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77.通信石の正しい使い方

「これは何ですか?」

 早く帰りたいのかパルが代表して真っ先に質問をした。


「説明する前に今渡した石に魔力を込めるのだ。そうしたら左の者に回すように。それを初めにあったものが自分の手元に返ってくるまで繰り返すまで続けてくれ」

 メルチェの指示にミネスが少し戸惑っていた。魔法石に魔力を込めるのはこの前の出来事があって少し不安なのかもしれない。


「ミネスよ、不安なのは分かるがその石には既に私の魔力も込めてある。この場で私がお前たちに不利になることをするはずなかろう。信じてやってくれ」

 メルチェはミネスの不安を読み取ったのかそんな風に声をかけた。ミネスは頷いて通信石に魔力を込める。

 他の王女たちも言われた通り魔力を込めて通信石を順番に回していった。


「これは通信石という魔法の石でな。魔力を持った者が使うと遠く離れたところにいる者同士がその石に魔力を込めたものと石を介して会話できるようになる。お前たちは先に魔力を込めさせないと誰と先にやりたいってうるさくなりそうだから、説明する前に魔力を込めさせた」

 メルチェは恐らくフランやモニカのことを考えてそうしたようだ。


「ボクは喧嘩なんてしないよ」


「うちもじゃ」

 メルチェが想定した二人は何か言ってる。 


「これは転生者達の世界にある"でんわ"とか"すまほ"というものに近い仕組みらしいが、お前達は慣れるまでは使いにくいかもしれない。そこにいるタロウとシノブには先に持たせてあるのだが、彼らはすぐに使いこなしていた。見本を見せるからそれで覚えなさい。シノブ、部屋の外へ行って私の通信石に呼びかけてみてくれ」


 シノブは頷き部屋を出ていった。


「こちらシノブです。応答願います」


「聞こえてある。ご苦労、部屋に戻っていいぞ」

 しばらくしてシノブから通信石に連絡がありメルチェが答えた。これで部屋にいた者には通信石がどんな物が伝わった。

 シノブが部屋に戻ってからメルチェは説明を続ける。


「通信石はその石に魔力が籠った者同士でしか使えないから今みたいにシノブとはお前達は話せない。それと一対一でしか話せないから複数人で会話することはできない。複数人に連絡が必要な場合は一度話を終えたら次の相手に話すという使い方をする必要がある」

 ここまでは俺も知っていた。


「相手からの連絡でいきなり声が出てしまうのが不安なら音を切っておくこともできる。その時は石が光って誰かから連絡が来ていることを教えてくれる。光るのも困る場合はそれも切ることができるが、そうすると気付かない場合もあるだろうから余程のことがない限りはおすすめしない。これは念じればすぐに切り替えることができるから心配しなくても使いこなせるだろう」

 これは俺の知らない情報だった。王女達はともかくシノブや、今はここにいないアレックスは一般人として生活しているので不思議な魔道具を持っていることを怪しまれてはいけないので、気付かれないようにできる必要もあるだろう。

 俺は教えられていなかったけど。


「これで情報共有するための時間はかなり短縮できる。なんせその場ですぐに連絡することができるのだからな。だが、気を付けないといけないのは情報を瞬時に共有できても人が移動するのは同じようにはいかない。救援要請を出してもすぐに駆け付けることはできない。そこは注意するように。万が一に備えるためにも日頃から情報交換を心掛けて欲しい。私からは以上だ」

 確かにメルチェの言う通りだった。すぐに連絡はできても人が助けに行くには時間がかかる。だから、モニカやプロシパ、ローシャを先手を打って移動させておく必要があるのだ。


「じゃあ、アタシは先に帰ります。みんな、何かあったら連絡するからよろしくね」

 パルはそう言って飛び出していった。飛行魔法も使えると聞いているから文字通り飛んで帰る勢いだった。


「私たちも何もないのが逆に気になりますから先に失礼いたします」

 ランダと後ろにいた騎士団隊長も部屋を出ていった。


「リエスも森のことが気になるから帰るね……」

 リエスの後をローシャとフィデスが追う。


「ノエル様、短い間ですが本当にお世話になりました。リリとティキットにはリエス様の元に戻ったことをお伝えください」


「わかりました。ローシャもリエスのことをしっかり守ってください。リエスもローシャを頼むわね」


「任せて……リリとティキットにまた会いたいとリエスが言っていたって伝えて……」


「分かったわ。二人も喜ぶわよ」

 リエスとローシャの挨拶も終わり三人は退出していった。


「私たちはどうするのよ?」

 プロシパがピラクに聞いてる。


「あんたの父親がいるから大丈夫でしょ。それに今現れたら間に合うわけないでもないし、そもそもモニカが今すぐ出発したがるわけないでしょ」


「そうじゃ、慌てても仕方ないから今日は王都で英気を養うのじゃ。いざとなったらハーピー達にお願いして運んでやるのじゃ」

 ピラクに返事したモニカの言葉は芯をついているように思うが、遊びたいだけのようにも思う。


「ところでタロウ。お主も通信石を持っておるのだな?」

 モニカは俺にそう聞いてきた。

 何となくこの後の展開は想像ができた。

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