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16.魔獣の群れ

この世界にもフラグはある。きっとどの世界にもフラグがある。

そのことをブライに説明しないといけない。


川への誘導の確認を終えて俺たちは村へ戻るところだった。エルフの森の入口を越えてオークの集落へ向かい始めたところでサラが何かを察知した。

「魔障気が少し濃くなった」

俺には感じることはできなかった。ノエルとブライも感じていないようだ。

「恐らくこの先で魔獣が出現する、注意して」

俺や王女に呼びかけているというより、ブライに伝えている。

「分かった。ノエル様もタロウさんもそのつりでいてください」

後で知ることになるのだけど、東部で生まれ育ったサラは魔障気を察知できた。これは特別な能力ではなく東部は隣国のこともあってそういうことができる人間はそこそこいるらしい。

サラとブライの言葉で緊張が走る。

「ノエル様もいざという時に魔法を使えるようにしておいてください」

ノエルは頷く。少し震えている。ノエルの能力は不明な点はまだ多いが戦闘に使うものではない。魔獣も遭遇して準備して欲しいと言って怖くなるのは当然だ。


ほどなくサラが言ったように魔獣の群れが出現する。

ブライが先ほどの調査中にどんな魔獣がどれだけ出ても、とかフラグを立てなければこんなことにならなかったのに……なんてことを考えている場面ではなかった。


俺が転生した日に出会ったのと同じ狼のような魔獣が村への行く手を拒むように現れた。

紫色の霧のようなものがかかりそこから出てきた。無から出現するのだ。

初めての戦闘の時は既に出現してクリスが応戦中だったので出現するところは初めて見た。

狼型の魔獣は全部で十五匹。この前は五匹だったから三倍になる。相手の数は増えたが、こちらは最高戦力だったクリスが今はいない。


分が悪いな。

しかし、ブライとサラが本来の力を発揮できるなら何とかこの場は突破できるはずだ。


「一人、五匹を仕留めるんだ。同時にノエル様への危害を防げ」

「了解っス」

ブライは返事してサラは頷く。


俺の武器は刀、学生時代にやっていた剣道が動きのベースになるがこの世界の魔獣にどれだけ通じるのだろうか。それでもやるしかない。

ブライは両手で持つ大剣、サラは短剣の二刀流だ。それぞれ自分の特性を活かせる装備をしている。


魔獣たちは俺たちの三人に飛びかかってきた。

俺は魔獣たちから目を逸らさずに刀を横に振った。前回と同じように脚を切り落としてからトドメを刺す。さらにもう一匹、仕留める。

ブライは大剣で薙ぎ払って四匹を仕留めた、サラも得意の機動力を活かして三匹を仕留めた。

残り六匹は俺たちが戦闘している間へ広報のノエルを狙っていた。


「ノエル様!」

慌てて俺は後方を確認する。するとノエルは両手を大きく伸ばして魔獣たちの襲撃を食い止めている。

魔獣たちは手がどこまでノエルの巨大な手を認識できているか分からない。クリスたちのようにぼんやりと光っているのが見えているくらいなのか、ノエルに飛びかかろうとしても見えない壁に弾き飛ばされているようだ。何が起こっているか理解できていないのか、ぶつかっても助走を付けて再度取り掛かるがまた弾かれる。

こうなると倒すのは楽だった。ノエルに弾かれている魔獣を背後から狩るで討伐できた。


「ノエル様、無事で何よりです」

「私に襲いかかってきたので、倒せはしませんが身を守ることはできるかと思い必死に手を広げてみたのが上手くいきました。これもタロウ様が戦闘にも使える可能性を示してくれたからです」

ノエルは上手くいったことが嬉しかったようだ。

「それにしてもノエル様の魔法って俺には全く見えないっスけど本当に凄いんスね」

ブライが関心していた。


「まだ何か来る」

サラが何かを察知した。

「あ、あれ……」

ノエルが先ほど魔障気が発生した方を指をさす。

また新しい魔障気が発生した。

また狼のような魔獣が来るのか。あれならまだ何とか対処できるだろう。


次に現れたのは一匹の大きな熊のような魔獣だった。

体調は三メートルくらいか。今までの狼型のように群れで現れるわけでは無さそうだが、力はこちらの方が強そうだ。後から現れたということはきっとそういうことなのだろう。


やはりブライには無事に帰ったらフラグのことを教えないといけない。

いや、これもフラグになってしまうのか。


そんなことを考えていても仕方ない。今はこの熊型の魔獣を倒して村へ帰ることだけを考えよう。

「こいつを倒して村へ帰るぞ」

「はい」

ブライとサラだけでなくノエルも声をあげて返事をしてくれた。やるしかない。

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