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0日目 ジェットコースター

 遊園地、まず最初に乗ったのはジェットコースター。

 一言で例えるなら、風になる。

 だった。


「あの、この固定ガタガタしてません?」


「はははっ」


「答えてくださいよっ!!」


 ゆっくりと斜めになる。

 上を目指す。

 上がって行く。


 高度が十分になった。

 と思ったタイミングでさらに上がった。


「来ますね。 こわいです」


 手を握られる。

 手汗でにじむ手が添えられた。


 そして、頂点になる。

 広大な景色が綺麗だ。


「うわぁぁああああ」


 透き通る声で、絶叫が聞こえる。

 今更こんなもので驚くことはないと思っていたが、ウルフも若干の身構えをする。

 それだけの設備ではあった。


「えぇぇえええ。 ガタガタいってますぇうううう。 これ大丈夫ぅうううですか?」


 ちょっと面白いじゃねえか。

 結局スラムの生ぬるい空気を切り裂くさわやかな風を感じ終えた頃には、イレブンはダウンをしていた。

 あたりに人はいないため、貸切乗り放題だ。


「なんか、飲み物買ってこようか?」


「あっえと、お願いします」


 肩で息をしていた。

 なんか適当に買うか。


「ここの飲み物高いんだよな」


「まいどありー」


 飲み物ひとつ100ダラー。 いい値段だ。

 悪い意味で。


「アクエリと爽健美。 どっちがいい?」


「え? あぁ、アクエリでお願いします」


 かじるようにペットボトルを咥える。

 ウルフもそれに合わせて、茶をすすった。


「まだ気分悪い?」


「もうそろそろですね。 次、あの馬乗りたいです」


「頑張るねぇ」


 顔色をわかりやすく回復させながら、メリーゴーランドを指差す。

 そして、軽くぴょんぴょん跳ねながら向かっていった。


「カンガルーのようにっ!!」


 それをウルフは追いかける。


「……うさぎさんのように」


 と、呟きながら。


 メリーゴーランドを機に目まぐるしくいろんなものなって行く。

 楽しかった。

 そして、楽しんでくれた。

 その事実が、他の何に変えられない。 かけがえのないものだと、今は気がついていなかった。


 昼頃いい時間になると、流石に疲れたようだ。

 休憩所の椅子に腰をかけ、午後のラウンドについて会議が始まった。

 その間に、昼ごはん(ランチセット 438ダラーになります) を食べる。


「はぁー楽しいですね。 あれ? 楽しいですよね?」


 イレブンはご満悦のようで、高すぎるテンションに温度差を感じる。

 まぁ楽しんでくれているのなら何よりだ。


「あぁ、楽しいぞ。 ただちょっと疲れてきたかな。 少し休ませてくれ」


 食べたものが消化されて行くのを感じる。

 ああ心地よい。 なんだか眠い。


「それは嬉しいです。 2人で嬉しいなんて嬉しいですよね!! やっぱり好きな人と一緒だと幸せ二倍ですね。 いや、もうこれは100倍です」


「……ほら、次いこか」


 立ち上がり、進んで行く。

 なんか、少しテンションが上がった気がする。


「ほらほら、うさぎさんのようにっ!!」


「うふふ。 カンガルーのようにっ!!」


 2人が向かっていった先は、まだ見ぬアトラクションたち。

 お化け屋敷に、簡易水族館まであるかの施設は、金を取るだけあって流石の施設であった。





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