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79.屋台

 王都は王宮を中心に円状に広がっている。

 王宮の外側が第一層、ここは貴族と呼ばれる人達のような上流階級が住んでいたり、宿屋も食堂も商店も全て一流。それだけに値段も張る。

 その外が第二層。第一層ほどでもないが裕福な人達が住んでいる。生活水準も高い。

 さらにその外が第三層。一般市民よりは少しは良い暮らしをしている。芸術などは浸透しているのもこの層まで。だからミネス達は第二層や第三層で買い物がしたいと言っていたのだ。

 そして王都の一番外側が第四層。王都の中では一番外側だが貧民街になっているわけではなく一般市民が暮らしている。それでもキッタカールよりは生活水準は高い。それでも真似できることがありそうなのはこの第四層だから、せっかくなので見ておきたかった。

 それぞれの階層には城壁で隔たれていて万が一の外敵からの襲撃に備えた防衛も担っている。


 俺は一人で第四層へいくつもりだったが十人以上で出掛けることになってしまった。

 ノエル、モニカ、ピラク、フランの王女四人、騎士団隊長が三人、隊長の代わりのピラクの付き添いのプロシパ。第四層まで馬車二台での移動したため、さらに従者が四人ほど付いてきた。


 第四層に到着した時はその場が騒ついた。

 王女四人に騎士団隊長が三人が急に現れたのだ、そうなるのも無理はない。

 道中で聞いたのだが、王女達が子供の頃に学びのために第三層や第四層に行った以来の訪問になるとのことだった。


「今日は何かあるのかしら?」


「あれ、本当の王女様?」


「騎士団隊長はかっこいいわ」


「あんな冴えない騎士団いたか?」

 街の人から色んな声が聞こえてきた。最後のは俺に対してだろうが、放っておいてくれ。

 やはり一人で来たかったかもしれない。

 同行している衛兵達が王女達に近付かないように街の人を整理しているが、これも余計な仕事を増やしてしまったようで申し訳ない。


「タロウ様、どこから行きますか?」


「夕食のこともあるし、そんなに食べれないですよね。気になっていたのは麺があればそれは食べてみたいと思ってました」

 一年近く麺を食べていなかったので、そう言うものがあるなら食べたい。やはり元の世界の例に漏れず俺はラーメンが好きだった。休みの日に定期的に色んなラーメン屋巡りをするくらいには好きだった。ラーメンは無くとも近いものがあるなら食べてみたい。


 ノエルの問いに俺は答えたのだが、王女達の反応は鈍かった。麺が好きではないのか、あまり馴染みがないのか。


「まったくピラク達はこういう所は馴染みがないからダメだな。私に任せな。ちょっと待ってて」

 プロシパが張り切っている。衛兵に何やら指示をしていた。プロシパの方が立場は下のように見えるがピラクの付き添いになっているから立場が逆転してしまっていそうだ。


「案内するって言ったのに上手くいかなくてごめんなさい」


「大丈夫ですよ、ノエル様。久し振りに来た場所でしょうし、誰にも得意不得意がありますよ」

 ノエルが謝ってきたので俺はそう答えた。


「タロウ、とりあえず麺を食べれるところを見つけて席も確保したから行こう」

 少ししたらプロシパが戻ってきた。席の確保までしてきてくれたようだ。


 プロシパの案内してくれた店は屋台でも隣に食べる席があるような形になっていた。お祭りよりもイベントに出展しているような形に近い。


「注文して席で食べる形式なんだ。私が頼むからそれに続いてタロウも頼みなよ」

 プロシパに促される。俺の後に王女達も続く。王女達もどうしていいか分からないようでプロシパの真似をするようだ。

 俺は何を頼んでいいか分からないのでプロシパと同じ麺を頼む。王女達もさらにそれを真似した。


「あの、すんません。本当に皆さんは王女様なんでしょうか?」


「そうだぞ。ボクは第一王女のフランだ。ボクに食事を提供したことを誇りにしたまえ」

 フランはそう言っていた。偉そうだったがモニカが言っても同じようななりそうだった。ピラクはもう少し柔らかいか。ノエルはもっと普通に答えただろう。


「ラフィッカ達は食べないのじゃ?」

 モニカが隊長達に声をかける。


「私たちは護衛ですので」

 ラフィッカはそう言った。


「あっ! ごめん」


「あんたはいいんじゃない? というか私が許すわよ」

 プロシパが自分の立場を思い出して声を上げたが、ピラクがそう言って一緒に食べるように促した。


「じゃあ、ラフィッカも食べるのじゃ」


「サクラ、君も食べよう」

 フランのところの隊長はサクラというらしい。転生者っぽい名前だが違うようだ。


「それならクリスも食べましょう」

 ノエルもクリスを誘った。


「外の衛兵も食べるか?」

 フランはそこまで気を遣っていたが、もう昼食は食べたということで警備に専念するということだった。


「王女の中でも攻撃力のある二人と騎士団隊長が三人もいるんだ。そこまで守られなくてもボク達だけでなんとかなるのに」

 フランはそんなことを言った。確かにこの顔ぶれが揃っていて襲ってくる人はいないだろうが、王女達見たさに外に人が溢れているから人の流れを整理する人は必要だと思う。お仕事、ご苦労様です。


「ピラク、二番目に攻撃力が高いなんて凄いのじゃ」

 モニカはこう言ってるが、フランは絶対にモニカのことを指していたと思う。


「あんたバカなんじゃないの? 私は水のある所じゃないと活躍できないのよ。攻撃力が高いのはモニカ、あんたなの!」

 ピラクの言う通りだと思う。


「そうだぞ、モニカ。ボクの次に強いのはお前だ!」


「うちはおしとやかなのじゃ! 攻撃力とかは高くなくていいのじゃ」

 モニカがそう言うと王女達は笑っていた。

 でも、この笑いに隊長達は入っていけない。それはそうだ。俺もどうしていいか分からない。

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