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ライム・ア・ライト(第一章、星空の幻想2)

 そんなやり取りがあった次の日に、ラトはララティアを伴って出発した。ミルドレットの街を出て、ラト達は以前、ララティアの内に眠る力、つまりミリテリアマスターとしての力を狙っていたサークジェイドが居城としていた旧都ソルレオンに向かった。

 旧都ソルレオンの門をくぐる前に、ララティアはつぶやいた。

「ラミさん、今もここの酒場で働いているのかな?」

「さあな」

 ララティアの言葉もどこ吹く風という感じで、ラトは無表情にそう言った。

 ラトとララティアがラミと最初に会ったのは、まだ二人が出会ってから間もない頃のことだった。その当時のラトは、ララティアのことなどただ疎ましい存在としか思っていなかった。家を家出同然で飛び出したラトには、頼るべき相手もなく、進むべき道もなかった。サークジェイド達からララティアのことを守るという使命も、えびこのしつこいくらいのミリテリアマスターに関する長い話も、ラトにとってはさしたる方針にはならなかった。そもそも、ラトはこの当時、ララティアのことを本当に自分の娘だとも、大切な仲間とも思っていなかったのだ。

 これから俺はどうすればいいんだ?

 そんなふうにラトが迷っている時、ラミはラトの前に現れた。

その時、ララティアは自分が使ってしまった路金稼ぎのため、必死になって酒場の仕事をこなしていた。

ラトはそんなララティアのことを、ただ無関心に見つめていた。

「こんにちは、ララティアちゃん」

 うわぉっ! と気を抜いていたラトはいきなり聞こえてきた女性の声に驚き、口をパクパク心臓バクバクさせる。

 視線をやると、ララティアの後ろに小柄な少女が立っていた。小柄、といってももちろんララティアよりは年上の女性らしい。

 まだあどけなさが漂う大きな紫色の瞳と腰まで届く長い薄赤色の髪が特徴的だった。クリーム色のワンピースを身にまとい、その上から青地に花柄模様のプリティなエプロンをかけている。そしてその背中には、髪色と同じ色の大きなリボンが申し訳なさげにパタパタとはためいていた。

 ラトは呆然とその女性を見つめていた。ラトの心臓がバクバクとラトの意志と一切関係なくわめきちらしていたのは、何も突然その女性が何の前触れもなく話しかけてきたからというばかりではなかった。

 そう、その女性はすごくすごくプリティーだったのだ。おっとりとした口調から受ける印象は、元気はつらつといったララティアとはまるで対照的で、癒し系な感じの女性たった。

 口をパクパクさせたままじっと見つめるラトの視線に気づいたのか、彼女はニコッと永久凍土の氷さえ溶かすような笑顔を向けてくれた。

「こんにちは。初めましてさんですよね?」

「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ」

 笑顔の弾丸にハートを撃ち抜かれ、ラトがうまく口を動かせずにいると、彼女は「ニワトリさんのまねですか?」と、クスクス声を立てて本当におかしそうに笑った。

 その笑顔がまたまたハートにクリティカルヒット。

ラトはますますしゃべれなくなってしまう。

そんなラトに、笑いをおさめた彼女はにっこりと言った。

「初めまして、私はラミって言います。ここの酒場で働いていたりします。よろしくお願いしますね?」

「おっ、俺は――その、えっと・・・・・」

「私のお父さんだよ!」

 ラトの言葉をさえぎって、ラトの様子をおかしそうに見ていたララティアが、ペシペシとラトを叩きながら言った。

「お、お父さん?」

 ラミは怪訝そうに首を傾げた。

「誤解を招くようなことを言うな!」

「で、でもでも、本当のことだし・・・・・」

 ラトが不機嫌そうに叫ぶと、ララティアはふてくされたように顔を俯き、頬を膨らませる。

 ラミの疑問に答えるように、ララティアは言った。

「私ね、この時代より未来から来たんだよ!」

「未来・・・・・から?」

「うん!」

 ララティアが大きく頷いてみせると、ラミは顔を曇らせた。

「・・・・・私やルカと同じね」

 ラミは悲しそうな表情で、確かにそうつぶやいた。その言葉は、押し殺すようなつぶやきでひどく聞き取りづらかった。それでもほとんど偶然に近い幸運で、ラトはラミの言葉を聞き取ることに成功した。

 「同じ」とはどういう意味だろうか?

