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4.この世界の転生者たち

俺が同行することによって馬車の編成が変更になった。

先頭はブライとサラが馬を操りノエルと大切な荷物が載った。

二台目は森の手前の街で雇われた御者とそこで買い足された日用品などが載っている。

三台目はクリスが馬を操る。そして俺と先ほどの獣の死体が五匹分積まれている。どうやら獣の死骸は様々な部位にバラすと価値にあるものになるらしい。


「ブライとサラは前方を警戒しつつ進軍するように。私が殿を務める。くれぐれもノエル様に危害があるようなことがないように」

クリスの指示に若い少年兵たちは頷き馬車を進める。


この編隊で森を進み目的地を目指すことになった。


「すまない。どうしても死体はこの馬車に載せるしかなかったのだ」

クリスが謝ってくる。

ノエルと一緒にするわけには当然いかないし、二台目はどうも借り物だから、これまた載せるわけにはいかない。自然と候補は一つになる。

「いえ、大丈夫です。事情は理解できますから。それにクリスさんは俺と二人で話したかったのでしょう」

もちろん文句は言えない。ただ、旅の始まりが獣臭いものになるのは思わなかった。

「色々と察しが良くて話が早くて助かる。早速だが単調直入に聞くがタロウ殿は転生者、もしくは転移者と呼ばれる存在なのだろう?」

クリスはいきなり核心を突いてきた。この質問をしてくるということは転生この世界では一般的に知られていることなのだろうか。

「隠しておく意味もなさそうなので答えます。俺は転生してきました。この世界では転生者は一般認識なのですか?」

「転生や転移という概念は一部の王族やその周辺の者だけが知っていることで一般の民は世界を救いに来た救世主がいるくらいで伝わっている。タロウ殿にはこの世界の説明をした方がいいかもしれないな。長くなるかもしれないが聞いてくれるか。途中で何かあれば聞いてくれても構わない」

この世界の知識は知っていた方がいい。

「是非、お願いします」

「一つの巨大な大陸に五つの大きな勢力が仕切っている。中心が今我々がいるゴルド王国。最も平和な国だ。西側にブリダ王国、東側にフィルニア連合国がある。さらにその両側にそれぞれ魔王の領土だ」

「それぞれに魔王の領土? 人間の国が挟まれているのに平和に暮らしていけるのですか?」

「正確に言うと西と東にそれぞれ魔王と呼ばれる存在がいた。しかし東の魔王はそなたと同じ転生者で勇者と呼ばれているものが討伐した。今はその残党が暴れているが勇者一行やフィルニアの軍が抑えている。西の魔王は健在だが、ブリダに現れた調停者と呼ばれるものが休戦に持ち込んだ。完全に平和になったわけではないが大きな争いは起こっていないと聞く」

「それの二人の活躍で転生者が認識されているのですね?」

「それだけでない。もう少しこの世界の説明をすると魔王が発生する原因になった魔障気というものがこの世界を覆っている。その魔障気から先ほどのような魔獣が発生する。先ほどの奴らは小型だが、中型、大型といる。さらに強い魔障気から知識や知能、そして能力が高い人型の魔人が生まれる。その中で最高位の魔人がこの世界では魔王と呼ばれている。この王国では大型の魔獣や、魔人の発生は報告されていないが両隣の国にでは発生が確認されている。放っておくと国に被害を与えかねない存在だ。そして両国を行き来してそれらを狩り続けている狩人と呼ばれるものがいる。狩人も転生者だ。勇者、調停者、狩人、この三人を世界では参戦神として平和を作るものとして民から崇められている。もちろんそなたみたいな知られていない転生者もいるかもしれない」


女神様は平和な世界とか言っていたが、これはなかなかにハードな世界じゃないか。とりあえず平和な国に転生させてくれたことはありがたいが一筋縄に行くとは思えないことは分かった。

それに勇者や調停者はともかく狩人って呼ばれる奴はなんだ。戦闘狂なのか。こいつが一番ヤバい気がする。遭遇してトラブルに巻き込まれないことを祈る。


「この世界のことはよく分かりました。ただ、俺は参戦神と呼ばれる人たちみたいに凄いことはできませんよ」

「そんなことはない。魔法剣士は上級職だ。それとこの世界では魔法はごく限られた者にしか扱えない。本来なら王国の中でも王都や東西の拠点にしかいないような貴重な人材で、今、我々が向かっているこの国の北の果ての寂れた所にいるのは考えられないのだ。タロウ殿がここに転生した意味はそういうところにあるんじゃないか」

この世界では魔法は貴重なのか。クラスの言うように確かに魔法が貴重な世界で魔法が無い場所に転生したことは意味があるように思う。


「話が長くなってしまったが、そろそろエルフの森を抜けて目的のキッタカール領に入る。領と言っても小さな集落が三つあるだけの寂れたところだから、そんなに警戒することもない。目的地に着いたら我らのことも改めて説明させてくれ」

転生したところがエルフの森っていうことの方に驚いてしまった。エルフには遭遇しなかったが木を燃やしてしまったことはどこかで見られていたような気がする。放っておくと罰が当たりそうだ。いつか謝る機会があるなら謝ろう。

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