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66.歌の王女

 それから約二日移動して俺とナズマはガルメロへ到着した。

 まずは南西の王女ミネスに挨拶するところからだ。ナズマに案内され城へ向かう。


 城に向かうまでにガルメロの街を通ったのだが王都とは違う形の活気があった。

 王都は生活用品から娯楽品まで何でも揃うような店が並び街いく人々もお洒落に着飾っていて、王都というだけあって生活水準の高さを感じさせる活気だった。

 一方、ガルメロは少し違う活気だった。生活用品を買うような店はあるにはあるが軒先に並んでいる商品の質も量も王都には敵わない。街の人々もそこまでお洒落をしているわけではなく質素ではないくらいな感じだ。

 それよりも一番の違いは街のそこかしこで歌を歌ったり楽器を演奏している人がいる。簡単な劇をしていた人もいた。似顔絵を描きますと商売をしている人もいた。これは王都にもなかった光景だ。市民レベルで活発なのだろう。こういう活動をしている人の中で才能がありそうな者を貴族のヨーンは発掘して才能を伸ばしていくのだろうか。

 確かにこういう娯楽での活気があるのは元の世界に少し近いがあって楽しく感じ懐かしくもなった。


 ナズマの案内もあり、手間取ることなくミネスに会うことができた。これで五人目の王女との出会いになる。


「はじめまして、ミネス様。俺は転生者で魔法剣士のタロウと申します。この度はお招きいただきありがとうございます」


「私は第六王女のミネス! よろしくね! あと、みんな王女だからって堅苦しくなくていいから気軽に接してね」

 俺の挨拶にミネスはこう返したのだが軽過ぎやしないか。というか、モニカもそうだが流石に王女に気軽に接するのは難しい。

 ミネスは"あいどるぷろでゅーす"をしてる側というより、自信がアイドルのような容姿をしている。

 紫の長い髪に大きな目、顔立ちも整っていてバランスの取れた身体。ノエル達には悪いのだけど、今までの王女はやはりまだどこかちんちくりんで子供のようにしか思えなかったのだがミネスは元の世界の芸能人のような輝きを放っていて四人の王女とは雰囲気が違う。


「それでタロウは何しに来たんだっけ? 南西領は魔獣も出ないから他の領から転生者の支援はいらないんだけど?」

 メルチェから知らされてないのだろうか。


「ミネス様、タロウさんはこの世界の芸術を学びたくて視察ということでキッタカールからいらっしゃいました」

 ナズマが説明をしてくれた。


「俺も元の世界でアイドルが好きでミネス様がアイドルプロデュースを始めたと聞いて、どんなことをされているか気になる訪問させていただきました」


「なんだぁ、そうだったの?! それなら先に言っておいてくれればいいのにぃ。もしかしたら聞いてたかもしれないけど忘れちゃった。最近、やること多くてね。ごめんね」

 この王女、大丈夫なのだろうか。治める領が違うだけで雰囲気が違い過ぎる。


「元々ね、ヨーンって貴族がガルメロの文化支援をしてくれているんだけどさ。何か合唱に力を入れたいって何年か前から言ってたんだけど上手くいかなくて。そしたらさ、タモツっていう転生者が現れて。『それならアイドルの形でやりましょう』みたいなこと言って去年から一緒に"プぷろでゅーす"っていうのしてるんだよね。これが楽しくて! ホントは年末の王都の集まりも行きたくなかったんだよね」

 ミネスが言っているのは去年末にピラクとリエスがキッタカールに来るきっかけになった王女の集まりのことだ。確かにミネスはアイドルプロデュースが忙しいからって理由で帰ったってピラクが言っていた。


「まぁ、でも、タロウも"あいどる"に詳しいなら私たちのやっていることを見て、よかったら意見ちょうだいよ! もうすぐお披露目も迫っているしどんどんいいものにしたいんだ。街に屋外の特設"すてーじ"も作る予定なんだよね!」

 本格的な感じだ。マイクとかスピーカーとかこの世界ではないだろうから音響関連がどうなるか気になる。魔法で何とかするのだろうか。


「で、私、今から"すてーじ"の打ち合わせがあるから、あとはタモツに話を聞いて。今、別室で"あいどる"と別の打ち合わせしてるからさ。よろしく! ナズマはタロウを案内したらこっちの打ち合わせへ入ってね!」

 そう言ってミネスは去っていった。街を盛り上げるのも王女の仕事といえば仕事だと思うので、こういうのもありかもしれない。


「タロウさん、慌ただしくてすみません。タモツさんはこちらにいます。ご案内します」

 ナズマも大変そうだ。


 俺を部屋に案内してナズマはミネスの打ち合わせに合流には向かった。

 案内された部屋の扉をノックする。


「失礼します」


「はいはい、なんですか? 入ってきていいですよ」


 その部屋には二人の人物がいたのだが、彼らを見て俺は驚きで部屋に入ってから声が出なかった。


 二人とも知っている人間がそこにいたのだ。


 男はタモツ。元の世界での俺の知り合いだ。

 もう一人の女。自分の推していたグループとは別グループなのだが、国民的アイドルグループのメンバーがいた。さすがに顔は知っている。


 ここにいるということは、この二人も転生者なのだ。


 そしてタモツも驚いた顔をしていた。

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