 疑念が矢になってラトの胸に刺さった。「同じ」。まるで自分もララティアと同じように未来からやってきたような台詞だ。

「あの・・・・・ラトさん」

 ラトの思案は、ラミの呼びかけによって中断を余儀なくされた。

 気を取り直して、ラトは言った。

「なっ、なんだ?」

「ララティアちゃんのことを大切にして下さいね」

 ラミはラトをじっと見つめた。

「・・・・・・・・・・・」

 ラトは何も答えない。いや、答えられなかった。ララティアの力を狙っている奴らから、ララティアを守ること。この時、ラトはいまだに、ララティアのことを守ろうとする気持ちに到達できないでいた。

 ラミはひとつ頷くと、ラトの前に立った。そしてそのまま黙って、ラトの顔を見つめていた。ラトも特に言うべきことがなかったので、そのままずっと黙っていた。

「大切な人に会えないのは、本当に辛いことだから・・・・・」

 だいぶ間があってから、ラミが言った。

「・・・・・そうだね」

 そう答えたのは、ラトではなくララティアだった。少しだけ悲しそうな顔をして頷いた。

「どうして・・・・・」

 その質問を口にするべきかどうか、ラトは一瞬、迷った。しかし、こらえきれなくなって、ラトは訊いた。

「どうして、そんなふうに当たり前のように言えるんだ?」

「えっ?」

 ラミは不思議そうに首を傾げた。

 ラトは肺に息を吸い込んだ。ためらいも恐れも感じてしまう前に、ラトは声と一緒にそれを吐き出した。

「大切な人なんて、俺にはいないからな!」

 それを口にした瞬間、ラトは驚くほど冷静な気持ちでいられた。そして、分かっていた。ラミはきっと、俺のその言葉を聞いて、ひどく困惑した、それでいて迷惑そうな顔をするだろう、と。そして俺に、申し訳なさそうな声でこう言うのだ。――ごめんね、と。

 でも、現実には、ラミは迷惑な顔をしたりはしなかった。彼女はニコッと自然な様子で微笑んで、ラトに言った。

「そんなことないわ」

 ラミは首を大きく振った。それから急に両手を伸ばして、その手でラトの顔を優しく挟み込んだ。

「おい?」

 手のひらを通して、朝の光のようなぬくもりが頬に伝わってくる。ラトはどぎまぎして、舌が上手く回らない。

「そんなことないわ、ラトさん」

 と、ラミは再び言った。

「ラトさんのそばには、ララティアちゃんがいるわ。あなたのことを一番、大切に思っているのはララティアちゃんだから・・・・・。 ラトさんは決して独りではないの。ララティアちゃんがずっと一緒なのだから。あとは、あなたがそれに気づいてあげるだけ」

「ララティアが?」

「ええ」 ときどきラミの声が、ラトの心に神の言葉のように響く時がある。この時がそうだった。『大切に思っている』『ずっと一緒にいる』それらの台詞には何の根拠もなく、何かの保証には決してなりえないことを知りながら、ラミが口にすると、まるでそれはすでに約束された未来の出来事のように感じられた。

 ラミはすうっとラトの顔を開放し、彼に微笑みかけた。ラミの両手が離れても、ラトの頬には彼女のぬくもりが残った。そのぬくもりが、ラトの不安や恐怖を溶かし崩してしまったのかもしれない。気がつくと、ラトの心から、嘘のようにそれらの存在が取り除かれていた。

 ラミは言った。

「だから、大丈夫」「・・・・・そうなのかもな」

 ラトはラミの言葉に頷いた。

 ラトはラミを見て、それからララティアを見た。そして一度、空を見上げた。澄み渡る青い空。流れていく白い雲。

 再び、二人に視線を戻した時、ラトの心は決まっていた。

「まあ、しばらくは、ララティアと一緒にやってもいいかもしれないな」

 と、ラトは言った。


 どうしてあの時、自分はラミの言葉を受け入れてしまったのだろうか、と後になってラトは何度か考えることがあった。

 いつもの――つまりその当時のラトなら、そんな申し出を聞き入れるはずはなかった。知ったことか、と即座にはねつけていたはずだ。でも、あの時のラトはそうしなかった。それがとても不思議で、ラトはその後何度もあの時のことを振り返った。

 そしてある日、ラトはひとつの結論にたどり着くことになる。

 きっと、俺はあの時すでに、ラミにやられてしまっていたのだろう。

 ラミは言った。

「ララティアちゃんのことを大切にして下さいね」

 本当はラトは、その言葉に、こんな人間がいたのかと衝撃を受けた。ラトは『ちょうちょ』と呼ばれる種族で、人間ではない。間違いなく、自分はララティアの父親ではないと感じていた。だからこそ、ララティアから『お父さん』と呼ばれると、ラトは苛立ってみせた。

だけど、この時、ラトは言葉を失った。ラミの台詞はこれ以上ないというぐらい的を得ていた。

 そして、ラミの存在。ラミが言った「大切な人に会えないのは、本当に辛いことだから・・・・・」という言葉に、ラトは強い反発を覚えたが、本当はもっとずっと深いところで、その言葉はラトの心臓打ち貫いていたのだ。ラトはあの時、気づいていなかったけれど、いや、自分では気づけないほどに、深い深い感動を覚えたのだろう。

