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75.南の脅威

「南は北東と同様に脅威が来る予兆が隊長はあまり離れられないのだ」


「私、何も知らないのだけど!」

 ピラクが身体を机に乗り出して言った。


「ウラヌスはお前や娘に心配をかけたくないのだろう。あの男らしい」

 ウラヌスは南の隊長の名前のようだ。


「それでも……少しは私のことを頼ってもいいじゃない?!、あんたも知ってたの?」

 ピラクが振り返り後ろにいるプロシパに詰め寄る。


「私もついさっきまで知らなかったわよ。女王様に呼ばれてキッタカールでの修行の成果とか聞かれて、その時に私がキッタカールに行かされた理由も一緒に教えられたんだから」

 プロシパの回答にもピラクは不満そうだ。


「ピラクよ、そう怒るでない。説明を聞くのだ」

 メルチェはそう言って続ける。


「南は皆が恐らくここにいる皆が想像した通り海から大型魔獣が襲来すると思われる。実はウラヌスが言うには徐々に魔障気が強くなっているようだ。最近まで予言書のことは解読できていなかったのだがあの男なりに危機感があって南を離れなかったのだ」


 それで昨年末、娘を預ける時にキッタカールにまでは足を運ばなかったのだ。


「もちろんウラヌス一人で全てを片付けることができるのならそれに越したことは無いが、恐らくそれは無理だと考えている。何とか決戦の時までに戦力を整えようとしているのだ。自信過剰で才能があるのに引き出せない娘を北に送ったのは環境を変えて何かきっかけを与えたかったのだろう。まぁ、それでも才能を引き出せない時は安全なところに避難させたままにしておこうとも考えていたようだが」


 プロシパはメルチェに指摘されて恥ずかしかったのか下を向いている。

 父親は安全を思ってキッタカールに送ったかもしれない。だが、結果的に撃退できたものの、北の方が先に大型魔獣に襲われてしまったので最善の策だったのかは分からない。


「あんた、それも知らなかったの?」


「知るわけないでしょ?! それもさっき聞いたのよ」


「それで修行の成果は出たの?」


 ピラクとプロシパのやり取りは実際は違うのだが髪色が似てるのもあって姉妹のよう見える。


「プロシパよ、修行の成果は皆にお前から伝えてくれ」

 メルチェがプロシパに話すように促した。

 メルチェのその言葉で全員の注目がプロシパに集まる。

 プロシパは恥ずかしそうに話し始めた。


「私には自分では気付いていなかったのですが生まれながらにして魔力がありました。父や女王様は気付いていらしたようですが、私に至らぬところもありその力を引き出せずにいました。キッタカールに付いてから前王女のエミル様にそのことを教えていただき修行を見ていただきました」


 エミルはやはり何か察する力があるのだろうか。


「キッタカールには大きな不思議な湖があり、そこで魔法を使う修行をするうちに基本的な水の魔法だけでなく攻撃魔法や防御魔法も使えるようになりました」


「あら、成長したじゃない。それでアキアンには帰ってくるの?」


 アキアンは南の都市の名前のようだ。

 プロシパの説明にピラクが聞く。


「まぁ、ピラクよ、もう少し待つのだ。まだプロシパの話は終わってない。お主の更なるの成果も皆に説明してやってくれ」


「はい、分かりました」

 プロシパは全員の注目が集まっていて話しにくそうだが、意を決して先を続ける。


「その……私自身、今でも信じられないのですが水龍様の召喚に成功してしまいました」


 プロシパの発言に室内が騒つく。

 水龍というように聞こえた。ドラゴンのことか?


「あんた、ほんとなの?」

 ピラクなプロシパに聞いている。プロシパは黙って頷く。


「皆の者、静かに。ウラヌスの娘はこの千年成功したものはいないと言われている龍の召喚に成功したのだ」


 千年存在しないと言われている召喚魔法に成功したというなら室内が騒つくのも納得できる。


「ただ、恥ずかしいのですが本当に成功しただけなのです。水龍様には『久し振りに召喚したのがこんな小娘とは……お主、我を召喚するとは大したものだ。だが、召喚した時に魔力も体力も使い果たしてしまうのはまだまだ精進が足りない。我を使役したいならもっと魔力も体力も高めておくのだな』と言われてしまいました」


 それでも千年に一人の逸材なのだ。これは凄いことだ。


「それともう一つ水龍様から『せっかく我を呼んだのだ。お主が強くなれるように少しだけ力を貸してやる。これで精進するように』と言い私の魔力に水龍様の加護を与えてくださいました。私はもっと体力も魔力も高めて水龍様と共に戦えるようになりたいと思います」


「ノエル、クリスよ。プロシパは水が大量にあるところでこそ真の力を発揮できるはずだ。彼女は今後来るであろう南の厄災の対処にあたってもらいたい。」

 プロシパの言葉を受けメルチェはノエルとクリスにこう言った。


「はい、もちろんです」

 ノエルが元気よく返事をする。


「あんた、そんなに凄かったの?」


「私が一番驚いてるわよ」


 ピラクとプロシパはそんな会話をしていた。

 やはりこの二人はよく似た姉妹のように見える。

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