第14話 思い出の場所
キャンプ場にたどり着いた恭兵たちが乗るスポーツカー。
シーズンオフということもあって、入り口にはチェーンで封鎖されていた。
「まあ、予想通りかな」
「なにがですか、恭兵さん?」
「チェーンが付いてる、ってこと」
恭兵は車を降りてチェーンを外した。
キャンプ場の中は誰も居ないので、不気味なくらい静けさが漂っている。
奥まで来ると、コテージが並ぶエリアに到着。
太い道に沿って両脇にコテージが並び、さらにその奥には円状の広い空間があった。
コテージはどれも1階建てのウッドハウス風になっており、出入口は屋根が伸びたデッキ、ドアの横には流し台、その反対側にはアウトドアテーブルが見える。
「あっ、あそこ!」
芽愛がコテージの1つを指差した。
「懐かしい。お母さんあそこで写真撮ったの、覚えてる?」
「そうだったわね。あの時のままだわ」
「それじゃ、車を止めたら急いで建物に入ろう……あっ!」
「どうしたんですか恭兵さん?」
「鍵ねぇじゃん!」
「あっ!」
芽愛と舞が一緒に言った。
当然だが、鍵がなければドアは開かない。
「仕方ない……」
恭兵は拳銃を取り出し、ドアのカギ部分に向けて弾を打ち込んでカギを壊すと、無理やりドアを引いて開けた。
「いいぞ!」
恭兵が芽愛と舞に言うと、2人も駆け足でコテージの中に入ると、恭兵も続いた。
すると、芽愛が恭兵にあることを尋ねた。
「どうして隣なんですか?」
実は恭兵たちが入ったコテージは、芽愛や舞の思い出のコテージの隣だった。
何故恭兵は隣を選んだのかというと、理由はシンプルだ。
「2人の思い出に、傷を付けたくないから」
そう、恭兵なりに気を遣い、隣を選んだのだった。
コテージの内装は、それほど広くはないがリビングがあり、テレビや冷蔵庫も完備。その向かい側には、大人四人分が寝られる二段ベッドがあった。
リビングの奥にはトイレや洗面所、浴室が設けられているので、ある程度はくつろげる空間だ。
ただ問題がある。今はシーズンオフの為、誰もコテージの清掃を行っておらず、中は埃が溜まっており、少し歩けばその埃が舞うことだ。
残り5時間ちょっとだが、それでもこの空間はさすがにずっと居るのは厳しい。
やはり掃除だ。
しかし、こういうコテージの清掃は大体業者がやるもん――だと思う。
「それでは掃除しましょうか」
突然の芽愛の申し出。
「でも掃除道具がないと……」
「ありますよ」
「えっ?」
いつの間にか芽愛の手にはハタキやらホウキが握たれていた。よく見ると洗面所に清掃道具が入っている小さなロッカーがあった。
「掃除もセルフサービスなのか、ここ……?」
どこか納得できないところがあるが、そんな恭兵の考えをよそに、芽愛はテキパキと掃除を進めた。
そして、あっという間にコテージの中は綺麗に。
「わお……」
改めて芽愛の女子力を目の当たりにした恭兵は、ボー然、としていた。
本当に有能だ。
芽愛が掃除を終えると、椅子に座り、ふー、と一息ついた。
「お疲れ様」
そう言って恭兵が芽愛に飲み物を渡した。
「それじゃ、俺は外で見張っているよ」
そう言って恭兵は外へ出た。