 それはひとつの救済だった。

 ラミの生きる姿勢と言葉は、失望と絶望という高い壁に囲まれたラトの世界に差し込まれた一条の光だった。

 いや、すべてを決定づけたのは、本当はもっと前のことだったのかもしれない。それはラミと出会った時に、何もかも決まっていたことだったのかもしれない。

 最後に、ラミは言った。

「だから、大丈夫」

 大丈夫。それは独りではないという意味だったけれど、でも何故か、その言葉を口にした瞬間、ラミの姿が、ラトの中で今は亡き母とだぶった。『ちょうちょ』である母と『人間』であるラミとではまるで容姿は違ったが、母もラミも優しく穏やかで、だけどしっかりと芯の強い女性だった。

 多分、自分は、ラミに失ってしまった母を重ね合わせていたのだ。だから、最初は腹を立てていたはずなのに、ラミの最初の言葉に迷い、二度目の言葉を受け入れてしまったのだろう。


 ようやくラトが自分の中でそう結論づけることができたのは、この日の出会いからもうサークジェイドを倒して、しばらく時間が経過してからのことだった。そして実のところ、その時にはもう、すでに何もかもが手遅れになっていた。

 大切なことに気づくには、人生はあまりにも短すぎるのかもしれないな。


「ねえ、お父さん」

 そろそろ酒場が見えてきた頃、ララティアはラトに呼びかけた。

「なんだ?」

 と、ラトは顔をしかめた。

「あの、サタナエルさん達とも出会ったのも、ここだったよね?」

「そうだったか?」

「そうだったよ!」

ラトはララティアを見た。珍しく、ララティアの顔には微笑が浮かんでいなかった。

「あいつらのことは忘れろ! バカがうつる」

「もう、うつっていると思うよ! お父さん!」 ラトが茶化すと、ララティアはようやくかすかに笑った。

「それにしても、あれからサタナエルさん達、どこに行っちゃったのかな?」

「知るか!」

 ラトは憮然として、ララティアの言葉に応えた。

ララティアは苦笑を浮かべ、手にしていた街の地図を見つめた。そして、また口を開いた。

「お父さんは、サタナエルさん達のこと、気にならないの?」

「元々、敵だった奴らのことなんか、気にする方がおかしいわい!」

「ぶぅ・・・・・」

 ララティアは傷つけられた表情で、顔を俯かせた。しかし、すぐに顔を上げ、また、太陽をいっぱいに浴びたひまわりのような笑顔をラトに向けた。「お父さん・・・・・、サタナエルさん達のことが好きなんだね!」

「違うわい!」

 苛立つ心のまま、ラトは声を限りに叫んだ。

 ララティアを見やりながら、ラトはサタナエル達と初めて出会った場面を、頭の片隅に思い浮かべていた。


 サタナエル達と初めて出会い、そして戦ったのは、ラミと出会ってから間もない頃のことだった。

 サタナエル達の主、つまりサークジェイドは、ララティアの内に眠るミリテリアマスターとしての力を狙っていた。

ラト達が生きるこの世界は、人々からアーツと呼ばれている。その名の意味するところはよく分からない。誰が名づけたのかも知らない。恐らく、この星の神々がそう呼んでいたのを、いつのまにか人々の間に浸透したのだろう。

アーツは巨大な海と、いくつかの大陸によって成り立っている。大陸の大きさは様々で、大きな大陸と呼べるようなものから、小さな島と呼べるものまである。

それらの大陸に住む種族も多種多様だ。人間。人より耳が尖ったようなエルフ。天使を思わせる容姿の羽翼人。人の手のひらに似た容姿を持つちょうちょ。そして、魔族や魔物。

もしかしたら、他にも別の種族が存在するかもしれない世界。それがアーツだ。

ラト達が今いるのも、もちろんアーツにある大陸のひとつだった。

そもそもこの世界には、六人の神々がいる。天の魔王、地の魔王、夢月の女神、魔王、星の女神、時音の女神。普通、魔法は、このうちの一人から力を借りて使うものである。だが、ミリテリアと呼ばれる存在は、そのうちの一人の力を最大限に借りて発揮することができる。

だけど、ララティアはそれとは違った。実は、六人の神々すべての力を借りることができるらしい。なんて言うと、まるで本当にそれができるみたいに聞こえるかもしれないが、実際はそう大したことはない。できるかもしれない、その可能性がララティアにはある、というだけなのだ。それだけの話だ。そんなことはすべて嘘だと思えるくらい、ララティアは星の魔法、つまり星の女神から力を借りる魔法ぐらいしか扱えなかった。ただ、ララティアの場合、普通の人よりも魔力の潜在能力(キャパシティ)がはるかに高かった。それが、サークジェイドに見出され、目をつけられた原因だった。

