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27.罪人との取引

 エルミを救出した後、村人や鉱夫たちにも協力してもらい悪党たちを縛った。

 クリスは村で馬を借り悪党を連行するための騎士団の派遣と王都への連絡の手配を依頼するためへ北東の街へ向かった。


 エミルは王都からキッタカールへ戻る時にエルフの森の南の村で宿泊していたのだが、夜中に拉致され借金をしたことにさせられて一年間金脈を引くまで連れ回されていたことが判明した。

 ノエルはキッタカール就任が決まった時から何度かエミルが王都への来た際にキッタカールについて教育をされていてエミルのことを母のように思っていた。どうやら王女たちは魔法で序列を付けるために母親で優劣があったらいけないということで母親が明かされないということを今回知った。それでリリに対して近しい感情を抱いているのだろう。俺はエルフの森へリリと三人で行った時、リリのことを想っていたノエルの表情を思い出した。そういう事情もあって今回の救出についてノエルは熱くなっていたらしい。

 それとノエルはこの世界で四十歳だった。ということは元の世界で計算すると俺とほぼ同じ歳ということも分かった。


 数日してクリスと北東の騎士団がやってきて誘拐犯たちを連れて行くことになった。


「騎士団の皆様、今回はお騒がせして申し訳ありません」

 エミルが頭を下げたのだが、逆に騎士団の方が恐縮してしまった。救助もしなかった上に頭まで下げられたら面目が立たない。


「お騒がせついでで申し訳ないのですが、副将のズザとホビットのジャーベの処遇は王族の権限で私に一任させてもらえませんか? 被害者は私ですし、これくらいは認められるはずですが」


「しかし……」

 騎士団が困っている。


「取調べならこの二人がいなくてもどうとでもなります。私はこの後、キッタカールに行きますので何かあれば定例の回収係に伝えてください」


「わ、わかりました」

 騎士団は返事をして、その二人を残して他の誘拐犯たちを連行していった。クリスは名残惜しそうだったが一団と共に王都へ向かって行った。


「なんであっしらを残したんですか?」

 ズザと言う名の男がエミルに聞いた。


「一緒にいて気付いたのですが、あなた達は何かやむ得ない事情があって彼らと行動していたのでしょう。あのまま連行されていたら王族誘拐ということで死罪、よくて終身刑だったでしょう。事情はどうあれ犯した罪は償わなければなりません。私と共にするなら今からでも王都へ行ってもらっても構いませんが、それよりもあなた達の命を私に預けてみませんか?」


「そんなことを言われても、あっしは何をしたらいいか?」


「具体的には申せないのですが、私は今必要なものを探知する魔法が使えるのです」

 俺は以前に聞いていた魔法と違うと思った。ノエルもそうだったのだが、王女達は元の世界の科学技術に近いものを天からの授かり物として生まれ持ってくるのだが解釈をできないものはクズ魔法として判断されているのだろう。活用できなければ意味はないし、仕方はないのだがもったいない。エミルは探知する魔法みたいだが、元の世界で何に当たるのかは分からなかった。


「ズザ、あなたは武装商団の一員でしたね」


「そんなのも分かるんですか?」

 武装商団は名前の通り武装した職業の証を持っている商人だけで構成されている団体で、内戦や魔障気の強い危険な東の地域との輸出や輸入を行っていて、対人だけでなく対魔獣も行う武闘派とのことだ。元団員がクリスと渡り合えるほど強いのには驚いた。驚いたというより、騎士団で五本の実力に入るクリスと、クリスが殺さずに捕えることを意識して手を抜いていた可能性があっても互角でやり合っていたのは脅威だろう。まだこの世界には知らない実力者が多そうだ。


「あっしは東方の出身で計算が得意で身体が大きくて体力もあったので武装商団に勧誘されました。商人には興味があったし証も貰えるならと入ってみたものの、東のフィルニアとのやり取りは思ったよりも過酷でそれで辞めてしまいました。その後、定職に就かずにブラブラしていたところを儲かる話があると誘われてここに来てしまったのです。商人の証もあり力もあったのでいつの間にか副長にまでなってしまい……誘拐や奴隷商のことは知らなかったとはいえ謝ってすむことでもなく、本当に悪いことをしてしまいすみませんでした」

 ズザが頭を下げた。


「ジャーべは特技として鑑定を持ってますね?」

 エミルがもう一人残したジャーべというまだ若く見えるホビットに言った。ただ、ホビットなので本来より若く見えている可能性もある。


「はい、そうです。僕はフィルニアの内紛で土地を追われたホビットです。この国はホビットの集落もないので行くあてもなく鑑定の力を使って盗品の鑑定をして暮らしていました」

 誘拐団は盗んできたものの価値をジャーべに鑑定させて売値を決めたら、高価なものがあれば真贋を見極めさせていた。ジャーべ自身は盗みに行かないが、彼らが盗んできた宝箱や金庫を解錠することもやらされていた。


「さきほども言ったように罪は罪です。償いはしないといけません。あなた達はこれからここにいるノエルが治める村で真っ当に働くことによって、それを償いとするのです」

 エミルは村の発展を考えこの二人を引き取ろうとしたようだ。おっとりして見えるのだが、話す内容や話し方、全体を考えての計画はやはり王族なのだと関心してしまう。


「あっしで役に立つならやります」


「僕にできることならやらせてください」


 ズザとジャーべはそう答えた。

 こうして村に新しい仲間が増えることとなった。

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