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第7話 エリオス

 広場に戻った朱奈は、管理局に来ていた。入学は一週間後だが、当日全ての荷物の搬入は大変なのでこの一週間は好きな時に荷物を入れられる。

 ただし、住むのと貴重品の搬入は入学してからだ。

 服や本等かさばる物を送ったので荷解きに来たのだ。


「すいません。来週入学のシュナ=リュークレスです。荷解きにきました」


 受付のお姉さんの顔を見ると、リュラさんだった。

 因みにリュークレスという家名は、ルーフェストの遠縁の親戚の家で、そこの養女という事になっている。


「あら、あの時の。入学おめでとう。このタグを首から下げて、この書類を持って右側にある扉へ行ってね。次からはここに来なくても魔法院の扉から入れるからね」


 貰った鉄のタグを首から下げた。魔法院、騎士院、管理局に勤めるもの、または学ぶものにはタグが渡される。そのタグによって学生か職員か等分かる。

 鉄が学生で、名前、学年が刻印されている。

 因みに騎士院は剣、管理局は本、魔法院は杖のマークが刻印されている。


 朱奈は扉を開けて中に入った。


「ここが…魔法院」


 入るとそこは夢のような世界だった。魔法で作られた不思議なものがたくさんあり、空間を自由に行き来さしている。テレビで見ていた魔法の世界のよう…


 ……じゃなかった。


 あれ?

 おかしいな。もっと魔法で溢れた空間かと思ってたんだけど。


 他のところと特に変わらず、誰も空を飛んでいないし、いたって普通の空間だ。


 朱奈は前に進み受付で紙を提出した。


「今年度入学する生徒さんですね。おめでとうございます。学校は広場から北東に進むとあります。学校内に寮もありますので。念の為、地図です。後入学に必要な制服等一式です。開校時間中は門をくぐる時は制服着用が義務付けられています。ですので、そちらの更衣室で着替えてから行ってください」


 えっ⁈

 門をくぐる時制服着用⁈

 じゃあ、この後のデートまさか制服…


「あの…学校行った後、こちらで私服に着替える事は…」


「申し訳ございません。本日は新入生がたくさんきます為混み合いますので…」


 ですよねー。


「普段はいつなら私服で通れるんですか?」


「開校時間以外ですので、一概には言えませんが、だいたい朝早くや夕方、休みの日等です」


「ありがとうございました」


 朱奈は渋々更衣室で着替え始めた。

 ルーフェストは私が制服で来なきゃいけないのを知っていて黙っていた。

 彼はここのOBだから知らないわけがない。


 絶対制服姿見て楽しむ為にあえて言わなかったに違いない。


 笑い顔が眼に浮かぶ。



 着替え終わり、鏡を見る。全体的に深緑で統一された制服はシックで可愛い。詰襟で、中のブラウスはフリルがあしらわれており、袖から見えるフリルが可愛い。スカート丈は以外に短く、靴はニーハイブーツ。プリーツスカートの裾からもレースがのぞいていて可愛い。

