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29.村の新しい施設

 エミルたちが村へ来てから半月が過ぎていた。


 エミルとポワンは村の屋敷へ住むことになった。エミルが元々使っていた王女の部屋は今はノエルが使っているため、二階の空き部屋を使うことになった。ポワンは今までの鉱山での生活を活かしてジョルジュ夫人の指導のもと屋敷で住み込みのメイドとして働くことになった。

 二階の空き部屋はこの世界に転生したばかりの頃は全然埋まってなかった寂しかったのに、今では空き部屋も一部屋になって屋敷も賑やかになっている。ただ、二階はブライの部屋もあるが詰所に交代でいるので、女性ばかりなのは少し気まずく感じる。


 ズザとジャーべは村に初めての商業施設を造ったので、そこで住み込みの従業員として働くことなった。ジョルジュが元々行っていた村人への支給品の管理もズザとジャーべで行うだけでなく、最近増えた村外からの買付け商人や観光客に向けての商品の販売も行う。ジョルジュは少し仕事が減ったがまだまだやることは多そうだった。

 魔獣の皮や牙は様々なものに活用できるらしく村で必要な分以外は素材として販売することにした。

 それとリリが製造している石鹸。これは王都から来た定例の使者が一度王都へ持って帰ったところ評判になり王都へ卸すだけでなく近隣の街や村からも買付けるための商人が来るようになった。それと入村してきたドワーフの造る酒も評判がいい。この三点が今は村の外貨獲得の柱になった。


 ズザはやはり経験豊富で、


「外から人が来るなら宿や食堂も整備しましょう」

 と言い、施設を建てる時に一階で物販と食堂、二階は宿泊所にした。言葉にすると立派な施設に思えるが、実際は資材も限られているので食堂も簡易的な机と椅子、二階は個室ではなく大部屋で雑魚寝して雨風が凌げる程度の簡易的な建物だ。

 だが、キッタカール村は一番近いエルフの森の南の街からも馬車で一日近くかかる。往復するのは簡単ではない。なので、宿屋を作るズザの案は大成功だった。

 宿屋や食堂は人間の女性たちが水汲みが無くなったことでできた空き時間で手伝ってくれてもいる。

 ズザは村で商売をするにあたり武装商人なので商人の証が必要になる。以前から持っているものでも問題がなかったが元罪人なので村に忠誠を誓うために古い証を破棄して改めてノエルに職業の儀式を行ってもらった。王女は証の破棄もできることを知った。

 ジャーべは武装しているわけでもなく商人としてのスキルは不足しているので職業の儀式は行わなかった。当面はズザのもとで働いて商人として修行していく。


 三人のドワーフと馬の飼育員の老人はオークの集落の近くに分けてもらった資材で自分たちの家を建てそこで暮らしている。

 キッタカールで採掘できる鉱物はまだ未知のもので加工する方法が確立されていないので、ドワーフたちはその研究をしつつ酒造りをしたり、オークやゴブリンと技術交流を行っている。

 土地だけは広いため、三頭に増えた馬のための放牧場も作って馬車の管理も飼育員の老人にお願いすることにした。この老人は将来的に他の動物もここで飼っていきたいということを話していた。


 エミルと一緒に来た者たちの影響で村は大きく発展した。

 今までなかった商業施設や牧場ができたのだ。まだまだ簡易的なものだが、村の発展に村人たちは喜んだ。


 そして、施設といえば俺が頼み込んで造った公衆浴場も完成した。

 男女分かれているとはいえ、施設の一番風呂はノエルに使ってもらう予定で俺は考えていた。ノエルはせっかくなら村に帰ってきたエミルと入りたいと言うので、二人で入ってもらうことになった。エミルは約一年間、辛い生活をしていたわけだし風呂に入ることを喜んでくれるはずだ。

 この村には入浴の文化を知っているのは俺とノエルとエミル、王族ではないが騎士団として経験したことのあるジョルジュだけだ。公衆浴場の使い方はそれぞれ男女で分かれて入浴希望者に教えていくことになった。お湯に入る前に洗い場で身体を洗うこと、浴室で泳がない等のマナーを覚えていってもらう。

 それと俺の村での仕事として公衆浴場の管理が増えることになった。もともと俺が建設を希望した施設なのと火炎石に火を宿せるのは俺だけなので自然とそうなった。風呂掃除をしたり水の入れ替えをしたりするのも俺の仕事だ。

 今までは執政官補佐という肩書きがあったものの、村の執政はジョルジュが仕切っていて何もやることがなかったのでこうして役割ができたのは何だかんだ言って嬉しい。

 グリーンにお願いしてゴブリンたちに浴場で使う身体を洗うための椅子と桶を作ってもらった。湯船を含めて全て木製なのは腐らないか不安だが使用後は水分を小まめに拭き取り大切に使おう。いつか他の資材が使えるようになったら改造していきたい。プラスチックとかは無理でも陶器とかが手に入るようになると嬉しいのだが。


 数日後、火炎石が王都から到着して無事に公衆浴場が無事にオープンすることができた。村の人々も興味津々で浴場の近くに集まってきている。

 そこへノエルとエミルが現れた。ノエルとエミルの運命を考えると少しでも気持ちが上がることをして欲しい。そう思っての一番風呂だ。

 二人とも嬉しそうに公衆浴場へ入っていった。

 村人から歓声が湧き上がる。


 確かに元の世界でもコンビニやファミレスのチェーン店が地方初出店すると行列ができるニュースが流れた。

 こちらの世界でもそれと同じような現象が起こるのだなと感心をしてしまった。

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