、侍従からなる三つの組織があります。
王宮で働くためには、10歳から17歳までの七年間、王立学院へ通わなくてはなりません。ただし、侍従については、貴族からの推薦という道もあります。
そこで優秀な成績を修めた者が、学院を卒業後、半年間の研修期間を経て、事務官候補生、騎士見習いまたは侍従見習いとして、それぞれの部署へ配属されます。
それからは、個人差がありますが、だいたい三年以内に事務官、騎士、侍従として一人立ちしていくのです。
そこには王族、貴族、庶民の差はありません。学院に通い、優秀な成績を修めれば、道は拓けるのです。
簡単ではありますが、『王宮で働くためには』の説明を終わります。
最後になぜ、私の配属先が、王弟殿下のもとなのでしょうか?
たしか、研修期間中の最終日にあった配属先アンケートで、希望者殺到でめちゃくちゃ、倍率が高かったと噂が流れてましたが。
ちなみに、私の希望は図書資料室だったんですけど。