 外套はマントや肩で止めるタイプなど選べるようで、私は肩で止めるタイプにした。


 思いのほか制服が可愛くて色んな角度から見て鏡の前で楽しんだ。


 一頻り楽しんだ後、朱奈は学校へと向かった。

 学校は騎士学校と魔法学校が同じ敷地にあり、寮は混合だ。


 寮は三棟ある。基本的に二棟しか使っていないが、入りきらなかったり、私のように入学手続きが遅かったりと何か事情がある人がいるともう一棟使うようだ。


 ここ数年使用していなかったが、昨年三人、今年五人入居している。計八名の少人数の寮だ。

 元々たくさん入居することを想定していない為、規模も他の二つに比べて小さい。こじんまりしてて外観が可愛い寮だ。


 寮母さんに部屋を案内され早速荷解きに取り掛かった。

 棚やクローゼットに荷物をしまい一段落してベッドに腰掛けて休憩していると扉をノックする音が聞こえた。


「はい?」


 扉を開けると一人の男の人が立っていた。

 栗色の髪で襟足が長く、一つに結んでいる。赤い瞳で爽やかな青年だ。


「あっ、可愛い子でラッキー♪オレ、隣の部屋のエリオス=ライト。よろしくね」


「えっ…え?」


 えぇー‼︎‼︎‼︎


 朱奈は慌てて寮母の元へ行った。


「寮母さん‼︎いっ…今…今、男の人が…とっ…隣の部屋って‼︎」


「?ここは男女混合の寮よ?」


 えぇー‼︎‼︎‼︎


 騎士学校と魔法学校混合は聞いてたけど、更に男女混合なんて…あり得ないでしょ‼︎


「君、知らなかったの?」


 気がついたら先程の男の人がいた。血相を変えて走っていったから心配して追いかけてきたようだ。


「はい…」


「まぁ、問題は起きないから心配しなくても大丈夫だよ」


 えっ?


「だって、とっ…年頃の男女が一つ屋根の下など…」


「ははっ、あんた自意識過剰だって‼︎誰も襲わないから安心しなよ。それとも、襲って欲しいのか?」


「なっ…‼︎そんなわけないでしょ‼︎」


「んっ、シュナ=リュークレス?ああ…成る程ね」


 エリオスは、朱奈なタグに手をかけて何か含むような言い方をした。


「なんですか?」


「君はあのルーフェスト様が最近入れ込んでいるって噂の子だろ?名前はシュナで、大層お気に入りで自分の屋敷に住まわせて溺愛していると言う噂だ。シュナって名前は珍しいからな。

直前に入学手続きをしたからこの寮に入るって噂があったけど…まさか君とは」


 そんな噂が流れているの⁈

 私たち一緒に出かけた事もないのにいったいどこからそんな噂が…

 まさか、ルーフェストが流しているんじゃ…

 後で問い詰めよう。


「君が一つ屋根の下で暮らしている男とそう言う関係だからって、ここでもそうなるわけないだろ」


「ちっ…違っ…」


 私たちそんな関係じゃありませーん‼︎

 って声を大にして言いたいけど、フリをしているから、弁明する訳にもいかないし…

 あぁあああー‼︎


「ねぇねぇ、ルーフェスト様は君と二人の時はどんな感じなの?あの、稀代のモテ男が初めて一途に想った相手なんだよ、君は。どんな様子か皆、気になってると思うよー」


 えっ、そんなに注目されてるの⁈

 フリ、承諾しなきゃ良かったかな…


「…初めてあった方になんでそのような話をしないといけないのですか」


「…それもそうだね。これから隣の部屋なんだし、改めてよろしく頼むよ。

改めて自己紹介するけど、オレの名はエリオス=ライト。騎士学校に入学する生徒だ。あっ、これからは敬語はなしで頼むよ。同級生だしね」


「…シェナ=リュークレス。魔法学校に入学よ」


「さっきの話、補足しておくよ。寮則で、寮内での不純異性交友禁止。破れば停学。一方的なら退学。規則があるからだれもそんなリスク犯さないよ。学校を退学にでもなったら自分のキャリアに傷がつくしね」


 成る程、退学なんて雇ってくれるとこなくなっちゃうわよね。

 シュナは納得して、スッキリとした表情になった。


「これからよろしくね、エリオス」


「ああ、よろしく。シュナ」


 …なにか忘れているような…

 あぁっ‼︎ルーフェストとのデート‼︎

 早く待ち合わせ場所に行かないと、間に合わない‼︎でも、さっきの話を聞いて街でデートするのが怖いんだけどな…


「この後用事があるから、じゃあ、また入学式で」


「?なんか暗い顔だが大丈夫か?」


「あっ、うん」


 行くのが気が重くなった朱奈は、待ち合わせ場所に向かった。


次回やっとルーフェストとのデートの予定です。

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