キーコ
困っていることがある。
でも、何もできずにいる。
時間だけが、落ちていく。
転がって、散らばって、
再び戻ることのない時間が、
足下の土に、だらしなく染み込む。
話し相手はいるけど、いない。
子供の頃から、ずっとそう。
いつも一人のブランコ。
キーコ、キーコ、キーコ。
行ったり来たり、宙にいる。
あの空に、届くかな。
ねえ、ぼくは誰だったか。
ぼくはぼくのように生きられたか。
ぼくはぼくを生かしたか。
これも、あれも、どれも、皆、同じ。
やっぱり、同じものばかりだな。
だから、これからも笑っておこう。
心を想像できないぼくは、
とりあえず、これからも笑うよ。
困っていることがあるから、
でも、何もできずにいるから、
時間だけが、落ちていくから、
ころがって、散らばってゆくから。
そんなに何度も言わないでおくれ。
言いたいことはわかるつもり。
いつも一人のブランコ、
キーコ、キーコ、キーコ。
前とか、後ろに、何がある。
抱きしめられた記憶があるよ。
ねえ、ぼくは誰だろう。
ぼくはぼくでなくてもいいのに、
ぼくはぼくを生きている。
これも、あれも、どれも、皆、ひとつ、
ぼくだけの、出来事なんだな。
だから、これからも漕いでみるよ。
キーコ、キーコ、キーコ。
キーコ、キーコ、キーコ。
キーコ、キーコ、キーコ。