番外編2 最強勇者の戯言
今回はレークス達の番外編の話です。
「ふふふふふっ、最強勇者リアク。ここまでのようだな!」
ハリボテに描かれた、明らかに落書きのような人物が勝ち誇った爆笑を上げた。
「ふっ、貴様こそここまでだ!!皇帝レギオン!!貴様が抱く野望は俺様が必ず阻止してみせる!!」
全世界の正義を体現するリアクが熱く叫ぶ。
「できるものなら−−」
途端、ブッと音を発して画面が暗くなった。
「あー、いいところだったのにどうして消すの?レー兄!」
と、薄暗い魔王城の一室に明るい声がした。
「あのな、もう何回、観たと思ってるんだ?」
「えっと、まだ5回くらいだよ!」
「もう、5回もだろうが!」
あくまでも嬉しそうに言うティナーに、レークスは陰険な目つきでティナーを見つめた。
「だって、リアクさんが作ってきた自作自演の映画、面白かったんだもの!」
「リアクの顔などもう見飽きたぞ」
ぶすっとするティナーに、レークスはソファにそっくり返って言い放った。
「でもでも、リアクさん、映画第2段も作るみたいだよ!」
「そんなもの、俺は許可していないぞ!」
きっばりとそう断言したレークスに、ティナーは満面の笑みを浮かべて言った。
「でも、完成間近みたいだよ!」
唐突なティナーのセリフに、レークスは目を丸くして驚愕した。
「なにぃ!?」
ティナーはそこでえへへと笑いながら訊いた。
「どうするの?レー兄」
「決まっているだろう!それなりの罰を与えるだけだ」
「レー兄、すごーい!」
当然のことのように言うレークスに、ティナーはぱあっと顔を輝かせるのだった。
その後、リアクはアグリー達の証言によると、竜巻に飛ばされたのか、のみ込まれたのか、定かではないらしい。
映画第2段
『最強勇者の最後』
−完−
次回から本編に戻ります。