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アドミニストレータのアドミちゃん登場

「僕のラボラトリーにようこそ!! イレブンはそこに寝かしておくれよ」


 中にはいると、ワンと瓜二つの幼女が椅子に座りながら挨拶をしてくれた。

 ワンと比べると表情が豊かであり、可愛らしい。

 彼女が指を指す方向には金属製のベッドがある。


「どうしたんだい? 早く置いておくれよ」


「信用できない」


「えぇ。 そんなこと言われてもなぁ」


 困ったなと言わんばかりに、女は頭をかいた。


「ウルフ先輩、大丈夫です。 マスターは騙し討ちはしません」


「そーだよ。 やっぱり僕、信頼されてるなぁ」


「……いいんだな?」


「はいっ」


 イレブンをベッドに寝かせると、ベッドが光り出した。

 ベッドは妙に弾力があり、寝心地は良さそうだ。


「あれ。 おかしいなぁ。 ちょっと待ってておくれよ」


 ベッドに寝かせると、女は不審な表情をして、イレブンに近寄る。

 イレブンの腕を3指で触りながら瞳を見つめた。


「どうした?」


「いやあ。 こりゃたまげたねぇ。 君、この子に何したんだい?」


「何って、別に何もしてないが」


「ふうん。 何もしてないねぇ。 へぇ。 ふぅーん」


「なんだよ……」


「いいや。 嘘ついてないみたいだし、もういいよー」


 女は、引き出しから注射器とアンプル。 そして、マスクを取り出した。

 ウルフは、反射的に女の手を取る。


「それは……なに?」


「筋弛緩剤だよ。 え? 注射ダメな感じ?」


「いや……分かった。 信じていいんだな?」


「うん。 それだと助かるよ。 あっ!! 自己紹介してなかったね。 アドミニストレータの……いいや、アドミって呼んでおくれよ」


「……あぁ分かった」


 アドミはアンプルに注射器を刺し、中の薬液を吸った。

 注射器をトントンと叩き、中の気泡を上にずらして、薬液を少し針から出した。

 針を付け替え、それをイレブンの腕へ刺し、注入する。


「で、呼吸なんだけど……これ口にくわえてよ」


 イレブンに何かを咥えさせる。

 固形じゃうのもので、よく見ると触手見えた。


「うんうん。 ありがとう。 腕しびれたりしない?」


 イレブンは顔を縦に振る。

 アドミは、マスクを管と接続し、それをイレブンに装着する。

 中から気流の音が聞こえる。

 その音が聞こえてから少しして、彼女は眠りについた。


「はい、麻酔完了。 で、腕の取り付けだね。 持ってきた?」


「えっ、あぁ。 ほら」


 腕を取り出し、手渡す。


「え? それどこから取り出したの?」


「ノーコメントで頼む」


「はーい。 じゃあ取り付けてくよ」


「どうやって付けるんだ?」


「ボンドで、ペターーって」


「は?」


「嘘だよ。 ごめんごめん。 まぁこう見えても、医療系の魔法は得意なのさ」


 アドミの手が緑に光る。

 腕をペターーした後、緑の光を浴びせた。

 アドミが手を離した後も、緑の光は残り、それは全身へと広がっていく。


「ほお。 やるもんだな」


「うん。 腕はなまってないみたいだね。 それより、やっぱりこれが効くってことはそういうことかぁ」


「どういうことなんだ?」


「んー? この子……人になったみたいだ。 アンドロイドじゃなくて、人間に」


「人になった? なろうと思ってなれるものじゃあるまい」


「セックスはしたの?」


「してねぇよっ!!」


「本当に〜? じゃあなんでなんだろうね。 恋の魔法とかかな」


「恋の魔法て……」


 ウルフが呆れていると、アドミが急に真剣な顔になって口を開いた。


「じゃあ行こうか」


 アドミが、扉を開けさらに奥の部屋に入っていく。

 その暗い視線は、そこならぬ決意を感じた。

 ウルフは、一目イレブンを見た。

 そして、心に言葉を隠して、奥の部屋へとついていく。

 その部屋は、やや広く何もない。

 白く明るくちょうどいい感じだった。


「準備はいいかい?」


「あぁ、どうしてもやるのか?」


「うん。 さぁ、君の覚悟を見せておくれよ」


 周囲に雷が発生して、アドミに全てがまとわりつく。

 闘いの狼煙が上がった。





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