「うわっはっはっはっは〜、ついに見つけたぞ、ミリテリアマスターを!」

 突如、その騎士風のあの男は、ラトとララティアの目の前に現れた。それは、ララティアの酒場での仕事が一段落し、ひとまず宿屋に戻ろうかという時だった。

 ラト達をさえぎるように、男は酒場の扉で立ちふさがっていた。そして、その背後には、彼の部下らしき五人の人間の姿もあった。

 彼らを見て、ララティアは顔をしかめた。

「お父さん」 あくまで真剣な表情で、ララティアは言った。

「もしかして、お父さんの知っている人?」

「こんな変な奴ら、俺が知っているわけないだろうが!」

 疑いの目で見るララティアに、ラトは表情を険しくした。

「それもそうだね!」

 納得したかのように、ララティアはうんうんと頷く。

「じゃあ、人違いだね!」

「そうだな」

 そう言ってきびすを返すラト。そしてそのまま、ララティアとともにその場から立ち去ろうとした。だが――。

「待ちたまえ、貴様ら!」

 男の仰々しい剣幕に、ラトは思わず立ち止まった。ラトは嫌そうな表情を浮かべて、その男に振り返る。その顔は、これ以上、この男達の相手をするのを、あからさまに嫌がっていた。

 嫌そうにするラトとララティアに、男は自慢げに声をかけてきた。

「小娘、貴様、光栄に思うがよい。我らが主、サークジェイド様のお力になれるのだからな」

「お父さん・・・・・」

 ララティアは恐ろしげに男を見ると、身を震わせた。

「この人、変質者だよ! 怖いよ!」

 青い顔で自分の肩を抱きしめて、ララティアは震える声で漏らす。

「そのようだな」

 ラトは頭が痛そうに顔をしかめた。

「へっ、変質者だとっ!?」

 騎士風の男は拳を握りしめ、前屈みになって全身を震わせた。だが、すぐに平然を装うと、自慢げにこう告げる。「貴様ら、よく聞くがよい。私はあの、かの有名な白炎騎士団の隊長、サタナエル様だ」

 よく通る声で名乗ると、サタナエルは無意味に白い歯をきらめかせた。

 ・・・・・酒場に静寂が満ちた。唯一聞こえる音は、サタナエルの足で地面を叩くトントンという音だけだった。他の誰もが、自分の発する言葉を失い、固まっていた。

 最初に硬直が解けたのは、ラトだった。ラトはララティアの耳元にそっとささやいた。

「・・・・・知っているか? ララティア」

「知っているわけないよ、お父さん」

 ララティアは、にっこりと笑って言った。

 ララティアがそう言うと、すぐに他の酒場の人達のひそひそ話が始まった。

「おい、おまえら、あいつ、知っているか?」

「いや、見たことない。おまえは?」

「まったく記憶にございません。もしかして、自称騎士団とかいうやつかなんか?」

「ひょっとすると、劇団員の人とかかもしれないな。でも、もし劇団員なら、あんなセンスしてるところを見ると、間違いなくへぼだな」

「どっちにしろ、知らないっていうのは申し訳なくないか。誰も自分のことを知っている人がいないと知ったら、がっかりしちゃうかもな」

「でもホントに知らねーから仕方ないだろう。下手に知っているとか言ったら、いらんサインとかもらったり、出演作とか訊かれてもっと厄介なことにならないか?」「どっちにしても、『変質者』だぜ。それに、あの『かの有名な』って自己紹介が、あまりにもありきたりで古すぎないか。やっぱりああいうことをするのは、売れていない奴に決まっている」

