2.転生
また背中が冷たい。
先ほどまで居た場所とは背中に感じる冷たさが違う。周囲を手で触ってみると土の上のようだ。
周囲は木に囲まれている。
森の中で目を覚ました。
周囲の安全を確認しつつ立ち上がる。
服装は簡易な布の服と靴。世界観に合わせてくれたのだろう。
装備は刀と短剣。用途を変えて使えということか。
あとは小銭入れとその中に恐らくこの世界の通貨のようなものが入っているが価値が不明のため多いのか少ないのか分からない。
それと転生の女神が言っていたポーズでステータスを確認する。
言われた通りにやってみると本当にステータス表示のディスプレイのようなものが空中に出てきた。
職業:魔法剣士
特技:ファイヤ、ウォーター
スキル:身体能力+、加速+
確認できる情報はこれだけのシンプルなものだった。レベルや各種ステータスのようなものは表示されないらしい。
特技の枠も6つほどしか入らないようで今後追加で覚えていくのだろうか。
身体能力と加速に+の表示があるのは女神が言ってたオマケみたいなものだろう。
高校生の頃ならともかく33歳の身体に多少のバフが付いても知れてると思うのだが、何もないよりは心強い。
それにしても女神の外見はその人の望む姿になるっていう話はサービスと言っていたが、説明も後半は適当だったし転生する時に文句を言わせない為では無かったのだろうかと今になって思う。次が詰まっているとも言っていたがそんなにも転生を必要とする人間が多いのだろうか。それも疑問だ。
それにしても転生先が森の中というのがよく分からない。
少女を助けてくれというから街中とかですぐに遭遇できるものかと思ったのだが違うらしい。
森の中は静かなものだ。
正確な時間がこの世界にあるかは分からないが、背の高い木々の間から太陽のようなものが見えるから昼間なのだろう。今は周囲に誰もいないし特技というものを試しておきたい。
「ファイヤ」
手を銃を撃つ形にして呪文のように言葉に出してみると小さな火の玉が出てきて木に当たった。
当然燃え始める。
このままではまずい。
「ウォーター」
同じように手を拳銃を撃つ形にして言葉に出して水を放つ。
一回では消し止められずに何回か撃ってみる。その際に色々と手の形を変えてみても水の玉は出ることが分かった。
案外適当なものだ。
火は消えたが煙が上がっている。
この世界の仕組みが分からないから何が起こるか分からない。念のために煙を少しでも抑えておこうと木に寄ろうかとした時に叫び声のようなものが聞こえた。
すでに近くに誰かいて煙を見て近寄ってきたようには思えない。
続いて何か金属がぶつかるのような音が聞こえる。
戦闘が始まったようだ。
この戦闘の中に助けないといけない少女がいるかもしれない。
それに戦闘中に死亡してしまうとこの世界に来た目的が失われてしまう。そうするとこの身もどうなるか分からない。
まだこの世界のことは全然分からないし、そもそも戦闘が出来るか分からない。
それでも身体能力+と加速+のスキルを信じて駆け出す。
異世界での初陣だ。
あまりハードじゃないことを祈る。




