キーコ
掲載日:2020/10/09
困っていることがある。
でも、何もできずにいる。
時間だけが、落ちていく。
転がって、散らばって、
再び戻ることのない時間が、
足下の土に、だらしなく染み込む。
話し相手はいるけど、いない。
子供の頃から、ずっとそう。
いつも一人のブランコ。
キーコ、キーコ、キーコ。
行ったり来たり、宙にいる。
あの空に、届くかな。
ねえ、ぼくは誰だったか。
ぼくはぼくのように生きられたか。
ぼくはぼくを生かしたか。
これも、あれも、どれも、皆、同じ。
やっぱり、同じものばかりだな。
だから、これからも笑っておこう。
心を想像できないぼくは、
とりあえず、これからも笑うよ。
困っていることがあるから、
でも、何もできずにいるから、
時間だけが、落ちていくから、
ころがって、散らばってゆくから。
そんなに何度も言わないでおくれ。
言いたいことはわかるつもり。
いつも一人のブランコ、
キーコ、キーコ、キーコ。
前とか、後ろに、何がある。
抱きしめられた記憶があるよ。
ねえ、ぼくは誰だろう。
ぼくはぼくでなくてもいいのに、
ぼくはぼくを生きている。
これも、あれも、どれも、皆、ひとつ、
ぼくだけの、出来事なんだな。
だから、これからも漕いでみるよ。
キーコ、キーコ、キーコ。
キーコ、キーコ、キーコ。
キーコ、キーコ、キーコ。