「おっ、おのれ〜」

 酒場の人達のヒソヒソ話がダメージを与えたのか、泣きそうな声を出して、サタナエルは体を屈め、「うむむむ」と眉間にしわを寄せて唸り声を上げた。

 ラトとララティアは、いくら考えても彼が誰なのか分からなかった。他の酒場の人達も、それは同様のようだった。

 ついに業を煮やしたサタナエルは、地団駄を踏んで叫んだ。

「もう、いいわ! 命拾いしたな、小娘」 そう吐き捨てると、そのままサタナエル達は立ち去っていった。

 ララティアがぽつりと言った。

「何だったんだろうね? お父さん」

「さあな」

 と、ラトは言った。

 サタナエル達がララティアの力を狙ってやってきたことをラト達が知るのは、それからもう少し後のことになる。

 その時にはもう、ラト達はサタナエル達の相手は慣れっこになってしまっていたが。


「うわっはっはっはっは〜、見つけたぞ、ミリテリアマスター!」

 ラト達を待ち伏せしていたサタナエルは腕まくりをして、ラト達の前に立った。

 それを見た瞬間、ラトはげんなりとした表情をみせた。すでに、今日、一日で三度目の遭遇だからだ。

「サタナエルさん達、いつも大変だね」

「全くだな」

 嫌そうな顔をして溜息をついたララティアに同意するように、ラトは大きく――そして深く頷いてみせた。

「いつもいつも、感心だな」

「もう、ストーカーは犯罪なのにね」

 そう言っていそいそと立ち去ろうとしたラト達を、即座にサタナエル達の部下達が取り囲んで足止めした。

 そんなラト達に、サタナエルが鼻息も荒く言い放つ。

「小娘、いい加減、諦めるがよい。あまり、私の手を(わずら)わせるな」

「えい!」

「ぐえっ!」

 ぐいっ、べちゃっ!

 とっさにララティアは、サタナエルのマントを引っ張った。つんのめったサタナエルはカエルのような声をあげ、無様に地面に顔面を打ちつける。一度ついた勢いはそれだけでは収まらない。さらに数メートル前転したところで、ようやく止まった。サタナエルはそのままぐったり地面に突っ伏す。

 しばらく、辺りに不気味な沈黙が降りた。

「サタナエル、様?」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・おい!」

「・・・・・・・・・・」

 サタナエルの部下達の呼びかけにも、ラトの呼びかけにも、サタナエルは答えない。サタナエルの部下達の血の気が、一気にざざーっと引いていった。彼らは大慌てで、サタナエルをがくがくと揺さぶった。

「サタナエル様、目をお覚まし下さい。サタナエルさーま!」

 事を起こした張本人であるララティアは、あくまで感心のなさそうな物言いで告げた。

「サタナエルさん、さらに顔色青くなっているみたい」

「ああっ! しっかりなさって下さい、サタナエル様! ・・・・・こ、こうしている場合ではありません!」

 ベリルがそう断言すると、彼らはさっとサタナエルを抱え込んだ。そしてそのまま、サタナエルを持ち上げると、そそくさとその場から立ち去っていった。

 胸元に指をからませながら、ララティアが何気ない表情のまま、ラトに訊いた。

「何だったんだろうね、お父さん」 

「さあな」

 ラトはそう答えると、呆れたように深い溜息をついた。


 旧都ソルレオンは、外からの期待を裏切らないだけの活気に満ちていた。大通りの両脇には露天が並び、見たこともない食べ物や雑貨類を売る客引きの声が飛びかう。酒場に繋がる路地には奥行きがあり、入り組んだそこはまるで迷宮のように見える。ラト達も初めて訪れた時には、見るもの全てが新鮮に映った。

 初めて訪れた時、幸い、ラトの懐にはいくらかの余裕があったので、露天でおいしそうな芳香を漂わせていた串焼きを買い、それを二人で(?)かじりながら辺りを見て回った。少し筋張った肉だったが、甘辛いタレがよくからんで思ったよりも美味しかったのを覚えている。そして、ララティアが食べ過ぎだろう、と思えるほどの食べ物を買い占め、初日で全財産を失ったのも、ラトはしっかりと根に持っている・・・・・のだが。

 サタナエル達との何度目かの遭遇のあと、ラト達は泊まっている宿屋に戻るため、大通りから離れた脇道を歩いていた。

「おっと、気をつけろよ!」

 脇見をしながら歩いていたせいで、ラトは誰かとぶつかってしまった。

「あ、すみません」

 ララティアがそう謝ったのにも関わらず、男は見向きもせず人混みの中に消えていった。

 途端、ラトは非難をこめた眼差しで、キッとその男を射抜いた。

「なんだ、あいつ」

「何か、慌ただしい人だったね」

 などと感想を漏らして、ラトとララティアは再び歩き出す。

ラトが懐から財布が消えているのに気がついたのは、それからしばらく経ってからのことだった。


「くそぉ〜」

 ラトが興奮さめやらぬ顔で叫んだ。怒りのあまり、拳を小さく震わせる。

 街を一回りしただけで、もう日は西に傾きつつあった。顔を覚えていない男を捜すには、この街はあまりにも広すぎる。

ラトは途方に暮れ、徒労に不平を漏らす脚(?)をなだめながら、すぐそこにある階段に座り込んだ。ここは街に入ってきたのとは反対側の、北の外れのようだった。ゆるやかな坂になっており、坂に沿って建てられた家々を石の階段がつないでいる。その一番上には、大きな鐘楼を備えた大聖堂が建てられていた。

今は夕日に照らされ茜色に染まるその壁は、日中は眩しいほどの白色なのだろう。大聖堂は厳粛な雰囲気に包まれ、悠然とそびえている。

それを見て、ラトは急に惨めな気持ちになった。

「はあ〜」

 ラトはそう溜息をつくと、夕焼けに紅く染まる空を見上げた。

 このままでは今夜の宿代もままならない。さっき、酒場で初の給料祝いということで食べさせてもらったばかりだからまだ空腹は感じないが、それもいつまでも保ちはしないだろう。財布には贅沢さえしなければ、まだ、次の酒場の給料日までは宿に泊まれるお金が入っていたというのに。

 苦悶の表情を浮かべて「うーん」と唸っているラトの様子を、ララティアは無言のまま、まじまじと見つめていた。

 そして――。

 ララティアはハッとした。

 お父さんはきっと、あの人にお金をプレゼントしたんだ!

