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廊下 長いしこれ、地下帝国かな?

 みんなで仲良く一列になりながらだいぶ歩いた。

 イレブンとの戦闘後よりずっと、彼女をお姫様抱っこし続けていたウルフは、いい加減腰と首が痛み、足がガクガクプルプルだった。

 そう、完全に降ろすタイミングを失っていたのだ。


 例えば、ハリボテ城に到達のタイミング。

 周囲の警戒をしていたら、もう降ろさないでいた。

 案の定、こいつ達が現れて戦闘になった。


 戦闘中、後はもう、なんか言い出すタイミングがなかった。

 ほら、もう足腰やばいけぇ降りてくれんかのう。

 なんて、ダサすぎて言えないだろ?


 まぁ、そんなこと気にしている方がダサいのだが。


「まだ着かないのか?」


「もうすぐです……罠を警戒しないのですか?」


 1番大きなイレブンもどきが答えた。


「警戒してもいいけど、儂を困らせるような罠作れる? ええと」


「トゥエルブです。 一応、そのような罠も作れはしますが」


「へぇ……どんな?」


「アンドロイドの機能を停止させる罠……なんて困りません?」


「それは困るな。 イレブンの家族は出来るだけ傷つけたくない」


「…………私たちは、また再び作り直すことが出来るんですよ?」


「また生き返らせてやるからここで一度死ねとか。 考えるにも値しないな。 それに、新しいお前はお前じゃないだろ?」


「どういう意味ですか? 新しくても、古くても、私は私ですよ」


「いいや、違うね。 今そこでにやけているお前は1人しかいない」


「そう……ですか。 案内は、前の幼女どもについていけば安心です」


 そう言ってトゥエルブは早足で先に歩いていく。


「おい、どこに行くんだ?」


 そう問いかけると、別の個体が答える。

 トゥエルブは、そのまま歩いて行った。


「はいはーい。 お答えしますは、ナインだよ!! トゥエルブはね。 解除しに行ったの」


「解除? やっぱり罠があったのか」


「うん。 アンドロイドの脳を破壊する奴。 マスターの命令は、一対一でウルフっちと話すことだったから」


「……で、いきなり心変わりした訳か」


「うん。 思ってたよりウルフっちがいい男だったからねー。 これ褒め言葉だよ」


「でも、そんなことして大丈夫なのか? マスターに逆らう訳だろ?」


「んーん、 大丈夫じゃないと思うけど。 命令に従うかも、私たちの自由意志だもん。 絶対の命令を覆したくなるだけの理由がウルフっちから見つけたんだよ」


「光栄だな」


 各々でおしゃべりを続けでいた幼女どもが足を止める。

 目の前には無粋な鉄のドアがあった。

 1番小さい個体……人数的にワンだろう。

 その子がパネルを操作して、指紋をとり、カメラに目を当てた。


 ドアが開いた。

 意外にも、素早く静かに開いた。

 それは大きなドアで、横に4人くらいなら倒れそうだった。


「お待ちしておりました。 ご……ご主人様…………何を笑っている?」


 そこには、メイド服に犬の耳をつけて首輪をした、四足歩行のトゥエルブが待っていた。

 その様子を見て、幼女衆の中には笑いを堪えられないものも出ている。


「着替え早いな。 早着替えか? 特技なの?」


 ウルフが聞くと、その犬は噛みつき出す。


「妙な煽りをするなっ!! ええい、死ぬがよい」


「いてて。 いや、痛いって。 血が……出てるよ。 いたぁーい」


 腕に神経が集まったかのように錯覚する。

 全ての感覚がそこに集中する。


「全く、あなたはイレブンを連れて中へ入ってください。 他の妹達は……お仕置きですよ」


「ひえぇ。 やっぱり? それ着ればいいの?」


「いいじゃんコスプレ見たいで……あ、ウルフっちまた後でね」


「え、あ。 おう。 えっと、中でいきなり戦闘ってことはないよな?」


「ん? セーブと回復しとく? もちろんこれはゲームじゃないんだからできないけど」


「だろうねっ!! いいよ。 じゃあ行くか」


「はい。 じゃあね。 妹達と、お姉ちゃん」


「あぁ、運が良ければまた会おうか」


 そう言って、扉の目の前まで歩いていく。

 それは、まるでウルフ達を迎い入れるかのように開いた。

 躊躇うことなく進んでいく。

 やや薄暗い、階段となっている。

 その階段を登っていく。


「イレブン。 治してもらえるといいな」


「……私のことより、自分の心配をしてください。 マスターは強いですよ。 もし戦闘になったら」


「儂は勝つよ」


「…………信じます」


 そしてその足は、最後の段へとかけられた。

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