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なんの特技やら目立ったことがない僕の目の前に降り立った転機
この王道物語のような流れは必ず僕を主人公にしてくれるはずだ
変わるんだ・・・《live》で!!!
「さて、そろそろキャラメイクにでも移ろうか」
「あっ・・・はい!」
もうここまで来たからには後戻りはできない
怪しげな雰囲気は払拭できないけれど、前に進むしかない。
「まぁ、キャラメイクって言ってもほぼ100%に近い形で現在の君の身体をトレースするんだけどね」
「え・・・っていうことはこのままの姿?」
「そうさ、liveに当選したユーザーはそのまま健康調査という名目で全身スキャンニングが施される。」
どこまで大掛かりなゲームなんだ・・・
「君にはもう済ませてあるから、あとはステータスと衣装の決定だね。」
「ステータスの決定・・・初期値に個人差があるってことですか?」
そうだとしたらかなり運ゲーじゃないか。
自分がなりたいジョブに不向きな初期ステータスを与えられる場合だってあるはずだ。
「そうだね、pencilの解説が終わったから《live》についての解説もしなきゃだね。」
「そういえば、サービス開始までオープンワールドでのMMORPGっていうこと以外、内容が未公開でしたよね。」
これには多くのユーザーが不満の声を上げていたが、サービス開始と共に未知の世界へ放り出される感覚を得られるから僕は対して気にしてはいなかった。
「サービス開始は残り30分を切っているからちょうどタイミング的には問題がないね。他のユーザーも現在パッケージを開けながら読み込んでいる頃合いだろう。」
これだけ大きい規模のコンシューマーゲームとなると考えられるのは王道って感じのRPGってところだけど・・・
しかし、佐野の解説によってそれは大きな勘違いだったと知る。
「簡潔に言えば、《ユーザーの現実世界での地位やスキル、あらゆる実績をそのままステータスに反映》させる。」
「・・・もっとわかりやすく現実的なジョークでお願いします」
もうここまで来たら今の言葉さえ簡単に信じてしまいそうになる。
「そのままの意味さ、とりあえずステータスを反映させてみるよ。ここからは本当にliveの世界さ。」
佐野はそう言い残すとこの空間の上の方に向かって合図を出した。
すると佐野の体に磁気嵐が発生し、すぐに消えた。
「・・・あんまり期待できそうもないな」
現実世界での僕の能力はあまりにも平均的過ぎる。そのうえ、特筆した能力もない。
そこはいくら考えても無駄なので、他のことに思考を逸らす。
「そういえば、ステータスのことだけで他の解説はしてくれなかったな・・・」
不安に思いつつも、自分のステータスがどのように振り分けられるのかがやはり気になってしょうがない。
「!」
いきなり虚無の空間が足元から再構成されていく。
驚くべき速度で目の前に現れたのはどう考えても・・・
「ホームタウン・・・のようなものか」
冒険のはじまりの地としてふさわしく栄えても寂れてもない。
なんともない街だった。
近くの露店にある写し鏡を覗くと、寸分違わず自分の姿があった。
「うへぇ、装備もよくありそうなものだなぁ。」
何かの革を縫い合わせただけの粗末なもの
「おっ、ウィンドウが出るぞ」
【何かの革服】【何かの革靴】
「本当に何か得体のしれない革なんだ・・・それより肝心なのは」
初期ステータスがどのように振り分けられているか先程から気になってしまう。
「どれどれ・・・うーん・・・」
【ステータス:HP40・MP5・A5・B5・S5】
【スキル:‐】
【固有スキル:-】
ステータスは見事に平均的、どの役割にもなれる可能性があるって考えられるだけマシかな。
スキル、固有スキル共になし。
「まぁ、スキル関係は後々習得できるのかな。」
現在の時刻は17時10分。
10分前に正式サービスが開始されたはずなのだが人の姿がない。
「おかしい・・・操作に慣れる為にも少し歩き回ってみるか。」
5分ほど露店が並ぶ街を歩き回り、
その間にNPCとの会話や大体の相場を知った。
所持金はユーザーに1000リブずつ与えられているようなので回復薬を少し買った。
「死亡ペナルティとかってどうなるのかな・・・僕は既に死んでいるようなものだけど」
一人で冗談を呟きつつ散策していると100mくらい先の方に大きな教会のような建物が見えた。
「!」
その教会から続々と人が流れ出てくる。
恐らくプレイヤーだろう。
「とりあえず行ってみようか」
誰に言ったわけでもないが不安と期待を抑えるために小さく呟き、教会へと歩み始める。