 その照れくささや動揺を隠すために、こうしてわめき散らしているようにララティアには思えた。

 うんうん、そうに決まっているよ!

それなのに、私、てっきりお金は盗まれてしまったのだとばかり、思ってしまっていたなんて!

 ララティアは急にいたたまれなくなってきて、大きな瞳をうるうると潤ませた。

「うう、お父さんは、優しい人なんだね・・・・・」

その唐突な行動に驚いたのか、ラトは目を丸くした。

「おい! どういう意味だ?」

「だっ、だって、見ず知らずの人にお金をあげるなんて・・・・・、お父さんは、やっぱりすごいよ!」

「はあっ?」

 ラトは虚を突かれて、いぶかしげに眉を寄せる。

 ララティアはぐずぐずと鼻をすすりながら、指を胸元でからませた。

「私、お父さんの気も知らないで、ずっと、盗まれたのかと思っちゃっていた。あぁ、別に無理して隠さなくてもいいよ。お父さんの気持ちは、娘の私がよーくわかっているからっ!」

「おい!」

 ラトはぶすっとした顔をして、冷たくララティアを横目で見た。

 だが、ララティアはそれには全く気づかず、さっとラトの両手を握りしめると瞳を輝かせながら言った。 

「無一文になっちゃったのは辛いけれど、これからも頑張ろうね、お父さん!」

「人の話を聞け!」

 ラトは、半ばやけくそでそう叫んだ。

 しかし、当のララティアには、その言葉は全く届いていないのだった。


「・・・・・いい話っスね」

 だが、そこに突如、エビフライのような生き物が、ラト達の前にトコトコと進み出た。そして突然、その生き物の左右の瞳からは、ナイアガラの滝もかくやというほどの大量の涙が凄まじい勢いで流れ落ちていった。

「感動的っス! 素晴らしいっス!」

「お、お父さん、どうしよう? どうしよう?」

「・・・・・ほっとけ」

 泣きじゃくるその生き物の姿に、ララティアはどうしていいのかわからずオロオロその場を行ったり来たりするばかり。

ラトはというと、ただ呆れたように呆然とその場に立ち尽くしていた。

 結局、その生物の涙の大洪水が沈静化したのは、それから十分も経った後のことだった。

「うぅ・・・・・っス・・・・・」

 と、未だぐずつき、ララティアのハンカチで涙を拭きとるその生き物に、警戒心もあらわにしながら、ラトは尋ねた。

「貴様、何の用だ?」

「こんにちは、えびこっス!」

 瞳をきらめかせ、満面の笑顔を浮かべて、えびこはビシッとポーズを決めた。折良く風が吹き、見事な尻尾が優雅(?)になびく。

「こんにちはっス! えびこさん!」

 えびこの挨拶に応えるように、ララティアは嬉しそうに右手を上げてえびこの言葉使いを真似た。

 それを見て満足げに微笑んだえびこに、ラトはすかさず突っ込む。

「また、変な登場の仕方だな・・・・・!」

「変ではないっス!」

 ラトの言葉に、えびこは鋭く反論した。別に意外なことではなかった。むしろ当然のことだろう。当然でなかったのは、えびこの次の行動だった。

 バシッ!

 カッと、えびこは怒りで瞳を真っ赤にした。そして、速射砲のようなジョブが三連打で、ラトの顔面を砕いた。ラトはそれに耐えられず、よろめき崩れ落ちてゆく。 だが、ラトをダウンに追い込んだ程度では、怒れるえびこは満足しなかった。

「バシッ!」

 一発。

「バシッ! バシッ!」

 二発。

「バシッ! バシッ! バシッ!」

 三発。

「バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ! バシッ!」

 四発五六発七発八発とにかくいっぱいだ。

 消えいく意識の中で、ラトはひたすらこう思っていた。

 こいつだけは殺す! 絶対に殺す! と――。


「ハッ! つい、我を忘れてしまったっス!?」

 ようやくえびこがそのことに気づいたのは、それからかなりの時間が経過してからのことだった。空を見上げても、夕暮れの太陽は見当たらず、その代わり、月がラト達の営みを見下ろしていた。

