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40.モニカからの求婚

 大型飛行魔獣を倒すことはできたが、街の損害が激しく街を上げての盛大な祝勝の宴が開かれることは無かった。

それでも夜に騎士団、鳥人、ハーピーを労う簡単な宴は用意された。


「ノエルとタロウが来てくれて本当に助かったのじゃ」


「私なんて何もしてないのよ。キッタカール鉱石の謎を解いたタロウ様は大活躍でした」


「いや、俺こそ偶然が重なっただけで戦闘面では何も活躍してませんよ。今回はみんながそれぞれの役割を果たすことで撃退することができたのだと思います」

 謙遜のように聞こえるかもしれないが誰一人として欠けていたら今回のことは成し遂げられなかった。


「そういえばテンサからは話は聞けました?」

 進化の反動と予想以上のパワーとスピードを使ったことによる消耗で宴には参加せずに眠っていると聞いた。


「自分がやらなきゃいけないって気持ちもあったようじゃが、キッタカール鉱石のことが大きかったみたいじゃ。この石があれば雷から守ってくれるんじゃないか、そう信じることで安心できた。そんなことを言っていたのじゃ」

 魔法以外の自然の雷から身を守れる保証は確認できていないが、そう信じることで進化ができた。その結果、プロントを守れたのだから良かったと思うことにしよう。


「そういえばラフィッカが、近々うちもノエルも王都へ呼ばれるだろうと言っておったぞ。タロウも一緒にじゃ」


「それはそうなるわよね。私は女王争いに興味がないから困ったわ」


「うちもプロントがあるから女王争いは興味ないのじゃ」

二人が話しているのは八人の王女から次期女王を決めるって掟のことだ。一番優秀な結果を出した王女が女王になる。キッタカール鉱石の謎を解いたノエルやその力を発揮することのできるモニカは一歩リードしたということか。

「今回のことで決まるのですか?」


「これだけで決まることはないと思います。でも、他の王女よりも結果を出したという見方をされるのは間違いないと思います。それと女王争奪戦のことよりもキッタカール鉱石の効果についての説明を求められるのは間違いないでしょう」

 二十五年かけて解明されなかったことが解明されたのだ。その説明を求められるのは当然のことだった。


「あ、でもうちはちょっと女王に興味が出たかもしれないのじゃ。女王になったら気に入った男性を王様、つまり婿にすることができるのじゃ。そしたらタロウを王様にするのじゃ」

 モニカがとんでもないことを言い出した。周りにも聞かれているから皆こちらを注目してしまう。


「首飾りの件で命を救ってもらったし、プロントを救うきっかけにもなった。うちはどちらでも死んでいたかもしれないので感謝してもしきれないのじゃ。あっ、でもキッタカール鉱石はノエルの領だからノエルが女王になるのかの? そしたらノエルはタロウを王様にするのか? それならタロウはうちを側室にしておくれ。ノエル一人で八人を産むのは大変だし王国として雷の子は授からないといけないのじゃ。それはうちにしかできない」


「あのね、モニカ。そういう話はあとでもっと人のいないところでしましょう」

 ノエルが赤面してモニカを止める。


「何を言ってあるのじゃ、ノエル。これはプロントやキッタカールだけのことではなく国のことじゃぞ。それとも実はすでに決めた相手がいるのか? それならタロウ、このままプロントに残ってうちと結婚するのじゃ」


「もう、ダメ! その話はおしまい。周りの方たちも困っているでしょう」

 ノエルはモニカをどこかへ引っ張っていってしまった。

モニカと結婚といっても元の世界で換算したら高校一年か二年くらいだろう。さすがにおっさんの俺がそんな娘と結婚できない。逮捕されてしまう。


「大変でしたね。モニカ様はタロウさんにとても感謝しているのです」

 ラフィッカに声をかけられた。こういうところでフォローできるのがイケメン過ぎる。


「いや、偶然知識が重なっただけで運が良かっただけですよ」


「でも、その運が無ければプロントは滅んでいたかもしれません。もしくは雷の血筋が途絶えてしまった可能性だってありました。だからモニカ様だけでなく私も含めて街の全員があなたに感謝しています。これからもプロントとキッタカールは友好関係を結べたらモニカ様も喜ぶでしょう」


「それはもちろんです。でも、八領はすべて友好なんじゃないんですか?」


「私からは何とも申し上げられませんが、お二人が先ほどおっしゃっていた女王争奪戦がありますゆえ。次期女王様になりたい王女もいるということです。私からはここまでです」

 ラフィッカはそう言って握手を求めてきた。ノエルもモニカもそれぞれを想ってくれる騎士団隊長に恵まれて良かったと感じた。


 一夜を過ごしキッタカールへ帰る時間になった。ハーピーたちがまた籠で送ってくれる。テンサも元気になっていた。

 ノエルとモニカ、それとラフィッカでキッタカールのプロントの友好としてキッタカールにハーピーを数人常駐させてくれることになった。今後やり取りが増えることを見越して陸路で行き来するより効率を上げるためだ。

 万が一、空中戦が必要になった時には頼れる戦力になる。


「今回は本当にお世話になりました。私はモニカ様の側を離れるわけにはいきませんが、部下たちを頼みます」

 テンサはそう言って部下を預けてくれた。


「二人が帰ってしまうのは寂しいが今度はうちがキッタカールに遊びに行くからの。待っておれ。それとキッタカールには王都や大都市にしかない浴場ができたとノエルに聞いたぞ。うちも久し振りにゆっくり大きなお風呂に入りたいのじゃ。タロウ、その時は一緒に入ろうぞ」


「モニカ、ここは火炎石の産地なんだからお風呂があるのは知ってるのよ。それに公衆浴場は男女別だからタロウ様と一緒には入れません」


「だから王都にあるような足を伸ばせる大きなお風呂に入りたいのじゃ。ここのは小さ過ぎる。あと王族権限でうちが入る時は混浴を許可するのじゃ」


「それなら私は王族権限でキッタカールにモニカが入ることを感じるわよ」


「それは勘弁して欲しいのじゃ」

 こんなやり取りができるのも平和になった証拠だろう。


「元気でおるのじゃ。といってもすぐに王都で再開することになるだろうが」

 昨夜聞いた呼び出しの件だ。これは覚悟しておこう。

 こうして俺とモニカはプロントをあとにしてキッタカールへの帰路についた。

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