処刑場に立つ
断頭台の上に俺は立っている。
皆が固唾を飲み込み、こちらに注目している。例に漏れず俺も緊張に押しつぶされそうで、吐き気がしそうだ。
満月の夜、街灯に照らされ広場の中心に、今回の処刑を見ようと人が集っている。女、子供関係ない興味津々でこちらを見ている。
静寂に包まれた夜に響くのは、どこか遠い教会の鐘の音。
一体何をしたのか、そんなのは百も承知だ。
国王に反旗を翻した。重罪も重罪だ。こうして、首を預けて殺されるのを待つ何ら不思議ではない。
――それでも
命だけは、命だけは助けてあげられないかと。
しかし、現実は無情だ。
この場の誰も後戻りは出来ない。してはならない。
集団心理に近いものがあるのかもしれない。
静寂に包まれたこの世界で誰も何も思わないのだろうか。
声を上げることは出来ないのだろうか。
いくら、いくら、殺そうとも変わりはしない、そんなのはとっくに気づいているのじゃないのか。
――俺は斧を振り下ろした。
鈍い音が鳴る。血潮が飛び散り、額へと染まる。
使い慣れた斧だが、この感触は妙に慣れない。
気持ち悪いの一言に尽きる。
この男も騒ぎ立てることなく静かに散っていった。この生き様に何を思えば……
慣れたように首を持ち上げ、観衆に晒す、観衆からは大きな噴き上がる叫び声が上がる。
これは、恐怖から来るものではない。
彼らの声は、歓喜だ。もう皆が殺すことに違和感がなくなっている。
これが正義だと語るように。
これを続けるしかならない。
ここで誰が異論の声を挙げたら、誰か聞いてくれるだろう。この静かさ絶対に聞こえる、しかし、声を挙げるだけでは意味がない。
考えても、ここに行きつき終わりだろう。
考えを分かち合うことが出来ない人間が隣にいるのだ。ならば、無理だろう。
目の前で、反逆した者が処刑された後では尚更であろう。
今すぐに処刑場送りかもしれない。
革命前夜、ここにいる誰が処刑がされるか分からない時代に突入しようとしている時にまた俺は一人手にかける。
そして、次、次に送られてくる反逆者たちを冥界に送り、一旦の平穏を取り繕う。