 ララティアはどこからか救急箱を借りてきて、ラトのことを治療してくれた。さすがにララティアは夢月の女神の力――つまり、回復魔法は使えなかったので、こうして治療するしかない。

ラトは、そんなララティアの優しさに心を打たれた。もしえびこだったら、間違いなくこうはいかないだろう。きっと、親切顔で「痛いところはないっスか?」とか言いながら、大複ビンタをしてくるに決まっている。

 ひとしきりの治療が終えたあと、えびこがおずおずと口を開いた。

「すまなかったっス」 えびこはぺこりとお辞儀をした。腰からきっちりと折る、丁重な一礼である。

 それでも納得いかないような表情で、ラトは不機嫌そうに吐き捨てた。

「き、貴様!」

「そっ、そんなことよりっス」

 ラトの言葉をさえぎって、えびこはバツが悪そうに大きな汗をかくと、さっと話題を変えた。しらじらしいえびこの態度に、ラトはげんなりとする。

「逃げたな!」

 怒りで打ち震えるラトを無視して、えびこはさらに言葉を続けた。そして、どこか状況を楽しんでいるかのようにラト達を見回した。

「君はこれから、ララティアと一緒に暮らしていくことになると思うっスが」

「もう、とっくに暮らしているわい!」

 と、ラトはすかさず言葉を挟む。

「・・・・・と、とにかく、ララティアを立派に育ててほしいっス!」

「すでに、立派ではないと思うが・・・・・」

 ラトの即答に、えびこは再び、大きな汗をかいた。

「そ、そんなことないっス!」

 首を左右に大きくブルブルと振ると、えびこはビシッと音がしそうなほど鋭く指先をラトに突きつけた。

「うわべだけで物事を判断してはいけないっス! 目や耳だけに頼るから、迷いが生じるっス!! 心の眼を開くっス! さすれば外観や目先だけの言葉に惑わされることなどないっス! さぁ、開眼っス!」

 えびこは決めポーズを解き、ピシッと自分の額に手を触れる。

「決まったっス!」

「あの―、えびこさん」

 と、ララティアが遠慮がちに口を挟んだ。

「何っスか?」

「素晴らしい言葉だと思うんだけど、えびこさんが言うとこれほど似合わない言葉はないと思うよ!」

 ララティアが正直な感想を述べる。ラトもそれに同意するように大きく頷いてみせた。

「そ、そんなはずはないっスよ!?」

 必死でごまかすえびこをチラッと見て、ラトは投げやりで訊いた。

「で、実際のところ、何の用だ?」

 ラトにそう聞かれると、もったいぶったようにえびこは咳払いをしてみせる。

「サークジェイドが、ララティアの――ミリテリアマスターとしての力を狙っているみたいっス! だから、サークジェイドから、ララティアを守ってほしいっスよ!」

 えびこは拳を突き上げてラトに向かって力強く叫ぶと、意味もなく胸を張る。

「それだけかよ・・・・・」

 と、ラトは言わずにはいられなかった。

 それを聞いて、えびこはカッと目を見開いた。

「それだけとは何事っスか!? 君はひどいっス! ひどすぎるっス!!」

自然とからだに力がこもっていた。えびこの拳が小刻みに震えていた。

「君は最低っス!」

と、えびこは続けた。

「ララティアは君の娘っスよ! 君のことを一番、信頼しているっスよ! それなのに・・・・・君はひどすぎるっス!!!」

 しばらくの間、ラトもえびこも黙っていた。ララティアもふたり(?)に口を挟むことなく、会話の成り行きをにこにこしながら見守っていた。

 ラトが先に口を開いた。

「・・・・・俺は、ララティアを守るのは当たり前だから、それだけかよ、って言ったんだが」

 と、ラトは言った。

 再び、先程より気まずい沈黙が、辺りをじんわりと覆っていった。

 身じろぎもせず、というか戸惑いの表情を浮かべながら、えびこはラトを見続けた。

やがて、重圧に耐えかねたように、えびこは視線をきょろきょろと漂わせながら訊いた。

「・・・・・・サークジェイドから、ララティアを守ってくれるってことっスか?」

 えびこはもう一度、同じ疑問を口にした。自分で意識してそうしたわけではないが、のどから出たのは絞り出されたような声だった。

「ララティアはまあ、一応、俺の娘だから・・・・・な」

 ごく当然のことのように答えたラトに、えびこは慌てて叫んだ。

「そ、そうだったっスか!? 意外っス!!!」

「どういう意味だ!」

 えびこの予想以上の驚愕ぶりに、ラトは思わず刺々しく言った。

 その間に、ララティアが邪気のない口調でえびこに聞いた。

「えびこさんも守ってくれるんだよね?」

「ぎくっス!」

 ん・・・・・?

 えびこはわざとらしく咳払いをした後、とびっきりの笑顔で言った。

「・・・・・む、無理っスよ。今、心身を鍛えていて忙しいっス!」

「そうなんだ」

 いつのまにかうつむき、何事か考え事をしていたラトが顔を上げた。

「・・・・・だいたい、貴様が守ればいいことだろうが!」

またもやえびこが「ぎくぅっ!」と飛び跳ねた。

「まあ、いい」とつぶやいて、ラトは姿勢を正した。

えびこからララティアに視線を移すと、ラトは言った。

「さっさと野宿するところを探すぞ!」

 相変わらず仏頂面でそう言うと、ラトはララティアに背中を向けた。

「はーい!」

 元気はつらつといった感じでララティアはそう答えると、そのまま、ラトの後を追いかけるように走ってゆく。

「愛っスね!」

 誰に言っているのかわからない言葉で締めくくった後、謎の高笑いを残して、えびこはその場から姿を消した。


 ラトとララティアは、どうにか夜露をしのげそうな場所を探して辺りを見回した。長い階段を昇り、大聖堂の敷地に足を踏み入れると人気のない庭園が姿を見せた。これだけの大きな建物だ、無人ということはないだろう。しかし、この庭園の片隅でラトとララティアぐらい一夜をしのいでも、中の人間にはわからないのではないだろうか。

「まあ、ここなら野宿しても、バレはしないだろうな」

 ラトはどこか投げやりな口調で、そうつぶやいた。

 大聖堂の前は、ちょっとした高台になっていた。端まで歩くと、ラトはそこに設けられた鉄の柵にもたれかかる。そこから、紅く染まった旧都ソルレオンが一望できた。ここから見ると、この街全体がまるでちっぽけな存在のように見える。

「今夜はともかく、明日はどうするか・・・だな」

 ラトは溜息を吐いて、柵の上にあごを乗せた。

「ねえ、お父さん」

 ララティアはふいにラトの隣に並ぶと、ぎりぎり聞こえるぐらいの小さな声で呼びかけた。

「・・・・・ん?」

 ララティアの声はちゃんとラトに届いたらしい。ラトは街からララティアへと顔を動かした。

「お父さんは私のこと、好き?」

 ララティアは笑顔でラトにそう訊いてきた。突拍子もない問い掛けに驚いて、ラトは隣に立つララティアを見た。

 ララティアは笑みを収めると、その代わりに真剣な表情で口をゆっくりと開く。ララティアの口から言葉が放たれる。

「私は大好きだよ!」

 まるで自分に告白するかのようなセリフに、一瞬、自分の息が止まるのではないかとラトは錯覚する。だけど、息は止まらない。ゆっくりと慎重に、一語一語確かめながら、ラトはララティアに聞き返す。

「急に、何だ?」

「私、お父さんに会えてよかったと思っている。本当だよ!」

 ララティアがふふっと思い出し笑いをした。ラトはそれを見て、ちょっと――いや、かなりうろたえてしまった。

「何だ? 急に改まって」

「なんとなーく! そう言いたかったの」

 ララティアは、ぱあっと顔を輝かせて笑った。そして、人差し指を口元に寄せる。

不意に言われた言葉に、またラトは驚いてしまった。

「あのね」

 突如、ララティアは遠い目をして、夜空を見上げた。

「ひょっとしたら、私、お父さんに『ありがとう』って言うの、これが初めてだったかもしれない・・・・・」

 本当は初めてではなかったが、ララティアには本気で言った記憶がなかった。

「だからね、いつも私と一緒にいてくれてありがとう!」

 ララティアはそう言って、ラトに陽だまりのような笑顔を見せた。

「ああ」

 ラトはそっぽ向いて、鼻先をかいた。その顔がほんのり赤いのを、ララティアは見逃さなかった。

 ララティアはつやつやした頬を染めて、はにかむように笑った。

「お父さん、これからもよろしくね!」

 と、とてもうれしそうにララティアは言った。


 人生というのは長い長い旅なのかもしれない。人はみんな自分でも気づかないうちに何かを得るために旅をして、そして何かを得たときに本当の答えが分かるのかもしれない。

だとすると、俺はこの時も旅のどの辺りにいて、何を得るために旅をしていたのか。

 ――今の俺には、はっきりとそれが分かる。そして、この時のララティアの言葉の本当の意味も。何事にも無関心だった俺に、ララティアとの出会いが与えた本当のものが何だったのかも、俺がララティアに求めていたものが何なのかも、すべて俺には分かっている。そして本当はこの晩、俺はそれらのことを気づくべきだったということも。

 ・・・・・どうして俺は、いや俺達は、事前に自分の運命を知ることができないんだ。


 結局、この日は夜更けすぎまで、ララティアの話に付き合わされてしまった。

次回から第二章です。

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